法人の税金対策に「アメリカ不動産投資」が適している理由 --- 柳原 大輝

2020年05月19日 06:00

税制改正後も「法人は」損益通算が可能

とても短い4年間で減価償却できるアメリカ不動産を個人で保有し、日本の個人所得にぶつけて節税する税制に改正が入ってしまい、大きな物議を醸した(2020年12月31日までは可能)。しかし、法人では未だ可能である。

※画像はイメージです(born1945/flickr:編集部)

知らない方のために説明すると、日本の税制で「築22年以上の木造物件」は、とても短い4年間で減価償却することができる。それをアメリカ不動産で適用することで更に大きな減価償却費を出すことができるようになり、それを日本の法人の利益にぶつけるというものだ。

なぜアメリカ不動産のほうが効果が大きいかというと、建物の価値の割合が影響している。

不動産は、土地と建物により構成されており、減価償却ができるのは建物だけだ。不動産価格に対し、建物割合分を4年間で償却する。日本は、狭い面積に多くの人が住んでいることもあり、土地の価格が高く、建物が安い傾向にある。建物比率は20%程度だ。

対してアメリカは、日本の25倍の面積に、日本の2.5倍ほどの人口しか住んでいないため、土地が安く、地域や物件によって異なるが建物比率は80%程度となる。

建物の価値の割合が大きいほど、同じ価格でも、より大きな節税メリットを享受できるのだ。

例えば1億円の物件の場合、日本の場合は20%である2,000万円を4年で償却するため、年間500万円の減価償却費となる。対してアメリカは80%である8,000万円を4年で償却するので、年間2,000万円もの償却費を出すことができる。

2,000万円に法人実効税率の約35%を掛けた700万円を節税することができる。つまり、節税効果だけで年利7%の効果ともいえる(700万円 ÷ 1億円)。それを、定額法により4年間同額分を節税できる。これは、4年間でほぼ確実に28%のリターン(2,800万円)を手にすることができるということだ。

また、日本においては、耐用年数を過ぎた建物の価値がほぼゼロになってしまうこと、融資は基本耐用年数分の期間しか借りることができないことから、実際は、ほぼこのスキームを使うことができない。一方アメリカの場合、不動産の建物比率分は半永久的に残るため、このスキームを使うことができる。

アメリカ不動産は、建物価値が「半永久的に」残る

アメリカでは、建物が古くなっても、物件価値(価格)や家賃が下がることはなく、むしろゆっくり上がってゆく。これには2つ理由がある。

ひとつは人口増加だ。アメリカでは毎年約1%ずつ人口が増加している。総人口が約3億人なので年間約300万人である。大阪市の人口が約270万人なので、アメリカの内に毎年大阪市ができているようなものだ。

東南アジアと聞くと、人口増加が激しく経済成長しているイメージを持つ人が多いだろう。しかし実際のところ、東南アジアの平均人口増加率は、アメリカと同じ約1%だ。

つまり、アメリカは先進国にも関わらず、発展途上国並みに人口が増加し続けている、最強国なのだ。これを国家戦略として不動産価値の安定した増加、GDPの成長のためにコントロールしているのだ。

不動産価値や家賃は、基本的に需給バランスによって決まる。人口が増えれば増えるほど、不動産の需要も上がり価値が上がるのは当然だろう。

逆に、日本は、人口が年間約50万近く減少している。毎年マイナス0.4%だ。総務省のデータでは、2050年には総人口が1億人を下回るともいわれている。また日本の空室率は年々増加しており、総務省が5年に1度発表する「住宅・土地統計調査」の最新版・平成30年のデータでは約20%となっている。

ちなみにアメリカ合衆国商務省国勢調査局のデータによると、アメリカの空室率は2019年6.4%、2018年から0.4%低くなっている。

アメリカは、国家戦略として不動産価値を上げている

ふたつめはゾーニングである。日本は、「スクラップアンドビルド」といって新しい建物がすぐ建ち、古い物件の価値が下がっていく不動産の文化がある。

一方アメリカの場合、国がゾーニングという法律を厳しく設けており、新しい建物を簡単に建てられないようになっている。新しい建物を建てるだけでなく、2LDKを3LDKに変えるだけでも許可を取るのに数年を要し、また取れないことも多い。

