北朝鮮との密な関係も露呈した「正義連」、元慰安婦問題の行方

2020年05月22日 06:00

事件の主役が唐突に覚醒して、脚本を書き舞台を回してきた組織や一味が狼狽する事態が日本と韓国で起きている。いうまでもなく森友問題といわゆる元慰安婦問題だ。安倍政権に反対する勢力に利用されたとYouTubeで吐露した籠池夫妻のことは書いたので、本稿では韓国の方を考えてみたい。

今月初めに永い眠りから覚めたのは元慰安婦の李容洙(92)。映画のモデルになり、訪韓したトランプに抱きつきもした、この問題のいわばシンボルだ。筆者は、07年に米下院が「旧日本軍慰安婦謝罪決議案」を全員一致で可決した際、彼女がした米議会での証言が特に忘れ難い。

李容洙氏(KBSニュースより:編集部)

その李氏が7日、「これ以上水曜集会には出ない」と発言した。その後、騒動は慰安婦支援団体「正義連」(尹美香代表)の不正会計に発展し、韓国は蜂の巣を突いたようだ。だが、先ずは彼女が「何といったのか」を見ておかないと「日本の糠喜び」になる。8日の韓国紙中央日報から拾ってみる。

  • 学生たちが勉強もできずに出るのは絶対にダメだ。私は水曜集会に参加しない。
  • 学生たちが出した義援金はどこに使うかもわからない。現金が入ってくることを知ることもできないが、義援金や基金などが集まれば被害者に使うべきなのに被害者に使ったことはない。
  • 92年6月から雨が降ろうが雪が降ろうが、暑くても寒くても必ず水曜日ごとに集会に行った。小学生、中学生が親からもらったお小遣を集めて私たちにくれたがそのたびに心がとても痛かった。
  • ところが、それをすべてどこに使ったのか。食事することに使ったのか?違う。しばらくはそのように使ったが、主管団体が使った。これを被害者に使ったことがない。
  • 集会は憎しみと傷だけを教える。正しい歴史教育を受けた韓国と日本の若者たちが仲良くなって対話をしてこそ問題が解決される。
  • 挺隊協にも3年関わったが、壁掛け時計を一つ買ってほしいと言っても買ってくれなかった。
  • 挺対協博物館を建てるといって私が代表になったが、代表の扱いをされたことがない。
  • 15年韓日協定当時にも10億円が日本から入るのに、(尹)代表だけが知っていた。外交部も責任がある。被害者がその事実を知るべきなのに彼らだけが知っていた。
  • 慰安婦問題は挺対協の代表を務めていた尹美香氏が来て解決しなければならない。尹氏は国会議員になってはならない。この問題を解決しなければならない。
  • 芸は熊が見せ、金は主人が取るということか。

何のことはない、やはり金・金・金だ。慰安婦問題はなかった、などとは一言もいっていない。つまり、元慰安婦の李氏のみならず、「正義連」(*挺対協)も慰安婦支援目的とは名ばかりで、実は金と反日活動が目的だった、と明らかになったということだ。*両団体は今も併存している(中央日報)

これには、朝鮮半島問題で日本に批判的な和田春樹教授も、「正義連は慰安婦問題を提起して日本政府・日本国民を反省させるのに大きな功績があった。そのような努力がなければ進展がなかったことなので、今回の事態には胸を痛めている」と朝鮮日報の電話取材に答えている。

和田氏といえば「アジア女性基金」の専務理事を務め、理事の大沼保昭氏らと事業を推進した。国際法学者の大沼氏は、元慰安婦をめぐる韓国内の抗争を著書『「慰安婦問題」とは何だったのか』に描き、朴裕河教授(「帝国の慰安婦」の著者)と共に会見も開くなど中立な立場だ。が、「胸を痛めている」和田教授が北贔屓から「覚醒」することはあり得まい。

その北朝鮮について、朝鮮日報は21日の「尹美香夫妻、慰安婦休養施設で脱北者に『北に戻れ』と懐柔」との別記事で、正義連と結び付きに焦点を当てる。記事の脱北者とは、16年に中国寧波の北朝鮮レストランから韓国に逃れた男性支配人と女性従業員12人のこと。

