ドラゴンボールで理解する経済再開のためのコロナ対策

2020年05月14日 06:00

あたらしいせーかつよーしきってか!? 現場の状況も知らずにムチャなことばっか言って…

そりゃ大企業で働いてて雇用も安定しててテレワークも全然できる職種ならいいけどさ

感染症専門家に限らず今のエリートさんたちの議論は、上滑りで、生身の人間一人一人が生きて死ぬってことの勘案ができてるのか、超不安だわ。

私は経営コンサルタントの仕事以外に、「文通」を通じて個人の人生に対するコーチング的な仕事もしてるんですが、そのクライアントには老若男女、地方に住んでる人も都会に住んでいる人も外国に住んでいる人もいます。

その中で上記のコメントは、地方政界で頑張るお姉さん(落選中)から最近来たメールの抜粋なんですけど、政府不信というか、当局不信というか、一部で相当高まっているんだな、ということを感じさせられました。

緊急事態宣言が「1ヶ月程度」延長されることが決まり、終わりの見えない自粛生活に不安の声が高まっているのを感じます。

だからとにかく経済再開を目指したい、それは今突然の苦境に叩き込まれている業界の人たちを中心とした切実な声だと言えます。

1. 最大の課題は、自分たちの対処方針が全然共有できていないこと

現状の最大の問題は、専門家会議を中心とする日本の当局も、その経済再開を目指したビジョンを一応は持っていると思われるにも関わらず、あまりにも国民一般とのコミュニケーションが壊滅的に取れていないので、相互不信から不安ばかりが募ってしまっていることです。

今国が何を考えてどっちに進んでいるか不安だから、自分自身で情報を取りに行こうとして変な陰謀論にハマってしまったり、イライラして攻撃的になってしまい、一部の感染者に対するバッシングにつながってしまったりする。

日本の10倍とかいうレベルで人が死んでいる欧米のリーダーが逆にやたらSNSで称賛されたりする流れがあるのも、その「自分たちがやっていること」を明確に情報共有してくれる存在が今の日本にいないことの不満の裏返しなのではないかと思います。

読者のあなたも不安でしょうか?

そういうあなたに、情報を整理して現状を共有し、これからどういうことをやっていけばいいのか?を整理するのはコンサルタントの仕事の基本なので、この記事では日本の専門家会議の方針の整理と、今どうなっていて、今後自分たちがどういうことを考えていけばいいのか?についてまとめる記事を書きます。

そして記事後半では、「経済再開派」と「あくまで慎重派」との間のコミュニケーションを整理し、どうすれば「最適なタイミングで最適な経済再開ができるのか」について、私たちが今考えるべきことを述べます。(人によっては前半は”わかってるよそんなこと”的な話になるかもしれないので、詳しい方は飛ばし読んで後半へお進みください)

2. まずは基本的な考え方「ハンマーアンドダンス戦略」について知ろう

緊急事態宣言が先月出されてから、「文通」の仕事で日本全国の老若男女のいろんな人と関わっていて危ないなあと感じていたことは、その文通してる本人はともかくその周囲にいる家族や同僚さんたちには、「ゴールデンウィークが終わった頃には嘘みたいに問題が消えてなくなっているんだろうから、1ヶ月だけ頑張ろう」と思っている人が多かったことです。

根拠のない「●●になったらよくなるはず」にすがるのではなくて、長期的な見通しを持って持久走を走るつもりになることが大事ですよね。

そのための基本的な考え方が、「ハンマーアンドダンス」戦略です。(いまさらそんな基本の話からはじめるの?・・・と思う人もいるかもしれませんがまず基本を共有しないことには)

制御不能レベルまで増えすぎた感染者数を、「まずはハンマーでぶっ叩く」ことが必要な段階・・・それがここ一ヶ月ぐらい続けてきた日本の緊急事態宣言や欧米のロックダウンです。

5月1日にでた専門家会議の資料から図を引用しますと、

上図の「徹底した行動変容の要請で新規感染者数を劇的に抑え込む」と書かれているところが「ハンマー」です。

日本においては緊急事態宣言を出して、日本中に「自粛を要請」したことで、諸外国のような法律的な強制力や罰金などの制度なしに、かなりの効果をあげることができました。そのことは「俺ら頑張ったじゃん!」的に自分たちを褒めてあげていいところでしょう。

ここで重要なことは、過激に経済を止める方策に出て「ハンマー」で新規感染者数を減らしたのは、「ボクメツ」するためではありません。そうではなくて、「コントロール可能な数」に減らすことで、そこからは「経済を回しながら対処できるようにする」狙いがあったんですね。

それが「ダンスwithコロナ」の時代がやってくる…という話になります。

同じ資料からの引用ですが、全国でも東京でも新規感染者数は大きく下がってきています。

じゃあさっさと経済再開させろ!!!(つまり”ハンマー”を終えて”ダンスwithコロナ”をスタートさせろ)…という声が高まってきているわけですが、結局「あと一ヶ月程度」は延長せざるを得ないという決断を、日本の専門家会議は下すことになりました。

ここに「経済再開派と慎重派の間の意見が分かれるポイント」があるわけです。

3. 状況把握のために、クリリンとヤジロベーをイメージしよう

ここにある「議論」を少年漫画的なイメージで言うと、昔「ドラゴンボール」で、はじめて地球に来たベジータに、悟空から託された元気玉をぶつけようと必死にクリリンが狙っていたとき、ヤジロベーが

なにやってんだバッキャローッ!はやくそれヤっちまえよーっ!!

と叫ぶシーンがありましたが、まさにそういう状況なんですね。

ドラゴンボールに登場するクリリン(Melgar/flickr)

専門家会議(クリリン)が懸念していることは、拙速に経済を再開させてまたオーバーシュート状態になりかけ、もう一度強烈に経済を止めなくてはいけなくなってしまうことを恐れている。

経済再開派(ヤジロベー)は、ダラダラと今の経済を止めた状態を続けたら持ちこたえられない会社が全国にたくさんあることを懸念している。

クリリンとヤジロベーのイメージをあてはめてみると、今の状況が明確に理解できますね?

ここまでで「基本的な状況」を整理しました。記事後半では、このイメージをもとに、「理想的なタイミングで経済再開させ、もう二度と経済を止めずに済むようにするには、私達はどうしたらいいのか?」について考えてみます。

(次回に続く)

  • この連載の趣旨に興味を持たれた方は、コロナ以前に書いた本ではありますが、単なる極論同士の罵り合いに陥らず、「みんなで豊かになる」という大目標に向かって適切な社会運営・経済運営を行っていくにはどういうことを考える必要があるのか?という視点から書いた、「みんなで豊かになる社会はどうすれば実現するのか?」をお読みいただければと思います(Kindleアンリミテッド登録者は無料で読めます)。「経営コンサルタント」的な視点と、「思想家」的な大きな捉え返しを往復することで、無内容な「日本ダメ」VS「日本スゴイ」論的な罵り合いを超えるあたらしい視点を提示する本となっています。
  • この記事への感想など、聞かせていただければと思います。私のウェブサイトのメール投稿フォームからか、私のツイッターに話しかけていただければと。

倉本圭造 経済思想家・経営コンサルタント
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倉本 圭造
経済思想家、経営コンサルタント

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