10万円受給手続きで難渋する老人の怒り

劣悪なソフトでマイナンバー使用が難航

コロナ感染拡大が収束に向かい始め、ほっとした矢先、特別給付金10万円を受取ろうとしたお年寄から、行政事務のいい加減さに対する猛烈な怒りのメールを頂きました。アベノマスクでも、不良品の発生、送付の遅れに国民はあきれ果て、逆効果になっています。

この方は私の知人で、現役時代は日本を代表する電機メーカーの役員をされ、半導体の研究、開発、生産を担当、今もパソコンを自在に駆使されています。

私宛てには、マスクはおろか、自治体から10万円給付の申請書類も来ていませんし、手続きはマイナンバーでなく、郵便で済まそうと思っています。パソコンの使用は初心者レベルですので、知人の怒りのメールをそのまま転載いたします。お読みください。

写真AC:編集部

12日より、特別給付金の申請ができるようになりました。とんでもない劣悪なソフトです。

1.  パソコンに総務省のマイナポータルAPというソフトをダウンロードすると、動作環境が整っていませんと、止まってしまう。調べてみると、Internet Explorer11、Microsoft Edge, Microsoft Chromeのどれがインストールされているかで処理が違うのです。

普通の人がこんなことでスムーズに利用できるわけはありません。

2. マイナンバーで電子証明を取ろうとすると、カードの暗証番号と、電子署名の暗証番号が違うので、間違える人が多いのです。入力で少しでもルールから外れると、フリーズします。

通らないので5回もトライすると、口座がロックされて、市役所の窓口で再設定するよう要求されます。窓口は大行列ができていて、何時間も待たされます。

このコンピューターは何がインストールされているか自動検出してダウンロードできるソフトにすべきです。日本は漢字入力というハンディを抱えていますが、キャシュレスもマイナンバーも普及していないIT後進国なのです。

こんなことでコンピューター産業革命は乗り切れません。

システム工学と教育改革の推進が急務です。

私は2,3年前にマイナンバーカードを取得しました。銀行、証券の口座用にナンバーを記入するよう求められましたし、税務署の確定申告の際もナンバーの記入をしています。国が把握しているはずの金融機関の口座に、居住している自治体を通じて、即時に10万円を振り込めば、繁雑な手続きはいらないはずです。

行政組織間の連携がうまくいっていないのでしょう。マイナンバーを使って、富裕層の資産、所得を把握していれば、本当に困っている人達に限り、10万円を支給することだってできるはずです。せっかくデジタル処理システムを刷新し、テストする絶好の機会を迎えたのに、残念なことです。

コンピューター教育といえば、小中学校でデジタル教科書、副読本を使うことに新聞協会が猛反対してきました。あまりデジタルツールに馴染んでしまうと、思考能力に影響がでるとかが表向きの理由でした。本音は「紙離れが進み、新聞が売れなくなるから反対」なのでしょう。

コロナで休校の措置が取られ、オンライン教育に注目が集まり、アフター・コロナの時代には、こうした使い方があらゆる次元で進みます。新聞界が時代から取り残されることがないよう願っています。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2020年5月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。