これは「不動産」における、資産価値の下落リスクを起こさせないためだ。不動産に、毎年価値が上がっていくというメリットがなければ、国民は資産として不動産を持たなくなってしまう。

そのためアメリカには築22年どころか、100年を超える物件も多くある。年間の不動産売買件数のうち日本は新築が80%、アメリカは5%というデータもある。

このゾーニングにより、既に建っている建物をメンテナンスしながら住むという文化が国家戦略として根付いている。そのため、新しい建築物のほうが高く、古い建築物が安いという概念がないのだ。

極端な話、全く同じ間取りの、新築と築100年の築古物件が同じエリアで真隣に並んでいたとしても、物件価格や家賃はほぼ変わらない。

アメリカには「夢のマイホーム文化」がない!

またアメリカでは平均して、7年に1度引越しをする文化がある。例えば、77歳まで生きるとなると、人生で10回は引っ越すことになる。

一方、日本には「夢のマイホーム文化」があり、建てた家に生涯住み続けるケースが多い。よって、住宅用の不動産流動性がとても低いのだ。

アメリカでは、結婚したら2LDK、子供が1人できたら3LDK、2人目ができたら4LDK、子供が巣立ったら1LDKと、家族構成によって、どんどん引越しをするのが普通だ。一生のうち10回もマイホームを買うことはできないので、中古の家を転々とする文化となっている。

これら2つの理由から、日本のように古くなっていくことで価値が下落することなく、人口増加やゾーニングによって価値が上昇しつづけるのである。

法人の税金対策、今後の主流はアメリカ不動産?

法人節税市場は、年間約3兆円。その中の8割ほどが、航空機オペレーティングリースと保険で行われている。しかし、両者ともに近年、コロナウイルスなどによる航空機業界リスクや、度重なる税制改正により、厳しい状況を強いられている。

例えば、航空機リースの場合、以前は融資を引いた分も償却費として損益通算が認められていたが、税制改正により、現在では現金で入れた部分のみしか通算できない。

また、特に新型コロナウイルスの影響で、この航空機オペレーティングリース業界にも多大なリスクが起きている。実際に、2020年4月末時点でコロナの影響により既に4社の航空会社が倒産している。ヨーロッパ最大級のLLC航空会社フライビーが3月6日に、またオーストラリアの航空第2位のヴァージンオーストラリアも4月21日付けで破産宣告をしている。

航空会社は飛行機の約半分を自社保有、もう半分をリースしている。なので、航空会社の傾きは航空機オペレーティングリースのリース料不払いリスクや、売却時の価格下落リスク、流動性の低下リスクに直結する。過去にはJALの破綻などによる多くの節税対策で、航空機オペレーティングリースをしていた投資家が数百億円単位の損失を被った例もある。

保険の場合は、そもそも保険加入するからといって融資を引くことができないことに加え、いわゆる全損に税制改正が入り、全額損金となるのは「最高解約返戻率が50%以下のもの」のみとなり、解約返礼率が高いものは損金になる部分が段階的に制限されていくこととなってしまった。

そこで現在は節税効果としてはイマイチである「半損」となり、また全従業員を対象とすることが条件となり、実際に利用している法人での節税メリットの希薄化と厳しい条件が重なってしまった。

離職率が高い会社では、短期間で辞める社員については非常に低い返戻金となることで、単純に持ち出しになっているケースもある。また、全員加入なので、役員のみがピンポイントで入る保険に比べると出口対策が難しく、節税より福利厚生的な意味合いが色濃いだろう。

それぞれの商品を比較をしてみよう!

航空機リースの場合

【航空機リース】
・年間利回りはゼロ
・キャピタルゲインは年間0.3%程度
・融資は受けられない
・通常10年間保有(現金塩漬け)

利回りがゼロな理由は、100億円の航空機の場合、50億円は融資、残りの50億円を投資家からエクイティという形で募集するからである。航空機からの利回りは、この融資の返済に全て当てられてしまい、投資家には返ってこない仕組みになっている。

キャピタルゲインは、通常10年間のリースでおよそ2~4%だ。年間にすると、年利はたったの0.3%。キャピタルゲインを狙っていないという方もいるとは思うが、2019年の日本のインフレ率0.99%にも負けてしまう数字なのだ。

10億円投資していた場合、その差額である約0.7%を掛けると、1年につき700万円、10年間で7,000万円も損を出していることになるのだ。節税を目的としているのに10年で税率を7%上げてしまっているようなものである。

