ICT利用教育に動く文部科学省とメディアの姿勢

2020年05月08日 06:00

緊急事態宣言が延長された。すでに2か月以上休校が続き、特定警戒13都道府県では再開の見通しが立っていない。

文部科学省は、休校中であっても最低限取り組むべき事項等を4月21日に通知している。通知には家庭学習の充実、家庭学習状況の把握、ICTの最大限の活用など重要な項目が含まれている。

文部科学省は4月16日時点での公立学校における学習指導(家庭学習)の取組状況について発表した。それによると、教科書や紙の教材の活用は全国の公立学校で100%実施、テレビ放送の活用は24%、教育委員会独自作成の授業動画利用が10%、デジタル教科書やデジタル教材の活用が29%、同時双方向型のオンライン指導が5%となっている(複数回答あり)。休校期間中にすでにICTは利用されている。

家庭学習の学習評価とICT環境の整備などについて会見する萩生田文科相(4月24日、文科省YouTubeより:編集部)

学校教育の在り方について最近の社説を読み比べた。

日本経済新聞(4月30日)は上記調査結果を引用し、それでも「授業の遅れを取り戻せない懸念が生じている」と指摘する。そこで「官民の協力で今できる可能な手立てを尽くした」うえで、「恒久的な制度としての秋入学の可能性について国民的な議論を期待」と意見する。

朝日新聞(4月29日)は、今後の教育について「柔軟な発想で臨み、マイナス面を小さくする施策をあわせて講ずる」と提案する。ICT利用教育はマイナス面を小さくする施策の一つのはずだが、オンライン指導5%というネガティブな情報だけを示している点は気にかかる。

毎日新聞(5月6日)は、「オンラインでやりとりする授業の導入を予定している自治体もごくわずか」「不登校の子どもを対象として、ICTなどを使った自宅学習を学校が出席扱いにできる制度は15年前からある。だが、活用はあまり進んでいない」とネガティブに終始する。

毎日新聞社説のタイトルは『長期化する休校 学びの機会確保が急務だ』である。そして、毎日新聞は「学びを守るためにいま、何をすべきか。知恵を出し合い、早めに手を打たなければならない」と社説を結んでいる。

文部科学省の調査結果にあるテレビ放送・授業動画・デジタル教科書やデジタル教材の利用は、学びの機会確保に役立つ。民間企業は、「スタディサプリ」など、児童生徒が都合のよい時間帯に勉強するオンデマンド教材を提供し、すでに広く普及している。毎日新聞にはICT利用教育に目を向けてほしい。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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