どう見る、経済復興

2020年05月01日 14:00

アメリカのパウエルFRB議長がアメリカ経済の復元に時間がかかるとコメントしています。どれぐらいの時間をみたらよいのでしょうか?そして日本経済はどのような復興を目指すのでしょうか?

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

アメリカと日本を単純比較することはできません。理由の一つに従業員/労働者の扱いが違うからです。アメリカやカナダはレイオフを通じて業績が悪くなれば雇用関係を簡単にぶつ切りにします。私の知るいくつもの小規模の会社でも影響を激しく受けたところはおおむね8-9割の労働者をレイオフしています。100人いれば8-90人が即時一時解雇です。ものすごい荒治療です。職を失った人たちは失業保険やそれ以外の生活支援金を貰い、経済が回復してくれば企業が雇用を再開するという流れです。

一方、日本には一時解雇という制度がないので企業は従業員を抱え込んでいます。これはとてつもなく大きなコスト負担になります。安倍首相は5月6日で切れる緊急事態宣言を延期する方向としてますが、仮に5月いっぱいもダメとなると資本力のない企業の体力はより厳しくなります。

この違いだけ見れば北米の方が回復力が高いように見えるのですが、北米企業も経済回復後のシナリオを十分に描き切れていない可能性が高く、雇用再開をした時、どのような「ゲームチェンジ」をするのか、それが読めていません。

ご承知の通り、北米の経営スタイルは短期志向で結果重視型です。多くの経営者は株価連動型のストックオプションなどが報酬の多くを占め、通常の給与は少ないものです。よって1-3月期で痛手を負い、4-6月期がマイナス40%にもなると見込まれれば経営者は自分の報酬がなくなってしまうリスクがあるのです。そのため、雇用再開時に雇用を絞り込むなど厳しい対策を取るのではないかとみています。

リーマンショックの際にGMが倒産しました。あの高賃金体質の会社を生まれ変わらせたのは倒産したため、過去の約束事を一回チャラにしてゼロスタートを切れたからなのです。その際、最も際立ったのが賃金で、猛烈なカットをすることでGMの復活がなされたのです。

今回、すでに倒産する会社が出てきていますが、このぐらい悪くなると一度倒産させた方が再建しやすいという発想すらできます。日本では考えられないのですが、アメリカの航空会社がかつて当たり前のように倒産したのもそのような理由もあります。アメリカの大型倒産はむしろコロナ後が要注意かと思います。

企業の1-3月決算が出始めていますが、アメリカで急速に売り上げが悪化したのが3月ですので売り上げ3割減が基準線になります。4-6月については少しずつ回復の兆しが出てくるというシナリオです。ただし、一部のIT関連などを除き、数字として回復してくるのは6月以降なので一般企業の4-6月期の売り上げは7割程度の減になると見込まれます。とすれば年間を通じておおむね3-6月分の3-4カ月、年間の1/3がなくなったとして売り上げが3-4割減というのが妥当な線かと思います。

トランプ大統領が楽観的なのは下期(7-12月期)に需要の急回復を見込んでいる点でこれは私も同調します。よって業種によっては1-2割程度の減収で収まりところもあるのだろうとみています。

一方、日本は新年度入りした4月からほぼダメで現状、6月いっぱいが企業活動に一定の制約が出ると思います。また消費者がすぐに戻らないことも考慮すれば、3月決算をベースでみれば約4カ月分の消滅が視野に入り、機会損失という意味での単純計算売り上げは30%マイナスになります。ただし、日本の場合、上述の雇用のフレキシビリティがなく、利益率も薄い企業が多いので利益幅でみれば大幅赤字、ないしリストラが先々出てくるのかもしれません。

また、機会損失と申し上げましたが、飲食店やホテル、運輸、航空会社は時間をさかのぼってサービスを2度お願いすることはできないので機会損失は100%となるのですが、製造業や建設業、小売業などは比較的リカバーしやすい体質にあるとみています。一概に数字は扱えないのですが、飲食店などは小資本や個人経営も多いため、自主廃業とそれに伴う不動産所有者の賃料収入の減少という連鎖、ひいては不動産価格の下落ぐらいはあるのかもしれません。

正直なところ、日本はコロナの幕引きがうまくいくかどうか、そこにかかっているかと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年5月1日の記事より転載させていただきました。

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