トランプ大統領が金正恩のそれなりの重病を示唆?

北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長の状況について、トランプ米大統領は4月27日記者の会見で「彼が無事であることを願っている」「彼がどうしているおおむね承知しているが、いまは話せない」「あなたがたもそう遠くないうちにわかるだろう」とした。(AP通信:U.S. President Donald Trump told reporters Monday that he has a “very good idea” about Kim’s health but couldn’t talk about it and wished him well.

CNNは20日に、アメリカ政府当局者の話として、正恩氏が手術後に重篤な状態になっていると伝えた。

しかし、トランプ氏は23日の会見では、「それは、古い資料に基づいた不正確なものだと聞いている」としていた。それに比べると、なんらかの重い病気であることを認めた一方、死んだとかいうニュアンスではないようでもあるが、少なくとも、何も起きていないとは考えていないとみているようだ。

トランプ大統領は先に金正恩からメッセージをもらったとしたが、北朝鮮はこれを否定した。後継者といわれる金与正らからなんらかの状況についての連絡があり、それをトランプは口走ったが、そのメッセージは内々のものだったので公式には否定せざるを得なかったのではないか。

朝鮮中央通信、ホワイトハウスYouTubeより

一方、あいかわらず、韓国政府は楽観的な見通しを流し続けている。信じたくないニュースは否定する方向に流れるのは、一つの国民性だ。それに、文在寅大統領になって、北へのスパイ活動を縮小しているのも情報収集力を弱くしているといわれる。

韓国の文在寅大統領の外交ブレーンとされる、文正仁・統一外交安保特別補佐官は、4月26日に米FOXニュースに対し、金氏は健康で13日から別荘のある元山に滞在していると説明した。

韓国の文正仁・統一外交安保特別補佐官(Wikipediaより)

また、2002年1月から2004年6月にかけて、金大中・盧武鉉両政権の統一部長官を務め「太陽政策」の立役者である丁世鉉氏は、27日にKBSラジオ番組に出演し、「健康異常説」のもととなった太陽節行事に不参加した事情につき新型コロナウイルス拡散にともなう「一種の社会的距離確保の次元」とし、「数日後には(金委員長が)現れるだろう」と予測している。

さらに、「元山にいるだろう」「三池淵市の労働者に励ましの手紙を送り、シリア大統領にも祝電を送った」「北朝鮮も間違いなく新型肺炎に感染しているだろう」「公に言わないだけで、新型肺炎の保健医療協力をきっかけに南北和解協力の雰囲気が作られている。北朝鮮に対する呪い、南北関係の改善に対する不安感が重なって登場した呪いの呪文」と強弁している。

一方、日本のマスコミは「死んだ」とか「植物人間」とかいっているが、これも日本流の希望的観測には、確たる根拠なくとも流されやすい国民性だ。それに、日本は制裁を強化して以来、朝鮮総連そのものの情報収集力も落ちている。1990年代に私も通商産業省で半島問題を担当していたが、当時は総連ルートの情報は非常に豊富で正確だった。