緊急事態宣言:国民一人一人が試されている

2020年04月08日 16:00

昨日、夕方に行われた新型コロナウイルス感染症対策本部で緊急事態宣言が発令されました。そして夜7時から、国民向けに安倍総理大臣が記者会見を行い、国民に向けて説明しました。

特別措置法に基づく「緊急事態宣言」 は緊急的な措置を取る期間や区域を総理が指定して発令する必要があるため、エリアは東京都、神奈川、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県の計7都府県で、期間は5月6日のゴールデンウィーク明けで発令されました。

緊急事態宣言というのは我が国で初めてのことです。最近では飲食業の店主などから、「お客さんが全然来ない」「前代未聞の事態だ」とか、国民からも「外出を抑制されるなんて、生まれて初めてだ」というような声がいっぱい出ています。しかし、これは当然のことで、ある意味では人類史上、稀な危機に直面しています。

まだご健在で当時の記憶を語れる人はいないと思いますけれども、1918年から1920年に世界的に流行したスペイン風邪では、世界全体で4000万人の死者、日本でも38万人の死者が出ました。その時以来の危機といえます。

すでに他国では、緊急事態宣言などが発令されていますが、我が国の緊急事態宣言とはちょっと異なります。

3月23日の小池東京都知事の記者会見で、「今後の推移によってはロックダウン(都市封鎖)などの強力な措置を取らざるを得ない可能性がある」と発言したことで、「一歩たりとも外出してはいけない、外出したら捕まってしまう」みたいな誤解も生じましたが、実際はそうではありません。日本の場合は、医療行為や医療物資などの確保のために政府が事業者に強制的な押収や接収をすることが一部で可能ですが、一言で言えば、日本の場合は国民に協力を求めることになります。

緊急事態宣言そのものは総理大臣が発令をしますが、実際に協力の要請(指示)を求めるのは都道府県の知事です。今回の場合は先ほどの7都府県の知事が、住民の外出自粛要請や施設の使用の制限や停止、それらに対する要請をすることになります。事業者などには要請をしても聞き入れられない場合は指示ができますが、その場合も法的には罰則がありません。

当然事業者からは「営業を自粛すれば損失が出るじゃないか、その補填は政府がやってくれるのか」というような声が上がっていますし、マスコミもそうした論調が目立ちます。しかしながら、はっきり言って諸外国のように強制ならば、補填ということはあり得ると思いますが、協力要請ということを考えれば本来は政府による損失補填などはないと私は思います。ただ、その結果として自粛をせずに営業されては意味がないわけですし、事実上、営業しづらいし、お客さんは来ないですよね。だから、政府は緊急事態宣言と同時に、経済対策をセットで出したわけで、この経済対策は史上最大の規模になりました。

今言っても仕方がないし、後で議論すべきだと思いますが、一応のちのちの為に私が言っておくことは、「緊急事態宣言の発令が遅い」、そして、「国民に明確に強制的な禁止をした上で補填をするように、日本も改めた方がいいのではないか」と私は思います。これらは、喉元過ぎて暑さを忘れずに、検証と議論が必要だと私は思います。

さて、当面収束させるためには、薬やワクチンではありません。イギリスのジョンソン首相もICUで治療されているそうですが、発表とは違って私かなり深刻だと考えています。その意味では、身分も貧富の差も年齢も関係ありません。感染したら最後、どうなるかわかりません。

収束させるためにも、感染を拡大させないためにも、感染しないためにも、人の移動をしないことと接触しないことにかかっています。あくまでも現行法では国民に協力を求め、すなわち我々の協力にかかっているわけです。この法体系や価値観で日本がいいのかどうか、これは我々が今試されている。一人一人が試されている、あなたが試されているということです。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
中田 宏
元衆議院議員、前横浜市長

過去の記事

ページの先頭に戻る↑