国産戦闘機輸出 夜郎自大な取らぬ狸の皮算用

2020年04月13日 06:00

政府自民、次期戦闘機の輸出議論 憲法や武器輸出規制に抵触の恐れ(共同通信)

政府と自民党が航空自衛隊F2戦闘機の後継となる次期戦闘機の海外輸出案を3月から議論し始めたことが11日、分かった。生産数を増やしてコスト削減を図る狙いがある。だが、浮上した輸出案は、憲法の平和主義や武器輸出を規制する「防衛装備移転三原則」に抵触する恐れがあり、実現は見通せない。

空自は最大でも100機程度の導入を想定。1機200億円以上になる可能性がありコスト削減は重要課題となる。

こう言ってはなんですが、自民党の先生方はフランス書院のウッフン小説やらAVやらをみて、3Dのおねいちゃんを口説こうと思っている田舎の中学生と同じ見識とメンタリティです。

多少穏当にいうならば、ハゼも釣ったことがないような釣りの素人がいきなりインド洋でクルーザーに乗って、カジキマグロを釣り上げたいといっているようなものです。

この記事が転載されたヤフーニュースのコメント欄の日本無双、テクノナショナリズムボケの国士様と、国会議員が同じレベルというのが泣けてきます。

防衛省だの防衛産業からの都合のいい「ご説明」をそのまま信じ込んで、セカンドオピニオンをとったり、自分で考えていないのでしょう。

Wikipedia

飛行艇US-2、哨戒機P-1、輸送機C-2、潜水艦売り込むために防衛駐在官まで増やしましたが、惨敗だったでしょう。三菱重工が満を持して開発したMRJ(元スペースジェット)の開発が難航したことをみれば我が国の航空産業のレベルがわかろうかというものです。人様に売る「商品」をつくることができないのが我が国の航空防衛産業です。

いったいどこに目がついているんでしょうか。

こういうお高い装備の輸出は無理です。こういう商品は優れて外交、政治力が必要ですが、それが我が国には欠けています。

そもそも防衛省、経産省、政治家も防衛産業を産業だと理解していません。そして当事者意識と能力が低すぎます。

そもそも最大でも100機しか調達しないならば、戦闘機の開発なんてコスト的に無理です。それで国産考えている時点で詰んでいる話です。

FXにしても僅か42機しか導入しないのに、ライセンス国産するんだといっていたわけです。結果FACO生産となって、技術移転はほぼ皆無で値段だけは数割高くしただけです。当時の森本防衛大臣と空幕、技本に当事者意識と能力が欠けていたわけです。最終的に財務省が頑張って輸入にさせたわけですが、こういう人たちにまともな戦闘機が開発できると信じる人たちのリテラシーは詐欺同然のシェアハウスビジネス、かぼちゃの馬車で騙された人たちと同じ程度です。

以下になぜ戦闘機開発及び輸出が無理の理由挙げてみましょう。

  • 国営企業体質でコスト意識が欠如。市場経済を知らない。
  • 自分たちの技量のレベルを過大に評価している(MRJが好例)。
  • 実戦のデータをもっていないし、金を払って買ってくる気もない。
  • F-35導入時に生産基盤を潰している。
  • 防衛省も業界も海外の動向を全く知らない夜郎自大体質。
  • まともな情報収集と分析ができない。情報に金を使わない体質。
  • みんな大事と、機体、エンジン、システムに薄く広く金をばらまくのでまともな物ができない。
  • 基礎研究の欠如。
  • 防衛省、経産省、官邸に防衛産業育成・振興のビジョンもロードマップもない
  • 失敗したF-2も成功だった言い張って反省しない体質。
  • F-2で痛い目にあったのに、日本に核心技術を渡さないアメリカを未だに盲信。
  • 海外のメーカー、政府と共同開発する経験も能力も欠如。

更に申せばF-35の導入、調達数の増加で国産ミサイルのなどの開発がほぼ不可能になったこともあります。

F35A(空自サイトより:編集部)

ただでさえも開発費が低くて、そのくせお値段はお高い国産ミサイルはF-35には搭載できませんから(サイズ的に搭載できても米国側にソフトの改修を以来しないといけないができないでしょう)、調達数はざっくり半分になるでしょう。であれば調達単価は2倍、1発あたりの開発費も実質2倍になります。これでは無理です。

国産機が米国との共同開発になった場合、アメリカは核心的な技術を渡さないでしょう。F-2同様にコストがかさみ、調達単価は200億円以上かけて、F-22やF-35の時代遅れのデッドコピーができて血税を溝に捨てることになるでしょう。

ですから、ぼくは先のFXで戦闘機の開発・生産基盤を維持するならばユーロファイター一択だと申してきました。そうすればユーロファイターの改修か近代化にも参加できるし、コンポーネントの輸出も、独自の近代化も可能だったし、技術移転も期待できました。

武器輸出に関しても今のようなお為ごかしはやめるべきです。ホワイト国には原則輸出可能にすべきです。そもそも売るのは駄目なのに買うのはOKというのはおかしな話です。例えは悪いですが、違法な売春で売るのはNGだが、買うのはOKといっているようなものです。

