医療崩壊を防ぐために:軽症陽性者に指定場所での待機命令が可能な法整備を --- 山尾 志桜里

2020年04月01日 14:01

こうまる/写真AC

新型コロナ感染拡大に伴う医療崩壊を防ぐための超重要課題として、軽症陽性者の方には「病院や診療所」ではない指定場所での一定期間の待機・隔離を勧告し、同意いただけない場合は命令するという法整備が、至急必要だと思います。

現在の法制度では、1月28日の政令改正により、新型コロナに関して感染症法19条の入院措置が可能となっています。

この19条により、都道府県知事は、新型コロナの感染者に対して

  1. 感染症医療機関への入院勧告ができ、勧告に従わない場合は入院させることが可能
  2. 緊急その他やむを得ない事情があるときは、感染症医療機関以外の病院・診療所への入院勧告ができ、従わない場合は入院させることが可能。
  3. しかし、病院でも診療所でもない施設にはこの措置は不可能。

となっています。

つまり、現時点では、軽症陽性者の方に対して「自宅隔離」や「施設隔離」を要請するにしても、その要請には法の根拠がない。「勧告」ですらない。かつ無視・拒否された場合には何らの強制力も当然ない、という状態かと思われます。

医療崩壊で「命の選択」を行わなければならないような深刻な状況が可視化されている諸外国をみれば、今日本で至急なすべきは、医療崩壊を防ぐために必要なあらゆる措置をとること。その措置の中でも、重症・高リスクの感染者と軽症・低リスクの感染者間の適切な医療資源の配分は必須です。

いくら軽症の方に自宅での自主隔離をお願いしても、あるいは仮に選手村などの施設を隔離施設として準備して入所をお願いしたとしても、ご本人が軽症・軽リスクであるがゆえに、法に根拠のない要請に誰しもが従っていただけると楽観視するべきではないです。

かつ、今回の緊急事態的状況にあたって感じるのは、「自粛要請」という手法には問題もあるということです。「自粛」であるが故に「補償」もない。しかし「要請」であるが故に強い「同調圧力」がかかる。国民は、「補償」なしに「同調圧力」にさらされるという厳しい状況に置かれています。もっと、政治指導者が権限発動に伴う責任を負うべきではないかと感じます。

東京都YouTubeより:編集部

それこそ、小池百合子都知事は「ロックダウン」「都市封鎖」に言及していますが、いかなる法令のいかなる措置を指して発言されたのでしょうか。法的・科学的根拠を示さない公的発信は、上に見た同調圧力と委縮を助長するもので厳に控えるべきかと思います。

あわせて、私は「自粛」であれ、事実上の強制的効果を現に発揮している以上は「補償」が国家の責務だと思います(これについても法の準備を検討しています)。

さらに、「自粛」に依存できない強制力を必要とする場面では、予め法により国家や自治体などに対して一定の強制的権能を与えることも必要です。その上で、要件・期間・手続き・説明義務などの歯止めをかけておく。これが法の支配であり民主的統制だと思います。そして国民は、権力を縛るだけの存在ではない。自分たちの社会を守るために、権力に権限を与えるのもまた国民だということです。

とにもかくにも、軽症陽性者に対しては病院・診療所ではない別の指定場所における待機命令を可能にする法案が急務だと思いますので、これから何人かで法案を作ってみます。水上貴央弁護士がSNSでも示唆しているとおり、ウェブでの経過観察措置も可能にした上で、違反者には罰金、遵守者には特別補償金というアイディアもありだと思います。

法案を作ったら、もちろん公開します。誰が実現してくれても構わない。こっそりぱくってくれても構わない。とにかく国民の命を守るために必要な仕事が果たされればよい、です。

山尾 志桜里  衆議院議員(無所属、愛知7区)
東大法学部卒業後、司法試験合格。司法研修所入所を経て東京地検などで検察官。2009年衆院選で初当選(現在3期目)。公式サイト


編集部より:この記事は、山尾 志桜里氏のFacebook投稿 2020年3月31日の記事を転載させていただきました。快諾いただいた山尾氏に感謝いたします。

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