犯罪国家ベネズエラのナンバー2は毎月5000万円以上を違法に稼いでいる

2020年04月03日 06:00

ベネズエラでドゥロ大統領以上に軍部で力を持っている人物がいる。仮に軍部でその人物の判断決定に反対であっても逆らうことができない人物だ。その人物とは、ディオスダド・カベーリョ制憲議会議長である。

ディオスダド・カベーリョ氏(Wikipedia:編集部)

彼はチャベス前大統領がクーデターを起こした時からチャベスに忠実な部下であった。チャベス大統領が亡くなった時にカベーリョは国民議会の議長であった。だから、憲法の規定によればカベーリョが次の大統領選挙まで暫定大統領に就任すべきであった。ところが、マドゥロを囲むグループの内部操作とキューバのラウル・カストロの工作もあって誰もが予期していなかったマドゥロが大統領に就任した。

当初、軍部もマドゥロの大統領就任にはそれほど強い抵抗は示さなかった。なぜなら、彼は近い内に軍部の圧力によって解任されるはずだ、と誰も推察していたからだ。マドゥロは周囲から過小評価されていたのである。彼がここまでしぶとく大統領のポストを維持するとは誰も想像しなかった。

そうは言っても、マドゥロの方もカベーリョのライバルとしての存在を意識し、彼が怒れば軍部がマドゥロに背くようになることを警戒してカベーリョの横行を黙認している。

スペイン紙『ABC』はベネズエラ軍の上層部からの情報だとして、カベーリョが毎月凡そ50万ドル(5450万円)稼いでいることを報じた。勿論、違法な手段によるものであり、それもキャッシュで手にしているという。(参照:abc.es

食糧難、ハイパーインフレ、医薬品などの不足といった国家が危機状態にあり国民も苦しんでいるにも拘わらず、毎月それだけの収入を得ることを彼は緩めないのである。

それだけの収入を得る為の手段は何かと言えば、金、ガソリン、麻薬、武器などの密売や密輸によってである。ベネズエラの24の自治州の各州をコントロールしている軍部の指揮官がそれぞれ密売と密輸によって挙げた収入を2週間ごとにキャッシュでカベーリョに手渡しているのである。1回に手渡される金額は1万ドルから1万5000ドルだとされている。勿論、その時に指揮官はカベーリョから返礼として手数料を貰うことになっている。
(参照:abc.es

コロンビアからのコカの米国への密輸にベネズエラを経由しているが、ベネズエラの麻薬防止事務局はそれを黙認する形で輸送を容易にさせている。また軍部はそれが通過するのを黙認し、その代わりに持ち主から手数料を貰うシステムになっている。それを前述したようにカベーリョに渡すのである。

現在のベネズエラの経済は密売・密輸によって成り立っており、それをコントロールしているのがベネズエラ軍である。国連の麻薬統制委員会(INCB)も2019年の報告書でそれを指摘している。それを証明するものとして、ベネズエラには軍部によって構成されているカルテル・デ・ロス・ソレスが活発に活動している。そのトップに君臨しているのがまたカベーリョである。

例えば、ツゥリア、タチラ、アプレの3つの自治州はコロンビアと国境を接しており麻薬とガソリンの密輸でカルテル・デ・ロス・ソレスが積極的に活動している。また南部のボリバル州の金の採掘においても密輸のための空港と港はこのカルテルがコントロールしている。

専門家の間では金の密売は麻薬のそれを上回るほどになっていると推測している。2018年だと掴んだ情報から密売額は27億1100万ドル(2955億円)になると見られている。
(参照:abc.es

この採掘にはコロンビアの民族解放軍や解散したコロンビア革命軍の残党を始め、中東のヒズボラも介入している。また、ベネズエラはチャベスの政権時からイランとの関係も強化していた。そのような関係から、テロリズムと犯罪組織調査委員会のカルロス・パパロニ議員は、2010年からこれまで10378冊のパスポートが違法に発行されていたことを明らかにした。シリア、レバノン、イランからヒズボラに関係した人物を対象に発給されたという。(参照:abc.es

更に、ベネズエラ石油公社を筆頭に40余りの企業も軍部の支配下にある。軍部といっても、それを支配しているのは軍の上層部で、彼らがそこから得た収入を着服しているのである。

だから、ベネズエラは国家そのものが犯罪国家と化している。それに軍の上層部がしがみ付いているのだ。米国が主導してグアイドー暫定大統領が民主化への道を主張しているが、それが実現するようになれば現在の軍の上層部は全員犯罪者となって裁かれるのがオチだ。だから、彼らは今後もマドゥロが大統領として存在していてくれることが必要なのである。

問題はその恩恵を受けていない軍の下層部がいつまで上層部の指揮に従うかである。現在まで上訴部からの指示に逆らえば身の安全が保障されないという恐れと民主化になっても果たして生活が保障されるとは限らないという不安から今の状態が続く限りそれに従うしかないと軍の下層部は考えているのである。

それを米国が主導して制裁を強化して、経済的に国を維持することがさらに困難になるようにすれば軍の下層部が動くようになるはずだ。そのように推測して米国はこれまで制裁を強化して来た。

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白石 和幸
貿易コンサルタント、国際政治外交研究家

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