米国のアクセシビリティ基準が改正される

2020年04月21日 06:00

新型コロナウィルス感染症の情報は、高齢者・障害者・外国人などにも適切に伝えられて、初めて彼らの命が守られる。テレワーク・ネットショッピング・遠隔教育なども同様で、それらが利用できない人をできる限り減らすことは外出自粛につながる。

情報通信機器・サービスが利用できない人を減らすためには、高齢者・障害者・外国人などの利用に対応するように機器・サービスが準備されている必要がある。たとえば、文字サイズが調整できる、音声ガイダンスが流れる、日英の切り替えができる。

手が震えて「ここ」に狙いを定めるのがむずかしい利用者もいるから、リンクに飛ぶには長い文字数のどこを押してもよいように設定するのがよい。

Freepikより

米国ではリハビリテーション法第508条によって、連邦政府機関が機器・サービスを調達する際には、障害を持つ連邦政府職員が他の連邦政府職員と同等に情報とデータにアクセスできるように保証した機器・サービスを調達するように義務付けている。これは、障害をもつ一般市民が公的情報・公的データにアクセスする際にも適用される。

情報通信機器・サービスが対応すべき技術的条件(アクセシビリティ基準)は、2001年に初版が施行され、2017年に改正された。そして今、再改正に向けて意見募集が始まっている。改正のポイントは技術的な条件ではなく、手続きである。

改正の第一点は電子情報技術(Electronic and information technology)を情報通信技術(Information and communication technology)に置き換えること。機器・サービスの大半がネット接続状態で利用されるという現状を反映した修正である。

連邦政府各省の契約担当官が機器・サービスを調達する際には、「要件文書」をチェックする義務も書き込まれる。機器・サービスが障害を持つユーザのニーズにどう対応しているか、障害を持つユーザは機器・サービスをどう利用するか、アクセシビリティ基準をどう満たしているか、そして、どの基準を満たしていないか、などが要件文書には書かれる。

米国では、機器・サービスの提供者が「自主的に」アクセシビリティ基準との整合性について情報提供するVPAT(Voluntary Product Accessibility Template)という仕組みがあった。今回の改正が施行されれば、VPATの要件文書としての位置付けが高まり、VPATを利用しなければ契約担当官は調達できないようになる。

わが国でも日本版のVPATを作ろうという動きが起きているが、まだ、提供者の自発性(Voluntary)に委ねる段階に止まっている。情報提供と利用の義務化に動く米国は、わが国よりもずっと前を進んでいる。

白内障の人に見やすく調整できるNYCサイト

わが国では新型感染症情報の提供についてアクセスビリティ対応に不備が多発している。これに対して、米国では障害者のための情報提供サイトも作られている。この差を見るにつけ、米国リハビリテーション法のようにアクセシビリティ対応に法的義務を課すように国会は動いてほしいと考える。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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