それから原則、日本の防衛産業で輸出をしない(する気がない)企業からは基本防衛省は調達をやめるべきです。
例えば中型小型の軍用トラックなどは軍民両方で使えるので現行の制度で軍隊向けに輸出しても構わないはずです。ヤマハや川崎重工のバイクは世界の軍隊で使用されています。

幕僚監部も装備庁にも開発を指導する能力がないのでトンチンカンな要求をだすのでクズができます。いかにトヨタでも防衛省の言いなりに作れば高機動車みたいな失敗作ができてしまいます。

自衛隊専用に開発し、生産すれば生産数は他国より一桁二桁少なくなります。当然高コストになります。その上かかった材料、工数などのコストに利益を乗せるわけですから、コスト意識が働くはずがありません。天下りさえ受けていれば、どんなクズを納入しても調達を中止されることはありません。

輸出を考えるならば装甲車輌などでも自前主義はやめるべきです。三菱重工の方たちとお話するとコンポーネントも自前で作っているから、インテグレーション能力が高いのだと仰います。それは一理ありますが、例えばエンジンやトランスミッションなどを専用に作れば、生産数は精々100両単位、少ないときは数両単位です。専用であればコンポーネントのコストは極めて高くなります。例えばカミンスやキャタピラーのエンジン、アリソンやレンクなどの変速機はそれらの2桁〜4桁多く生産されています。

トルコの装甲車はこれらの一流のコンポーネントを使っています。耐地雷用の床のクッションは米国のスカイデックス社の製品を使ったりしています。エポックメイキングとなったコブラは米国のハンビーの駆動系を流用していました。

無論彼らも本心では100%トルコ製がいいとは思っているでしょう。ですが、それでは性能とコストが満たせない。だから海外製品を使ってきたわけです。更にこれらのコンポーネントは量産で当然パーツも安いし、世界中で手にはいります。輸出する際には大きなセールスポイントになります。そして近年トルコはエンジンやトランスミッションの国産を進めています。ものには順序というものがあるということです。

ある意味最近の装甲車輌なんてパソコンと同じです。パソコンメーカーはCPUやメモリーなどの主要コンポーネントは外から買って組み立てます。そうしないとコストが合わないし、売れないからです。装甲車などもそうなっています。

例えば我が国の次期装輪装甲車と小型装甲車のプロジェクトは統合して6輪ないし4輪装甲車にする、その駆動系はメルセデスやMAN、タトラなどの軍用トラックを流用するならばコストは大幅に下がるでしょう。あるいはランクルやハイラックスなどをベースにしたより小型のものでもいいでしょう。設計がよければ輸出も可能かもしれません。なんなら設計も海外のメーカーに丸投げしていいでしょう。

中型トラックにしてもいすゞなどの国内メーカーに輸出をする気がないのであれば、調達をやめるべきです。品質も向上しないし、調達価格は高止まりです。また設計者の設計する回数も少ないし、設備投資や研究開発にも金が使えないので性能の向上も期待できません。日本の小火器をみればわかるでしょう。

対して輸出に成功すれば事業として自立できます。生産数が増えれば従業員も更に納税額も増えます。また果敢に挑戦するというマインドが生まれてきます。これだけ世界で日本の車が売れて販売網もあるわけですから、戦闘機を売るよりは遥かに容易なはずです。

それから防衛省と経産省、国交省はATV(All Terrain Vehicle)に対する規制を緩和すべきです。川重などが作っていますが国内では殆ど売られておりません。ですがATVはいわば21世紀のジープであり、今後世界の軍隊で大きな需要が見込めます。

米陸軍のATV(Wikipedia)

また国内でも規制を緩和すればアウトドアや農業、林業はもとより、消防や警察、自治体でも採用が増えるでしょう。また無人車輌のプラットフォームとしても注目されています。

既に世界中に販売網があり、軍用型を開発して世界に売ることはさほど難しいことではないでしょう。

無人機で日本が出遅れ、自衛隊も採用が遅れたのは様々法規制があったことが一因です。こういう事例を真摯に反省して次に活かすべきです。ほんらい首相官邸か内閣府にその司令塔をつくるべきです。ですが官邸の首相補佐官やっているのは、高価で役に立たない米国製兵器を防衛予算で買って米国の歓心を買って自衛隊を弱体化させていることです。

きちんと国家として防衛産業の振興のビジョンを作るべきです。

逆にヘリ産業は潰すべきです。BK117を除けば、ほとんど国産開発品はなく、海外はともかく国内市場でも警察、消防含めて売上はゼロで、防衛省に寄生しています。技術力も低い。それが3社もある。中国やロシアだって国内メーカーは統合しています。こういう50代のおっさんニートみたいな事業を、血税を使って維持するのは犯罪的ですらあります。

まともな防衛産業の振興ができないならば、防衛産業を潰して全部輸入した方がマシです。その方が納税者の利益になります。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年4月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。

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清谷 信一
軍事ジャーナリスト、作家

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