死亡?撹乱?金正恩登場を読み解く7つの視点

2020年05月09日 06:01

金正恩の重態説と心理戦説は未だ未知数

朝鮮中央通信より:編集部

中国のことわざに「騙す奴も悪いが、騙される奴も悪い」と言う教訓がある。現代は情報化時代を迎え情報洪水時代とも言われる。洪水が発生すると飲める水がなくなる。

従って、呑める水を引き出すためには、浄水器のように鋭い情報分析を使って、賢明な判断が求められている。

金正恩の脳死説など健康異常説が世界中に盛り上がる最中、5月1日、金正恩が急に現れ、世界中を驚かせた。

しかし、今回、現れた金正恩は偽物であり、写真と映像も合成された可能性が高いと専門家の間で指摘されている。他方、金正恩は心臓病施術で回復して、今回の行事に現れたと言う見方も多い。

世の中に出回る情報は約97%以上がオープンソース(OS)情報であり、残りの3%は秘密保持期間が半永久的なトップシークレットだ。それは言わばケネディ暗殺の謎のようなミステリアスな秘密情報だが、鋭い分析能力を持つインテリジェンスの専門家は、公表された事実から大筋を把握していると考える。

ちなみに、金正恩の健康異常説に対する様々なOSを深層分析して、導き出した私なりの解釈をまとめて見たい。あくまで、確定した最終判断ではなく、推定であり、確定までは相当の時間が掛かることは前置きしておく。

❶まず、5月1日、順川肥料工場の大会は、今年1月7日に行われた順川肥料工場訪問イベント動画を焼き直し編集し、再放映したものではないか?5月1日は北朝鮮で労働者最大の休日だから大勢の人々が動員されたとは考え難い。

特に、行事場看板の年号が「主体108年」ではなく「2020年」と表記されたのも不自然だ。さらに、行事場演壇の写真が屋上で撮影されたようだが、それは暗殺防止のためには考えにくい。

撮影日を強調するように映し出した写真(朝鮮中央通信より引用)

❷金正恩は昨年9月末から身を隠して以降、写真のみを公開。

11月末に叔父の金平日が帰国

1月3日、米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官の「斬首」実行。

直後に金正恩は新年の辞をキャンセル

4月15日、金日成生誕・太陽節欠席

4月25日、建軍節欠席

5月1日、順川肥料工場行事で肉声なし。

以上の日程・時系列の流れを見極めると当然、疑惑が膨らんでくる。また5月1日当日、平安南道順川の温度は27°だったが、金正恩は革コートと冬服着用の姿も疑惑を招いている。

❸金正恩は右手首の注射跡をわざと見せ掛けたが、それこそ合成映像であることを裏付けるのではないか。さらに,2018年4月1日、金正恩は親善訪朝した韓国芸術団の前で「素晴らしい公演団をお送りして頂いた文在寅大統領に感謝します。金正恩委員長にご報告させて頂きます」と言及し、自ら代役であることを認めた。今回、現れた金正恩も周りの側近に目礼をしたが、本物の金正恩は一度も側近に目礼した事がない。

❹5月1日、平安南道順川肥料工場の群集イベントは米国偵察衛星に映されてないと認識されている。従って、米国は、北朝鮮の誤魔化しを見抜いていると考えられる。

❺5月2日、トランプ大統領は「金正恩生死については未だ言わない方がいい。適切な時期に言いたい」と発言した。

❻北朝鮮は、金正恩の死亡説が国内にどんどん広がり、国内で大混乱を誘発させる危険性を払拭するために、5月1日、金正恩のアーカイブ映像を編集して公開したのではないか?

特に、翌日、休戦ラインでわざと韓国軍警戒所に機関砲射撃を敢行したのは金正恩の健在を誇示しようとする意図的な挑発と考えられる。同時に、文在寅政権と金正恩政権は蜜月関係・共同運命と言う韓国民の疑いを払拭する狙いも帯びていると考える。言わば、一石二鳥の狙いだ。

さらに、コロナ危機で北朝鮮経済が崩壊寸前の最中で党、軍、住民の不平不満がいつ爆発してもおかしくない厳しい環境で危機を造成すると同時に金正恩のカリスマ性を上げる狙いがあるようだ。

❼最後に、金正恩死亡説が流れたタイミングは4月12日、韓国の総選挙直後から始まったので対南心理戦の可能性が高い。特に、父親の金正日の葬儀式動画を金正恩が死亡したかのように焼き直し編集して流した。それこそ、文政権の不正選挙疑惑がエスカレートする最中で韓国の大騒ぎ騒動に水を交える為の対南心理戦と推定される。

同時に、金正恩死亡説を流して側近中の裏切り者を摘出する狙いも帯びているのではないか?過去には1986年、金日成死亡説を流した先例があることからしても、死亡説がカウンター情報・心理戦である蓋然性が高い。

ちなみに5月1日の金正恩の登場当日、米国はB-1B戦略爆撃機4機をグアム基地に移動、再配備しており、大規模な米軍戦力を東アジアに集結展開中である。

結論として現時点では、金正恩は「健康回復説」と「対南心理戦説」が説得力を得ている。しかしながら「脳死説」が全くないとは言えず、生死可否の確定は彼の肉声と実際の動画が出ない限り疑問は捨て切れない。もし「対外心理戦説」の通りであれば、金正恩が雲隠れすることによる心理戦と撹乱戦術は今後とも長引く可能性がある。

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高 永喆
拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防省専門委員

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