台湾は親中派WHOの無能さを証明

2020年04月17日 11:31

台湾からの報道によると、同国で14日、新型コロナウイルス(covid-19)の新規感染者がゼロだったという。15日には新規感染者が2人見つかった模様だが、新型コロナの猛威が振るっている欧州に住む者として台湾の実績は驚きと共に、希望だ。

台湾は欧州諸国で見られるロックダウン(都市閉鎖)を実施せずに、新型コロナの感染を防いできたのだ。15日現在、感染者数は395人、死者6人。感染者の大半は海外由来である。台湾政府は「気を緩めてはならない」と国民にこれまでと同様、感染防止努力を継続すべきだと訴えている。

▲新型コロナ危機で国際社会の協調を訴える蔡英文総統(2020年4月1日、中華民国総統府公式サイトから)

▲新型コロナ危機で国際社会の協調を訴える蔡英文総統(2020年4月1日、中華民国総統府公式サイトから)

ここまで書いてきて思い出した。台湾は世界保健機関(WHO)に加盟していないのだ。ジュネーブに本部を置くWHOは新型コロナウイルス対策で国連の専門機関として先頭にたって奮闘しなければならないが、WHOに加盟していない台湾が新型コロナ危機の克服で世界に先駆けて実績を上げている一方、中国寄りのWHOのテドロス事務局長に辞任要求が高まっている有様だ。

換言すれば、新型コロナ対策ではWHOはその存在価値がないことになる。世界が不安で動揺している時、専門機関として新型コロナ克服でイニシャチブを発揮すべきだったが、新型コロナの危険さが昨年末の段階で明らかだったにもかかわらず、中国側の隠蔽工作を擁護するような言動を繰り返してきた。

そのWHO事務局トップの中国寄り政策に抗議する声が世界的に高まり、テドロス事務局長辞任要求の署名が100万以上集まる一方、WHOに加盟していない台湾が世界に先駆けてコロナ封じ込みに成功しているのだ。WHOの無能さと台湾政府の危機管理の優秀性が浮き彫りになっている。

もちろん、台湾は過去、WHOに加盟を希望し、2009年から世界保健総会(WHA)のオブザーバー的資格を得ていたが、中国で習近平国家主席が実権を握ると、中国は台湾外しを強め、台湾と国交のある国に対して、経済的支援と引き換えに、台湾との国交解消を強いてきた。その結果、台湾は17年からWHA参加の招待状も滞り、北京にすり寄る国が急速に増えていった。

具体的には、中国共産党政権は、台湾で2016年5月、民主進歩党(DPP)の蔡英文氏が第14代総統に就任して以来、台湾への政治的圧力を強化し、国際社会での台湾の孤立化を画策してきた経緯がある。

ところで、世界が新型コロナ感染の拡大で苦戦している時、なぜ台湾は新型コロナ退治に成功できたのだろうか。一つは2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大で台湾政府が教訓を得、次に来る感染症の襲撃に万全の態勢を敷いてきたことが挙げれる。感染病の拡大を抑えるためにマスクや消毒液の国内生産を主導してきたから、台湾で1月21日、最初の新型コロナ患者が出た時には全ての準備は整っていたといわれている。

一方、中国共産党政権は経済活動に専心し、軍事的には世界制覇を夢見てきた。昨年11月、中国湖北省武漢市で新型コロナが発生したが、その段階で北京の共産党政権が対応に乗り出していたならば、「世界的流行は生じなかっただろう」と多くの専門家たちは見ている。中国共産党政権は1月20日になって、新型コロナウイルスが人から人へ感染することを認め、武漢封鎖に乗り出した。しかし、武漢発新型コロナウイルスはその前に中国全土に拡大し、世界に急速に広がっていったわけだ。

台湾政府は昨年12月31日、武漢市で発生した新型肺炎が人から人へ感染する危険なウイルスだとWHOに通告したが、WHOは台湾政府の警告を無視してきた。台湾政府は武漢市からの飛行便を素早く停止している。一方、北京を訪問したテドロス事務局長は1月28日、習近平主席の新型コロナ対策を称賛し、「その指導力は稀に見る」、「他国も見習うべきだ」とゴマをすっているのだ。

欧州のイタリアを抜いて世界最大の感染国となった米国のトランプ大統領が14日、テドロス事務局長の中国寄り姿勢を批判し、WHOの活動を検証するまではWHOへの拠出金を停止すると発表した。それに対し、テドロス事務局長ばかりか、グテーレス国連事務総長も、「世界が新型コロナ対策に奮闘している時、米国の対応は良くない」と批判しているが、新型コロナ対策を政治化した張本人は米国ではなく、明らかにテドロス事務局長だ。

中国政府は今月8日、1月23日から76日間続いた武漢市の封鎖を解除し、「新型コロナは終息した」と世界に向かって勝利宣言する一方、「新型コロナは武漢から発生した中国ウイルス(中共ウイルス)だ」という批判をかわすために、世界に駐在している中国外交官を動員して、マスク外交を展開し、「中国は新型コロナの最初の被害国」というプロパガンダを広める一方、中国批判を強める米国に対しては、「米国がウイルスを中国に持ち込んだ」という偽情報を世界のメディアに流している。中国共産党政権は新型コロナで16日現在、13万7000人以上の人々が亡くなったという重い事実を深刻に受け取っていないのだ。

ちなみに、台湾は14日、ローマ・カトリック教会の総本山のバチカンとイタリア司教会議に28万個のマスクを贈呈している。中国政府がバチカンに10万個の不良マスクを贈呈した直後だ。バチカンニュースによると、イタリア司教会議シュテファノ・ロッソ事務局長とバチカン薬局代表は駐バチカン台湾代表部マテュ―・リー大使からマスクを贈呈されたという。

バチカンは台湾とは国交を結んでいる。台湾のプレゼントに対し、バチカンニュースは、「中国から先週マスクが届いたが、その2倍以上のマスクが台湾から贈呈された」と控えめながら台湾からの多くのマスク支援を歓迎している。

オーストリア代表紙プレッセ(4月15日付)に寄稿した著名なジャーナリスト、カール・ペーター・シュヴァルツ氏は、「台湾は警告したが、世界は北京からの虚言に耳を傾けた」と主張し、covid-19がパンデミックとなった主因は、台湾が発信した新型コロナ警告を無視し、北京のプロパガンダを鵜呑みにした国際社会にも責任があると指摘している。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2020年4月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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