防衛省の浮世離れした組織防衛ファーストの見解

2020年04月05日 06:00

防衛省サイトより:編集部

防衛省広報課報道室から来た、過去の大臣会見のぼくの質問に関する回答です。

大臣会見(R1.12.23)における質問に対する回答

Q:過日、19式自走りゅう弾砲についてお伺いした際に、事務方のほうから連絡があったのですが、今のOH-1とか、観測ヘリコプターがほとんど飛んでいないじ2、過去に言われていたUH-Xですけれども、これがあるので別に問題ない、と回答があるのですが、ということは、輸送ヘリコプターを転用する訳なので、当然有事の輸送力が減るのですが、それは防衛省としては是とするんでしょうか。

A:観測ヘリコプターOH-6Dの機能の一部である火力発揮のための航空観測機能については、12月9日付の防衛省回答のとおり、無人機スキャンイーグル等により代替することとしています。なお、多用途ヘリコプターUH-1J及びUH-2は、航空偵察の代替も行いますが、これはOH-6Dの機能のごく一部であり、輸送機能が影響を受けることはありません。いずれにしても、各種事態等に応じ、保有する航空機を柔軟に活用して適切に運用してまいります。

つまり、OH-6が担っていた小口輸送や連絡の業務をUH-1やUH-2(UH-X)を使うということです。それは軽トラックで済む輸送を中型ダンプで行うようなものであり、非効率、高コストです。そしてUH-1、UH-2の数も少ない。実際には業務がパンクするでしょう。

またスキャンイーグル選定まで震災から9年近くかかっています。とてもスローモーで当事者意識が欠如しております。更に申せば、本年度から調達が始まるので部隊運用は更に先のことになります。既にOH-6はすべて退役し、OH-1はほぼ全機が地上待機です。
東日本大震災のような事態、あるいは有事が起きたらどうするのでしょう。スキャンイーグルが戦力化されるまで、天災も有事も待ってくれるとおもっているのでしょう。平和ボケもいいところです。

Q:陸自のヘリコプターパイロットの年間訓練時間が、以前の120時間から約90
時間になっています。また、機体の数も最盛期500機位あったが、今300位にまで減っています。航空部隊の練度や能力が減っているのではないのですか。

A:従来より、防衛省・自衛隊では、パイロットの技能維持のためには、災害派遣や対領空侵犯措置などの実任務も含め、パイロットは年間90時間以上の飛行が必要です。
その上で、個々の部隊のパイロットが実際に年間何時間飛行しているかについては、隊員の能力や練度が判明する事項に当たるため、お答えすることは差し控えますが、年間90時間以上飛行していれば、十分な技能の維持が可能であり、何ら問題はありません。

また、陸上自衛隊のヘリの機数については、平成30年度末時点で、約370機であり、最大の機数であった平成14年度末の約480機と比較すると、約110機減少していますが、その主な原因は、観測ヘリOH-6Dの機数が約140機から約20機へと約120機減少したことにあります。一方で、OH-6Dの機能の代替については、12月9日付けの防衛省回答及び上記Q3への回答において述べた航空機だけではなく、偵察等の機能は地上レーダー装置や車両などでも代替します。

いずれにしても、航空部隊の練度や能力が減っているということはありません。

これも官僚作文です。これを読めば空自の戦闘機のパイロットの飛行時間も年に90時間あればいい、ということになります。ですが90時間というのは最低限の資格維持のレベルです。実戦で十分な技量の維持は不可能です。

自衛隊機は、昼間は勿論夜間でも飛行します。民間の遊覧飛行とは違います。かつては空自の戦闘機も180時間は飛んでいましたが、彼らは趣味で飛んでいたんでしょうか?
この回答の通りだとすれば搭乗員は勿論整備員の技量は低下しているでしょう。それは事故を誘発することになります。現場では北朝鮮以下の飛行時間と不満が溜まっています。

更に陸自の約370機ですが、この中には多くの機体が飛べない、旧式化したAH-1Sが含まれています。これも随時退役しますが、機体寿命を伸ばすために、年間飛行時間を減らしています。旧型機でしかも飛行時間を減らして練度を落として大丈夫でしょうか。

しかもAH-1Sは飛行し交戦できる機体はごくわずかです。12年ほど前に某地方航空隊司令が、基地祭で飛ばす稼働可能なAH-1Sは全地方航空隊からかき集めているといっていましたが、今では更に状況が悪化しているでしょう。

その後継のAH-64Dは今わずか12機で、交戦可能な機体は3、4機だと言われています。
OH-1は既にご案内のように改修テスト用の機体2機をのぞいて未だ全機飛行停止が続いています。しかも開発の遅れと予算の不足でUH-2の配備はかなり遅れ気味です。
つまり陸自のヘリは実質的に300機を大きく割り込んでおり、搭乗員のレベルは最低だということです。

これで何の問題もないというのです。
河野大臣、こんなことを信用して大丈夫なんでしょうかね?米軍の航空関係者にこれらの回答について非公式にコメントをもらうと面白いかと思います。

Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
ジャーナリズムのアパルトヘイト
イージスアショアは必要ない

■本日の市ヶ谷の噂■
防衛省では河野大臣の主導でコロナウイルス対策として、同じ業務を2つにわけて交代勤務をおこなっている。その一方で自衛隊は感染リスクの高い集団教育をやめていない。陸幕は自分たちは交代勤務も教育中止の基準を出しいない。感染者が出るまでは教育を続ける意向だと、現場の教官、学生は不安と不満が爆発寸前との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年4月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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