バロンズ:5月も米株高で「今回は違う」相場展開、今後も続く?

2020年06月01日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは経済活動再開を受けて上昇期待が高まる観光・旅行関連株を取り上げる。全米で最大のテーマパークを抱えるウォルト・ディズニーは、7月から営業を再開する方針を表明した。

全米50州で経済活動が再開するなか、過去2週間でホテル株、クルーズ関連、航空株はそろって20%以上も急伸している。外出禁止措置を受け、米国人の間では明らかにペントアップ・ディマンドが高まる状況で、一連の株価は未だ年初来で30%以上も下落しており、今後の上昇余地は大きいのではないか。バロンズ誌は特にスピリット航空、サウスウエスト航空、デルタ航空、エクステンディッド・ステイ・アメリカ、リンドブラッド・エクスペディションズ・ホールディングス、マラソン・ペトロレリアム、そしてラスベガス・サンズの7銘柄に注目。その背景など詳細については、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週のカバーは米株高を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

カバー写真:Alonso Javier Torres/Flickr

米株は数週間継続へ、ただし確実性が高まったわけではない―The Market’s Rally Could Linger for a Few Weeks. That Doesn’t Mean We’re in the Clear.

統計というものは、季節調整がなされるだけでなく、公表された途端に陳腐化してしまう。米2月雇用統計が格好のサンプルであり、3月6日に公表された数字は労働市場の活況ぶりを反映し、非農業部門就労者数は前月比27.3万人増だった。失業率などは、約50年ぶりの低水準を記録したものだ。 しかし当時既に新型コロナウイルスが全米で大流行する過程にあり、誰も見向きしなかった。

その翌週、このコラムで米4~6月期実質GDP成長率をめぐり警告した。まるで洪水で水位が高まる状況で豪雨に警戒を促す天気予報士のように、エコノミストは4~6月期の実質GDP成長率予想をそろって前期比年率20%以上へ下方修正した。

経済指標の注目は、頻繁に公表される週次のデータに集まるようになる。その他、スマートフォンから抽出できるデータの他、オンライン検索、客足パターンなど、日々の人々の行動が読み取れるものにシフトしてきた。

最も注目度が高い米新規失業保険申請件数は、継続受給者数を含め直近で明確な改善のサインを点灯させた。さらに、5月ベージュブックでは採用が困難と回答する企業が確認された。雇用主は理由として、多くの失業者は給与を上回る失業保険を選択する傾向があると指摘。その他、失業者は再就職後の新型コロナウイルス感染リスク並びに子供を託児所に預けられないリスクを回避していると説明していた。

RBCキャピタル・マーケッツのトム・ポルセリ氏率いるエコノミスト・チームは、グーグルでの”失業保険を申請”とする検索回数の減少や、連邦失業保険支払額の減少に注目。同時に、連邦政府による600ドルの上乗せにあたるパンデック失業給付(PUB)の終了時期が7月末にあたるため、失業率は5月を含め数ヵ月にわたり20%以上で推移すると見込む。

ダラス地区連銀は、モバイル端末から取得した位置情報を元に社会的距離(ソーシャルディスタンシング)指数を発表した。その社会的距離指数は、外出禁止措置による経済活動の急低下を受け3月半ばに急上昇しつつ、足元では低下トレンドをたどり、経済が底打ちし改善しつつあるかのようだ。しかし、4~6月にかけての急落が極めて大きく、今後上向いたとしても経済活動は低水準にとどまるだろう

チャート:経済活動の再開と共にS&P500が上昇し社会的距離指数は低下(チャートでは逆目盛り)

作成:My Big Apple NY

エバーコアISIは、7~9月期と10~12月期の米実質GDP成長率見通しを前期比年率20%へ上方修正した。ただし、4~6月期の同40%減を経てからの回復にとどまるため、同社の予測では米実質GDP成長率が2019年のピークを回復するには2022年まで待たねばらならない。

同時に、エバーコアISIは失業率の10%割れは2021年7~9月期以降と予想する。また、米大統領選直前の9月失業率についても、14%を見込む。

ただし、同社は家計純資産の増加を予想。根拠として米株相場の最高値更新、住宅価格の上昇、預金の増加などを挙げる。確かに、足元の米株高は目覚ましく、S&P500は4~5月の過去2ヵ月間で2009年以降、最大の上昇率を記録。4月は3月23日の底値から17.79%高、5月には36.06%高を遂げた。出遅れていた金融株の上昇が顕著で、金融セレクト・セクターSPDRファンド(XLF)は今週6.8%も急伸している。

J.P.モルガンのストラテジストは、購買部協会景気指数の動向を踏まえ、景気循環銘柄のローテーション・ラリーとバリュー株の買いが今後4~6週間続くと見込む。しかし、彼らは「投資家が米株買い戻しの流れに長居するとは限らない」と指摘、夏にかけ労働市場の弱まりと共に買いの勢いが弱まると見込む。投資家は、全ての指標を隈なく注視すべきだろう。


「5月に売り逃げろ(Sell In May And Go Away)」の投資格言は、今年について言えば「今回は違う(This Time Is Different)」という別の名言に取って代わられたようです。各国中央銀行と政府が財政政策と金融政策で景気を下支えするだけに、カネ余りと言われて久しく、ユーフォリア継続を信じて疑わない方々も増えて参りました。

過去「今回は違う」との見方が主流となった時、相場は反転してきたものです。今回は過剰流動性に支えられ、このまま空前のバブルへ突進していくのか。経済活動の正常化と共に、外出自粛に伴う米株投資熱が冷めなければよいのですが。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年5月31日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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