知っトク解説:今回は“国債”

先週、令和2年度第二次補正予算を閣議決定しました。「事業規模」は117兆1000億円程度で、そのうち国費は一般会計が約31.9兆円、特別会計が約1.1兆円、新型コロナウイルス感染症対策予備費が約0.2兆円です。そのうちの国費33兆円は全て国の借金、国債の発行によって賄われます。

国債とは国が発行する債券であり、この債券を買った人は満期に利子分がついてお金が戻ってきます。一方で国は利子分の債務を負うことになります。国債には、建設国債と赤字国債の2種類があります。

国の借金、国債が悪いわけではありません。例えば建設国債は道路や橋などを作るために発行されます。道路は1年で完成しませんし、利用するのも1年間だけではありません。だから、その年の税収だけで払うのではなく、建設国債を発行してローンを組むという意味になります。これから生まれてくる子供が大人になっても道路は使えますから、その費用を世代にまたがり負担することは理にかなっています。その一方で赤字国債は国の歳入の穴埋めに用いられるという意味でもあります。これは、今年の予算で足りない分を補うわけですから、今生きている世代が使うお金を将来の世代から借りてくるという意味でもあります。

最新の建設国債等の赤字国債の残高はこのようになっていて、さらに東日本大震災の復興債を加えると、巨額の債務残高になっています。

国債残高(※2020年3月末)
建設国債(4条公債) 273兆円
特例交際       618兆円
復興債         6兆円
合計         898兆円

世界の国々と国債残高を比べてみると、世界第二位の残高です。

1位 アメリカ 約2500兆円
2位 日本   約1103兆円
3位 中国   約750兆円
4位 イタリア 約302兆円
5位 フランス 約301兆円
6位 イギリス 約270兆円
7位 ドイツ  約268兆円
8位 インド  約204兆円
9位 ブラジル 約181兆円
10位 カナダ 約169兆円
※2019年3月末現在

こうしたことから、日本は世界一の借金国ということになります。

その意味で、特に赤字国債の多さは問題視されています。なぜならば、日本国憲法では厳密に赤字国債の発行が認められていません。財政法第4条で、建設国債の発行は認められていますが、歳入不足を補う国債の発行は認められていません。ですから、特例法を作って発行し続けているので、赤字国債は特例国債と言われます。

赤字国債は、現憲法下で、昭和40年度に初めて発行された。その後、昭和50年どからバブル景気による税収があった平成2年度から平成5年度までの一時期を除いて、今年度まで発行され続けて、その残高は天文学的な金額になっています。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。