9月入学問題について小一時間考えてみた

2020年05月03日 11:31

ども宇佐美です。
小池知事と吉村知事が政府に分権を求めたこともあり、9月入学の議論が盛り上がっているようで、多少は制度的なことを学んでおかないといけない事情もあるので、少しばかり調べたことをまとめておきます。

写真AC

まず結論から言えば私の意見は今のところ

「入試の時期を(コロナが流行りやすいと思われる)冬からずらすために、大学は9月入学を基本とした方がいい、また、小中高の入学時期は地方分権して弾力的に決められるようにした方がいい。」

というものなのですが、以下理由、背景を述べていきます。

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・そもそも現状入学時期については、大学は学長の裁量で決定可能で、他方で小中高は一律で4月入学とされています。

・根拠となっているのは学校教育法施行規則第59条の以下の条文で、小学校について定めたものですが、中学も高校もこれを準用しています。

学校教育法施行規則
第五十九条 小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる

・これは文部科学省で定める省令に過ぎないので、法技術的には9月入学を実現するのは非常に簡単です。ただ併せて日本の教育制度の根本的な部分を考えなければいけなくなります。

・日本の教育制度は小中高は「年齢ー履修主義(=年齢に応じた授業をきちんと受ければOK)」、専門学校〜大学(以下「大学等」)からは「課程ー修得主義(=科目ごとにテストで実力測って修得すればOK)」を取っています。

・このように高校までは「年齢ー履修主義」を取っているため「(多少の差はあれ)同い年のみんなで一緒に同じカリキュラムの授業を受ける」ということが基本原則となっているため、仮に9月入学を原則とすると少なくとも学校単位では全員9月スタートとしなければおかしなことになります。

・もちろん一つの学校で4月スタート組と、9月スタート組を作るという案もありえますが、その場合原理的に授業の数が2倍になるので、おそらくほとんどの学校が教師も教室も足りなくなるでしょう。そんなわけで少なくとも学校単位では教育リソースの問題で生徒の入学時期を統一する必要性があります。

・他方そもそも9月にコロナ騒動が完全に収まっている保証もなく、むしろ第二波がくる可能性が高いので、この段階で「9月」と入学時期を一律に決める明確な理由はありません。

・ただ実際既に全国の小中高で事実上入学時期がずれ込んでしまっているのは間違い無いのですから、帳尻を合わすために、各都道府県ごとに実情に応じてスタートする時期をずらしたほうが望ましいことは間違いなく、入学時期は各都道府県知事が実情に応じて決めるのが合理的でしょう。(もちろん入学時期をあえてずらさず夏休みの補修などで調整するという判断もあり得る)

・そうなると必然的に来年以降の大学等の入学の時期をずらす必要性が出てきます。それは現行制度でできることですし、そもそも冬は新型コロナが流行しやすい(と思われる)状況がそろっており、その中でわざわざ入試という形で密集空間を作り出すこともないでしょう。

・そんなわけで、1時間弱で適当に考えた結論としては
①入学時期は都道府県知事の権限で任意に設定できるようにする
②大学等の入学時期はそもそも現状でも自由に各学校の学長が決められるが、9月を標準として設定し直す
というようなことがいいと思います。

ではでは今回はこの辺で。

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宇佐美 典也
作家、エネルギーコンサルタント、アゴラ研究所フェロー

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