尹美香氏(KBSニュースより:編集部)

同支配人は、尹夫妻が彼らに北朝鮮に戻るよう勧め、挺対協が「民主社会のための弁護士会」の一人を通じ毎月30万-50万ウォンを彼らに送金したとして口座も明らかにした。夫の方が北朝鮮の行事に出席した際の写真を見せ、「将軍様」「首領様」と頻繁にいい、北朝鮮の革命歌謡を歌ったとも述べた。

正義連(挺対協)は元慰安婦に渡した金の何倍もの額を脱北者を北に戻すために使ったとある。21日、半島情勢に詳しい朴斗鎮は自らのYouTube番組で、北朝鮮と挺対協、そして日本社会党との関係を示す以下の年譜を示した。

  • 1987.8 広島長崎の「原水禁世界大会」で李愚貞(韓国女性運動の草分け)が社会党清水澄子と長崎湾船上(KCIAを警戒)で北朝鮮との連携について会談
  • 1990.9 第十八富士山丸問題で海部内閣が金丸訪朝団を派遣。26日、自民党・社会党・朝鮮労働党の間で日朝3党共同宣言
  • 1990.11.16 「挺身隊問題連絡協議会(挺対協)」結成
  • 1991.5.25 北朝鮮女性代表団来日。団長は呂ヨン九(祖国平和統一戦線議長)
  • 1991.5.27 社会党傘下の「日本婦人会議」が「アジアの平和と女性の役割シンポジウム」を日本で開催し、北朝鮮3名(呂団長)と挺対協共同代表尹貞玉ら3名が共闘合意
  • 1991.8 金額順記者会見。挺対協の慰安婦問題関与本格化
  • 1991.11.25 ソウルで第2回「アジア-シンポ」。呂団長訪韓し挺対協との連携強化
  • 1991.12.6 金学順訴訟始まる
  • 1992.8 北朝鮮で「朝鮮日本軍性的奴隷及び強制連行被害者補償対策委員会」できる
  • 1992.9.4 平壌で第3回「アジア-シンポ」
  • 1992.9.5 在北朝鮮慰安婦とシンポ参加者が座談会
  • 1992.9.5 金日成と李愚貞が面会

これを見れば北朝鮮と挺対協の密な関係が明らかだが、日本社会党の関わりの深さも知られる。年譜に出てくる清水澄子は元日本社会党の参議院議員。11年5月にソウル新聞の取材に以下のように述べて、朴斗鎮氏の年譜を裏付ける。

  • 北朝鮮訪問は何度か・・24回です。
  • 北朝鮮問題に関与する契機は・・1972年北朝鮮の招請で初めて平壌を訪問した。北朝鮮で博物館、歴史展示館などを見て、日本が韓半島を植民支配したとのことを初めて知った。女性運動、平和運動をする私が日本のこういう野蛮な行動を知らずにいたというからものすごく衝撃を受けた。
  • 1991年の韓国と北朝鮮の女性交流に参加した契機は・・1987年8月、李愚貞女性団体連帯共同代表が「原水爆禁止世界大会」に参加するため来日した。李代表は「同族なのに四十年以上会っていない。北朝鮮について何も分からない。日本で北朝鮮女性に会うことができないか」と依頼された。誰に会いたいかと尋ねたところ、呂ヨン九最高人民会議副議長を言うではありませんか。その後4年間人伝で北朝鮮に手紙を送った末に日本大会の開催が決定されました。恐らく金日成主席に手紙が伝えられたと思われます

昨年後半に、文在寅が金正恩に忠誠を誓う主体思想の信奉者だ、との報道が流れた。その真偽は措くとしても、文政権が極めて北と融和的であることは間違いない。とすれば、北と連携する正義連(挺対協)代表の尹美香が、先般の国会議員選に「共に民主党」から当選したことも腑に落ちる。

森友問題で籠池夫妻は、反安倍勢力に利用されたとしつつ自らの詐欺事件の無罪を主張する。が、筆者が彼らに望むのは安倍総理夫妻の関与の有無を明らかにすることだ。元慰安婦問題でも韓国は、会計不正事件に矮小化するのでなく、慰安婦問題とは何だったのか、その本質に迫ってもらいたい。

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