節税するためにも、インカムゲイン、キャピタルゲインを総合的に判断しなければ、本来の目的である節税以上の損失を被る場合もある。

航空機リースの場合、買ってから10年間はリース期間として、投資したお金が返ってこない。減価償却ができる期間は2年で、最初の年に約80%、翌年に20%償却する。つまりその後8年間は償却ができないのに現金が塩漬けになってしまうのだ。

また融資に関しても、前途の通り、融資を引いた部分は損益通算できないようになってしまった。なので、現金で出した額部分しか通算できず、レバレッジが効かないので非効率である。

保険の場合

【保険】
・年間利回りはゼロ
・キャピタルゲインは基本マイナス
・融資は受けられず、現金で出した分の半分の額を損金として計上する
・保有期間は半永久退職するまで(現金塩漬け)

保険においては、利益の圧縮希望額が毎年1億円だった場合、半損なので「毎年」2億円入れる必要がある。資金効率が悪く、基本退職するまで現金が塩漬けになってしまう。

もちろん保険として安心、社員への福利厚生効果等もあるとは思うが、節税が目的ならば今一度考え直してみるのも策である。

アメリカ不動産の場合

【アメリカ不動産】

年間ネット利回り5%
キャピタルゲイン年間2~3% = 5年で10~15%
融資可能で、その分も償却費として損益通算可能(節税にもレバレッジが掛けられる)
保有期間4年、4年間償却なので、4年で償却終わったら5年目に売り、そのお金で次の物件を買えば良い(資金効率が高い)

利回りは、エリアにもよるが年利5%ほどである。

よく、「節税というのは、あくまでも税金の繰越ではないか」という人がいる。航空機も保険も基本その通りであるし、法人節税に関してはそうなってしまう。

しかし、アメリカ不動産の場合、毎年家賃収入という利回りが年間約5%ある。例えば、5%で6年間物件を保有していたら30%となり、税金の繰延をしている間に、インカムゲインで繰越した法人税分を稼いでおくことができる。

「税金対策」としてアメリカ不動産を保有するために

節税対策としてアメリカ不動産を保有するために、事前に2つの準備ができる。

①経常利益をどのくらい圧縮したいか算出する
例えば、毎年5億円の経常利益が出ている場合、法人税は実効税率42%となり、なんと211,981,600円だ。それを最大ゼロにするには、経常利益5億円を圧縮する必要があり、そのためには約16億円(≒156,250,000円)の物件を保有すればよいことになる。
計算方法は簡単で、下記の通りである。

『参考物件価格 = 圧縮したい経常利益 ÷ 80%建物比率 × 4年償却年数』

【例】参考物件価格:5億円 ÷ 80% × 4 = 156,250,000

これは、経常利益を72%増するのと同じ効果だ。

必死に売上を上げるより断然に少ない労力で、これほどキャッシュベースに大きなインパクトのある「節税」という飛び道具を手にしないのはもったない。

②資金効率を高める
①を終えても、現金がなければ物件を保有することができない。
アメリカの購入物件の価格の50%までは、その物件を担保に融資が引ける。

残りの50%は現金、というのが一番スムーズな方法だが、日本にある他の不動産(個人のものでも、法人のものでもよい)の放置されている余力担保を使って第2順位以下の融資を引き、それをアメリカの物件の購入にあてる方法がよく使われるスキームだ。およそ余力担保の8割ほどの融資を引くことができる。

【例】融資額:(担保に取る物件価格 – 第1順位融資の残債)× 80%

そのほかにも、保有株を担保にしたり、取引先の金融機関からのプロパー融資など、様々な方法で、資金効率を更に高めることもできる。属性により大きく異なるので、専門家に依頼し、自分に合ったものを確認することをお勧めする。

柳原 大輝   WIN/WIN Properties, LLC 共同代表/株式会社WIN WIN Properties Japan 代表取締役
日本を含む、アジア圏におけるクライアントの資産運用サポートのため、2015年より東京オフィスに籍を置く。これまで2,000名の個人投資家、600社以上の資産管理会社・事業会社・金融機関の資産運用(安定したインカムゲイン、機会を狙ったキャピタルゲイン、戦略的な節税対策等)をサポート。今後も、主に法人の資産運用アドバイザリー、弊社ファンド事業の拡大に力を入れる。

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