バロンズ:足元の米株ラリー、1929年の急反発に似て

2020年04月27日 11:30

バロンズ誌、今週のカバーは乱気流に呑まれるマーケットの今後のリスクについて考察する。原油相場が急変し史上初のマイナス価格に陥るなど、何があってもおかしくない状況だ。次のパニックの震源地として考えられるのは、マコーネル下院院内総務が州政府の債務不履行を認めるべきと発言したように、財政難に直面すること必至の州政府・地方政府が挙げられよう。その他、財政刺激を打ち出す欧州各国、資源に頼るエマージング諸国や南米諸国など、挙げればきりがないほどだ。詳細は、本誌をご覧下さい。

その他、今週は半期に一度のビッグ・マネー調査の結果が掲載された。市場関係者を対象に4月第2週に実施した読者必見の結果をみると、2020年の米株相場に対し「強気」との回答は39%と「弱気」の20%を上回り、「中立」が41%だった。ところが2021年になると「強気」が83%と、圧倒的多数を占めた。S&P500種株価指数の年末見通しについては、強気派は4月第2週の週初から5.3%上昇の2,805を予想。2021年については、同15.7%高の3,081と見込む。その他、大統領選挙の勝者は、トランプ氏との回答が56%となった。気になる詳細は、本誌をご覧下さい。

(Antonio Campoy/Flickr)

Antonio Campoy/Flickr)

当サイトが定点観測する名物コラムのアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株ラリーに警鐘を鳴らす。抄訳は、以下の通り。

米株は上昇気流に乗るものの、現状に甘んじるべからず―Yes, Stocks Have Rallied. Just Don’t Get Complacent.

米株相場は、ほぼ同額の財政・金融面での対応策が奏功し、1ヵ月前の底値から見事な回復を果たした。新型コロナウイルス感染による死者数が全米で5万人を突破したにも関わらず、S&P500は上昇をたどり、4月20日週には2月19日につけた最高値を16%下回る程度にまで切り返した。米株相場は、新型コロナ治療で有望視されるギリアド・サイエンシズの”レムデシビル”関連のニュースに反応し上下しているようにもみえるが、いずれにしても今月は2011年10月以降で最良のパフォーマンスを遂げそうだ

失業率の急上昇に加え小売業の破産増加見通し、利益見通しの中止にみられる業績不透明感など米経済が極めて困難な状態にある以上、多くの投資家にとって足元の米株高は不思議であるはずだ。マクロ・インテリジェンス2パートナーズのジュリアン・ブリッジェン首席エコノミストは「身の毛もよだつファンダメンタルズと迸る流動性の2つの間で、バランスを取ることに苦労しているようだ」と指摘する。

迸る流動性は、米連邦準備制度理事会(FRB)による政策の賜物で、保有資産は過去2ヵ月間で58.6%拡大し6.5兆ドルへ膨らんだ。景気刺激策も奏功し、3月27日に成立した約2.2兆ドルの景気刺激策に加え、トランプ大統領は4月24日、4,840億ドルの追加策に署名した。

ジョン・ノーマンド氏率いるJPモルガンのリサーチ・チームによれば、米株相場と信用市場は前例のないスピードで回復してきた。ノーマンド氏はスピード感を問題視しないが、その規模、即ち3月23日の安値からS&Pが26.8%高を遂げたことに疑問を投げかける。

チャート:デッドクロスを経て50日移動平均線を終値で上回り、一目均衡表・雲の上限も突破へ?

(出所:Stockcharts)

(出所:Stockcharts)

さらに、S&P500の上昇がテクノロジー関連株主導である点も、留意すべきだ。ストラテガス・セキュリティーズのジェイソン・ディセナ・トレナート氏とライアン・グラビンスキー氏によれば、FMAGA-フェイスブック、マイクロソフト、アップル、グーグルの親会社アルファベット、アマゾンが上昇の20%を占めた。IT会社の巨人は、明らかに経済的な衝撃に対する耐性をもつ。しかし、全く影響がないとも言い切れない。

ベテランのエコノミスト、ゲイリー・シリング氏は世界恐慌に陥った1929年を振り返り、当時も急激な反発を経験したと語る。同氏は、市場関係者が世界恐慌レベルの景気後退入りするリスクを直視した暁に、米株が高値から84%急落すると見込む。

コロナ禍を受けた恐怖の第1段階が過ぎ、投資家は財政政策と金融政策が正常化を促すとみなし、シリング氏はこの状態を大袈裟なセンチメントの振れと一蹴する。同時に「万事問題なし」の姿勢は、1929年当時と変わらないと指摘。さらに「今後、長く深刻な景気後退に陥る公算が大きく、サプライチェーンの途絶などがもたらされるだろう」と悲観シナリオを描く。

仮に店舗やレストランが再開しても、消費者はコロナ禍以前のように外出し財布の紐をゆるめることをためらうだろう。シリング氏はまた、再開した中国経済が輸出需要の低迷に直面すると見込む。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は米経済の急激な悪化を受け、ゼロ金利を再開させると同時に無制限の量的緩和に踏み切った。また、企業や地方政府に対する緊急資金供給措置を決定し、クルーズ会社カーニバルや航空大手デルタ航空、服飾大手ギャップなどを支えている。

FOMCは、依然イールドカーブ・コントロールやマイナス金利といった過激な政策手段を残す。次回4月28~29日開催の会合を含め暫くは追加策を講じないだろうが、未曽有の危機「決してないと判断すべきではない」ということだ。

――S&P500のうちFAAMGすなわちフェイスブック、アップル、アマゾン、マイクロソフト、グーグルの比重は17.5%に及びます。アマゾンを始め過去最高値を更新する銘柄があるなかでは、S&P500がラリーを演じるのも不思議ではありません。今後もアマゾンは10万人の採用計画を発表したように恩恵を受ける企業が牽引する期待大ながら、同時にグーグルはマーケティング費用削減が囁かれ、アップルのiPhone売上にも厳しい予想が出ています。

何より、5月と言えば「5月に売り逃げろ」との投資格言もあります。特に今年は、過去の経験則を踏まえると上昇が期待できるとは言いづらい。1896年以降、大統領選直前にダウが11月から4月にかけ下落した場合、5月から10月の平均リターンは0.6%安大統領選イヤーでない場合は、1.5%安となります。今年は「今回は違う」パターンを迎えるのか、経験則を踏襲するのか、まずは決算内容と業績見通しがヒントを与えてくれるでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年4月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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