銃の所持は自殺率を高める

2020年06月05日 06:00

New England Journal of Medicine誌に「Handgun Ownership and Suicide in California」というタイトルの論文が発表されていた。拳銃の所持と自殺との関連性を示したものだ。

2004年秋から2016年末に及ぶ、カリフォルニア州における12年以上の追跡結果であり、日本では絶対にできない規模の調査だと断言していい。調査対象は21歳以上の成人2630万人であり、調査開始前には拳銃所持していない人に限定されている。 拳銃所持と全生存率、自殺率、銃による自殺率を調べたものだ。住環境の違いにも考慮されている。

2630万人のうち、この間に676,425 人が最低でも一丁の拳銃を新たに取得した。調査期間中、1,457,981名が亡くなっていた。そのうち、17,894名が自殺であり、6,691名が銃による自殺だった。この数字だけでも信じがたいものだ。

自殺率は銃の所持者で有意に高く、銃を所持していない人よりも、男性では3.34倍、女性では7.16 倍、自殺率が高かった。銃による自殺に限ると、男性では7.82倍、女性ではなんと35.15倍も、銃の非所有者よりも高かった。銃による自殺は、銃を購入直後に高くなっていた。これは、自殺するために拳銃を購入した人が多いと解釈することもできる。しかし、銃による自殺の52%は購入後1年以上経過していた。

確かに、人気ドラマであるCSINCISHawaii-five-0を見ていると、銃で簡単に人が殺されている。映像を見ていると、簡単に死ぬことができるように思える。実際、銃による死は、日常茶飯事なのだ。

シカゴにいた時も、霧で見えなかったが、アパートの眼下で銃による殺人事件があった。霧の深い夜で、音は聞こえたが、ニュースで殺人事件を知った。シカゴでは年間600700人もの銃による殺人が起こっている。

 銃社会の問題点が指摘されて久しいが、米国憲法で保障されている権利だし、核兵器と同じで自衛のために必要なのだろう。しかし、カリフォルニア州だけでも12年間に6,691名もの自殺とは驚きだ。

日本は平和だと思う。一時は35000人近かった日本の自殺数は、最近は年間2万人を切っている。コロナ感染の影響で、経済的な理由による悲劇が生まれないことを願っている。

そして、米国の暴動が治まることも願っている。シカゴでもたくさんの人種差別を見てきたし、私の部下の日本人の子供さんも小学校で差別を受けた。英語が話せないことを理由に、ホワイトボードに背を向ける形で、後ろ向きに座らされたのだ。

トランプの話を聞いていると、むなしさを覚える。悲しいことだが、差別は歴然と残っている。日本も例外ではない。人が人を差別する。悲しいが、それが、現実なのだ。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年6月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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中村 祐輔
医学者、内閣府SIPディレクター

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