「新しい生活様式」を自分たちの手で

「新しい生活様式」にがっかり。要するにこれは「避難生活」であり自ら行う「自粛」を「強要」されているモードである。なんせ「新しさ」がほぼない。真面目な市民は緊急事態宣言の前から心が得ていることだ。さらには、こんな状況を「楽しく」する創意工夫もたりない。

私なら「困っていることを発信する習慣(特に、いくつかの全国紙記事がふれていたが、現状のWFHの弊害、副作用、労働強化の側面が気になっている)」「適度な運動の具体例」「感謝する習慣」「適度な運動の具体例」「不謹慎と言われない楽しい行為の例」「飲食店やエンタメ産業を応援するためのお金の使い方(何よりも楽しみ方)」「疲れない、でも日々が楽しくなるおしゃれ」「(お金に余裕ある人が)寄付する行為」「帰省を行うガイドライン」などを提唱する。

まあ、一部の職業に関する差別はやめよう発言は評価するけれど、相変わらずふわふわしたポエム会見。だいたい「新しい生活様式」がポエム。そして、何を再開して、何をしないのかの基準も謎。いや、図書館の再稼働は物書きとしても、教員としても嬉しいし、なんせ学生の卒論の進め方が劇的に変わるのだけど。こういうときに「足を引っ張るな」「文句を言うのはやめろ」という人に限って、人望がなく立場と強権、ちょっとしたエリート意識でマネジメントしようとする人だったりするのだけど。私に言わせると、こういうときにちゃんと意見を言うことが大事。これぞ、古くて新しい行動様式。

最後に、大好きなこの言葉を。

「こんな時代にバカをやる。それ自体に意味なんてない。叩かれて、叱られるだけだ。でも、オレたちはバカをやる。それは、時代を変えるためじゃない。時代に、テメェを変えられないためだ。いまだ!バカやろう」

数年前の、すぐに放送中止になった日清食品のCMにおけるビートたけしのセリフ。明らかにガンジーの名言へのオマージュなのだけど。人に迷惑をかけることは、この状況下ではよくないけど。でも、変えられる前に、変わらなくてはいけない。働き方改革の正体は、働かせ方改革だった。新しい生活様式は、お前に言われなくても、自分で始めなくてはならない。


編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2020年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。