国民も政府も夏の旅の準備にすぐかかるべき

2020年05月27日 17:00

写真AC

ヨーロッパはバカンスに出かける準備完了

フランスでは政府が、「みなさん、バカンスへの出発への準備を始めてください」と呼びかけた。いまヨーロッパでは、この夏のバカンスがどうなるかということが、国民的な関心事である。

ドイツ人などは「イタリア人のように楽しく夏の1か月を過ごすために、残りの11か月間をドイツ人として辛い11か月を生きる」と言われるくらいだから、もうそれができなくなるとなれば人生の大きな部分を失うようなことなのだ。

そのあたりのドイツ人の南欧への思い入れは、『日本人のための英仏独三国志 ― 世界史の「複雑怪奇なり」が氷解!』(さくら舎)や「『365日でわかる世界史 世界200カ国の歴史を「読む事典」』(清談社)をご覧頂ければ理解していただけると思う。

それに、南欧諸国では就業者の2割くらいが観光産業で生きているというほどだから、なおさらだ。

だから、もうヨーロッパは感染の蔓延がバカンスの前に終わらせるために頑張って自粛を続けていると言わんばかりだ。ただ、国境を越えての観光はダメかもしれないということで心配している。なにしろ、2週間も足止めなどされてはたまらない。

私のFacebook友達の1人は、イギリスからフランスには自家用車で移動できたが、飛行機でイタリアの別荘に行ったところ、別荘で2週間足止め、違反したら刑務所行きと言われたそうだ。

まあ、今年は国内というのが主流かもしれないが、それでは、南欧経済がもたないので、ドイツは別に財政支援をせざるを得なくなるだろう。

日本は観光再開より休業で金もらう方に関心

それに対して、日本人は観光再開に余り熱心でない。観光業者もなんとなく、観光再開を運動するより、政府から金をもらう方に熱心な気がする。

また、インバウンドはもういいとか、愚かなことをいっている。では何をするのかといえば、国内観光とか、製造業回帰とか、てづくりの世界へとか愚かなことをいっている。

これからたしかに、「三密観光」は敬遠されるだろう。再流行の恐れがあるさしあたって数年かはかなり厳しいだろうし、それ以降もまったく元に戻ることはないだろう。

京都・八坂の塔(写真AC:※画像はイメージです)

しかし、それは観光客も業者も量でなく質の高い楽しみに単価を上げて移行すると言うことだ。

そのときに、インバウンドでなく国内観光客なのか?ありえない。たとえば、修学旅行などのようなものこそ三密でだめなのであろう。それに対して、お金を使ってくれる中国人観光客などコロナ以前に増して大事にしなければならないはずだ。

人気観光地は、事前予約、クレジットカードで事前決済で時間帯ごとに三密が生じないように厳格にコントロールすべきだ。展覧会も同じだ。そうするとたくさん回れなくなると言うひともいるだろうが、これまで、列を作ったりして無駄に時間を使っていたのを回避できるメリットもある。

そもそもコロナがなくても、ミラノの「最後の晩餐」も、グラナダの「アルハンブラ宮殿」も北京の「紫禁城」もそうなっているし、ルーブル美術館も、万里の長城もそうなることが予定されていた。

これは、感染症対策だけでなく、文化財保護やテロ対策のうえでも必要なことだ。クレジットカードでの事前決済は身元確認の意味もあるが、これからは、マイナンバーカードやパスポートも登録させるべきだ。

都道府県間の観光解禁を

それから、自粛解除のなかで都道府県間の移動制限がまだ入っているが、これも地方ではおかしい。だいたい、四国や中国や東北など人口数百万だし、九州でも1千万人ほどで東京都の人口より少ない。

せめて、ブロック内は移動自由にするべきだ。さらに、まもなく、西日本全域は移動自由でいいのではないのか。そういうことを知事さんたちがいわないのはおかしい。

都道府県のなかだけということは、鳥取県など人口60万人、世田谷区の人口が94万人だからそれ以下の県も8つもあるのだ。

手作りなどというのは、ハイテクや観光で儲けたあがりを少しかすめられる程度の問題で経済全体のなかではネグリジブルな意味しかない。

製造業振興は結構だし、頭がいい人材を医者にばかりして、そんなものは、コロナのときも役に立たず、頭脳よりもっと医学そのものに情熱がある医者が求められることも今回よく分かったはずだ。だから医学から産業にシフトして欲しいが政府は医療に金をばらまくことばかり考えているから望み薄だ。

そもそも、産業の競争力が落ちてきた国が過去の蓄積を生かして儲けるいちばんいい道が観光なのである。

政府は早く「三密は避ける工夫をしつつ今年の夏は帰省して親に会ったり観光地でゆったりリフレッシュを」と呼びかけるべきだ。そのほうが、無駄に旅行券買うより有効だ。どうも財政支出を無駄にしないとダメなように勘違いしている。財政出動は民間の意欲を引き出そうとしてもダメなときの最後の手段だ。自動車にしても新車に夏休みまでに買い換えを呼びかけるべきだと思う。

そのくらいしないと日本人は観光に出かけないと思う。なにしろ楽しみを罪悪視しがちな国民なのだ。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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