緊急事態宣言は9月までに解除か?国民の我慢の限界は8月説

2020年05月12日 06:00

自粛の限界、アメリカでは暴徒化

5月4日、安倍首相は緊急事態宣言を5月31日までの延長を決定した。既に先行して都市部ではGW明けの自粛解除は困難という判断の下、早々に学校休校の延長を5月末までと決定し、特段の驚きもなく受け止められているが、事業者にとっては肝を冷やす日々が続く。

緊急事態宣言で休業中のそば店(編集部撮影)

一体、自粛はいつまで続くのだろうか。

国の自粛解除設定の基準が遅いということで大阪府からは早々に解除に向けた基準を独自に示しはじめ、西村康稔担当大臣とひと悶着があるなど、徐々に自粛に向けた議論も始まっている。ただ「いつ解除されるのか」というのは、最大の関心事でありながら、ほとんど発言されていない。

しかし、実はこの課題こそコロナ自粛の核心的課題であり、誰も口にしないが皆解除時期を一定想定しながら動いているのは自明の理だ。

当初、短期間での抑え込みが可能と判断したからこそ、教育委員会もとりあえず学校休校という措置を取ったが、長期化することが見え始め、9月入学といったキーワードが飛び交い始めたわけだ。この時点で当初の予測がひっくり返っている。

経済も同様で、莫大な融資が続々と決定しているが、7月までの資金繰りをするというのと年内いっぱいの資金繰りをするというのでは全く意味が変わってくるし、年内いっぱい収束しないならば、今実行されている融資が無駄になるケースも続出する。

自粛については、コロナウイルスの抑え込みと経済的影響の両睨みで現在解除を模索しているが、今、議論の蚊帳の外に置かれているのは、「自粛に国民がどこまで耐えられるか」という観点だ。自粛によって、経済的ダメージのみならず、ストレス過多によるDVや虐待の増加も報告されるなど違う課題も出てきている。特に子どものストレスが日増しに高まることを懸念する専門家も多い。

また、これだけ自粛を呼び掛けているにもかかわらずGWの沖縄行きの渡航予定者6万人に上るなど、すでに我慢が出来なくなってきている者も増えつつある。

日本より厳しいロックダウン(都市封鎖)を早くから実施したアメリカでは「STAY HOME」に耐えきれない人たちがテキサス、イリノイ、フロリダ、テネシー、インディアナ、アリゾナ、コロラド、モンタナ、ワシントンなどの各州で、数百人規模のデモを繰り返すなど暴徒化しつつある。

Lorie Shaull/flickr:編集部

4月15日、ミシガン州では外出禁止令の延長に反発した人たちが車で州議会を取り囲むという4000人規模のデモにまで発展している。現在の日本では考え難いが、「ウイルスより経済が大切」といったプラカードに書かれた過激な文字もまたひとつの現実として受け止める必要がある。

国民の過半数が自粛は夏が限界

そこで、自粛に関する緊急アンケート(4月29日~30日・京都地域創生研究所調べ)を実施した。自粛環境にいつまで耐えられるかというと問いに「収束するまで頑張る」と回答した者が40%である一方、夏休みまでと回答した者が47%、夏休み明けまでを加えると55%と過半数を上回った。

併せて、自粛環境はいつまで続くかという問いに対しては、夏休みまでが50%、夏休み明けまでが25%と回答しており、概ね4人に3人は9月までには日常を取り戻せると信じている。

基本的に「ある程度覚悟している、だからそこまでは頑張る」ということなので、2つの質問は原則連動しているのだが、市民の半分は「夏前までしかこの環境には耐えられない」と捉えている。もちろん、コロナが抑え込めないと自粛させざるをえないのだが、夏を越えると市民の不満やストレスは限界を超えてくる可能性を示唆している。

同時に、今ですら自粛要請に従えない者がいる中、夏を越えると自粛要請に従えない、従わない者も確実に増え、そうなれば結局封じ込めはうまくいかないという結果になりはしないだろうか。

政府は国民の自粛ストレスの軽減対策を積極的にやることはもちろんだが、こうした実態も大いに考慮して自粛の強弱を考えた方がいい。遠方からも来訪者を懸念して大型公園ども閉鎖しているが、例えば入り口で身分証を確認して地元民だけには開放するなどの緩急もつけねばなるまい。また、封じ込め政策から、山中伸弥京大教授の仰るようなコロナとの共存政策というシナリオへのシフトも検討すべきかもしれない。

同時になし崩し的に事業をするのではなく、自粛解除のシナリオを時期ごとに各事業ベースで早々に作成し、実行に移せる状況を確保することだ。学校現場でいえば、自粛解除想定時期を7月、9月、1月、3月に分け、7月解除なら夏休みの動きをどうするとか、12月まで続いた場合卒業を全学年で一年遅らせるとか、学習用タブレットを全生徒に配布するなど、今のうちから想定し、対処していかねばどんどん後手に回る。

ちなみに極めてイレギュラーだが、教師の休暇を今の段階で増やし、夏以降土曜日を活用し授業を再開すれば、夏休みの活用と併せて現行の運用でもギリギリ教育課程をこなすことが可能ではないかと思う。こうした様々な時期にあった対処想定をどんどんやっていかねばならない。

非常事態解除に向けての検討

自粛に関してより深刻なのは経済だ。経済的指標の予測や企業の業績予測はすでにあちこちに出ているのでここでは割愛するが、先述のアンケートから経営者だけを抽出すると違う側面が見えてくる。彼らにとっていつまで耐えられるかというのは、まさに会社の存続に関わる話で、「GW明けまで」が31%、夏休みまでと回答したのが22%だ。

中小零細の3割がGWまでしか耐えられないと答え、過半数は夏休み明けまでしか耐えられないと回答している。これが中小零細の実感値だ。

GW後、一気に資金繰りが悪化していく懸念の中、国の給付金はすでに申請を済ませていたとしても、入金の目途が立っていないものも多く、このままでは入金される頃には企業が倒産しているなどという笑えない話が続出する。

指標は常に大企業を軸に作られていくが、中小零細の現場をしっかり見据えた政策が必要なのと、経営者も解除時期別の想定シナリオを確立する必要に迫られている。

政府与党はすでに東北大震災の時に二重債務を円債免除にした事例(住宅が流された世帯に対し住宅ローンを国が肩代わりした)に倣い、債務の返済免除なども視野に入れ検討しているようだが、どこまで実現するのかは今のところ見えてこない。

経済的被害から発生する自殺者の急増、失業、所得激減、国民の自粛に伴う過度のストレスといった課題は、コロナウイルス同様に脅威と捉え、国民の実情を的確に捉え、封じ込めから徐々に解除の方向へ舵を切ることを具体的に考えていく時期に来ている。

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村山 祥栄
前京都市会議員、大正大学客員教授

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