毎日新聞も参戦。アベノマスクVS朝日マスクの不毛な論争

2020年04月22日 06:00

「御社も布マスクを3300円で販売している」

4月17日、コロナ事案下における安倍総理の4度目の記者会見が物議をかもしています。朝日新聞記者からの「布マスク2枚配布」に関する質問と、それに対する安倍総理の答えが、親安倍・反安倍の双方を大いに刺激した模様。

朝日記者「布マスクの全住所配布で批判を浴びているが?」

安倍総理「御社のネット(通販)でも布マスクを(2枚)3300円で販売しておられたと承知しているが、つまり、そのような需要も十分にある中で2枚の配布をさせていただいた」

安倍総理がまさに「自分の言葉で」朝日記者にカウンターを返したことで、ネットは親安倍・反安倍が入り乱れる不毛な争いに発展しています。やれ「朝日涙目」だの、「安倍はネトウヨ」だの。

左から新型コロナ対策本部で発言する安倍首相、朝日新聞SHOPで販売されていた洗える立体ガーゼマスク(官邸サイト、web.archive.orgより:編集部)

確かに、安倍総理の「反撃」はみっともないものではありました。「そんなチンケな情報をよくも金額まで正確に把握してあの場面で言ってのけましたね」と。生き生きしてましたよね、まさに「自分の言葉」で答えた感がありました。「それくらい需要がある話」としてはいますが、朝日への反撃だったことは確かでしょう。

この応答に「違う、そうじゃない」と思う人が多いのも当然で、多額の税金をかけて布マスク2枚を全住所に配る政策について聞かれているのに、値段まであげての「あんたたちだって売ってたじゃないか」と言わんばかりの一言は、余計というか絶句もの。売ったって別にいいわけですから。

政権批判派は戦線を拡大

一方、安倍批判側もどんどんと戦線を拡大し、不毛さに拍車をかけています。「アサヒノマスクはアベノマスクみたいにペラペラじゃない高性能マスクだ」とか、「日本の老舗繊維メーカーが自治体の呼びかけで手がけたものだ」とか。「作り手をバカにしている!」「本来は地方創生の一事業にも相当するのに総理自らがケチをつけた」といった次第。総理が言ってもいないことまで乗っけているのは明らか。

yahooのトップにも掲載された毎日新聞の記事はその最たるものでした。「首相の「アサヒノマスク」発言が物議 2枚3300円の製造元、調べてみると…」と題する記事で、「朝日が売っていたマスクは高性能」、なのに総理に引き合いに出されたことで「ぼったくり」と言われ、「業者は泣いている」とする内容です。

しかしこれは最初の論点からすっかりズレた話に終始しています。総理の言動の是非の次の論点は、「なぜ朝日の布マスクが引き合いに出されたのか」。そこに立ち返れば、「朝日のマスク」が引き合いに出される理由は明らかで、総理の反撃が一部の人には「有効なカウンター」に見えたのは朝日にも原因があるわけです。

朝日新聞は布マスクについて何と書いていた?

朝日新聞は政府による「布マスク2枚配布」が決まった直後に、〈布マスクは有効? WHOは「どんな状況でも勧めない」〉(4月2日夕刊)と掲載したうえ、〈「腹案」布マスク、集中砲火 官僚提案「国民の不安、パッと消える」 新型コロナ〉(4月3日朝刊)とする記事でも、〈患者の飛沫、少しは止めるが… WHO「非推奨」〉と見出しを打っていました。

つまり「布マスクにはコロナ感染を防ぐ能力がほとんどないのに、政府はそんなものを配ろうとしている」と批判する記事だったわけです。

にもかかわらず、朝日新聞は自社の通販サイトで布マスクを販売。これが見かけ上、ダブルスタンダードに見えてしまった。

朝日新聞が問われているのは「布マスクには効果がない」と書いたのに「自社サイトで布マスクを売っていた」というただ一点です。

すでに販売は取りやめられていますが、販売中の分類を見ると「ヘルスケア・美容」「防災」カテゴリーに入れられていた模様で、コロナ対策として売り出したのかどうかは微妙なところ。ただし最近は対コロナ需要で売れていた面もあるでしょうから、そうした実情を企業として報道機関としてきっちり説明すればそれでいいはず。確かにアベノマスクよりもアサヒノマスクの方が高価で高性能のようですから、「防疫効果がずっと高い」というならそう説明してほしいところ。しかしどの記事や書き込みも「高性能」とは書いても「ウイルスを防げる」とは書いていません。

ましてや第三者である毎日新聞は、この論争の構図や、せめてその論争が読者に資するような論を展開すべきだったのでは。

「お気持ち記事」より大事なこと

率直に言って、どっちのマスクが立派かとか、マスクを作った人の気持ちが、という話は最初の出発点とはほとんど何の関係もない話です。特に「お気持ち」に関しては確かにマスク業者は気の毒ですが、それを言い出すとアベノマスクだって「誰か」が作って、日本郵政の人たちが配るわけで、それはそれで大変ですが袋叩きに遭っています。

しかしそんなことはお構いなしに、朝日新聞や毎日新聞の記者たちもツイッターで「朝日のマスクは高性能」「業者の心を傷つけた」という話をツイートやリツイートで拡散しています。

なぜ真っ当に政権批判できるチャンスに、「どっちもどっち」といわれかねない論点ずらしに乗ってしまうのか不思議です。

「朝日マスクはアベノマスクと違って高性能だ!」というツイートをリツイートしている新聞記者さんたちがやるべきは、布マスクが「防疫」に効果があるのかどうかの検証です。もちろん効果があるならそれに越したことはない。高くてもいいからどんどん売ってください。そして「布マスクの効果はアレだけど、ここまで高性能なら防疫能力がある」というならそういう記事を書いてもいいのでは。その線引きをみんな知りたいんですよ、この不織布マスク不足の中では。

画像1

朝日新聞より引用

これが朝日新聞が載せていた「布マスクの防疫効果は如何」の図。確かに朝日が売っていたマスクは実際かなり高性能のようですが、「防疫」については確かなことは書かれていませんでした(こちらが朝日と売っていたのと同じマスクとのこと)。

どうせ論争をするなら、不毛な争いに終始するのではなく、少しでも何かためになる情報をそこから引き出してほしいものです。

 

noteもやっています。安倍政権を褒めたり批判したりする本だけを延々読み続ける「あべ本レビュー」も連載中です。

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