バロンズ:予想外の雇用回復、持続性は追加策次第?

2020年06月08日 11:30

バロンズ誌、今週のカバーにツイッターを取り上げる。同社は2013年に新規株式公開(IPO)を実施した。その際、投資家に「どんな意見も即時に、そして検閲なしに世界中に響かせる」と確約したものだ。その他のIT関連スタートアップ企業と違い、ツイッターは周囲の期待に応えてきた。しかし「検閲なし」をめぐり、政治的責任問題に発展しつつある。トランプ大統領のツイートが事実と異なり、且つ暴力を扇動させるとして取り下げたためだ。トランプ氏は5月28日、ツイッターなどソーシャルネットワーク企業に対する免責を制限する大統領令の署名で対応、ツイッター株は直後に9%安で反応した。過去1年間でみると同社の株価は3%安と、競合のフェイスブック(37%高)やスナップ(13%高)のパフォーマンスを下回る。今後、トランプ氏に放った挑戦状が同社株価、そしてSNSにどのような影響を与えるのか、詳細は本誌をご覧下さい。

(カバー写真:Nathan Rupert/Flickr)

(カバー写真:Nathan Rupert/Flickr)

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は予想外に労働市場の力強い回復を表した米5月雇用統計を掲げる。抄訳は、以下の通り。

米5月雇用統計が数字が示すより良好な結果でない理由―Why the Jobs Report Isn’t Quite as Good as It Seems.

筆者は金融市場の記者を40年近く続けてきたが、米5月雇用統計ほど劇的に市場予想に反する経済指標の結果をみたことがない。非農業部門就労者数(NFP)は市場予想の750万人減に反し、百万人単位の増加を遂げた。失業率も19.1%への上昇が見込まれたにも関わらず低下。果たして今後、政府が発表する統計あるいは自分の目を信じられるだろうか。

確かに、こちらで紹介した通り週次ベースの経済指標は外出禁止措置の解除に合わせ改善がみられた。ただ、米5月雇用統計の結果は経済のファンダメンタルズを反映したというより、政府や中銀による政策対応が奏功した結果とも考えられよう。

チャート:トランプ大統領、米5月雇用統計を受け歓喜のツイート

(出所:Donald J. Trump/Twitter)

(出所:Donald J. Trump/Twitter)

米5月雇用統計・NFPを受け、過去2ヵ月間で約2,200万人失われた職のうち約1割が戻ったことになる。ただし、一部の労働者は不適切に分類された点にも留意すべきであり、米労働統計局は正確に調査された場合16.3%だったと分析する。また、不完全失業率も前月から低下したとはいえ、20%超えと高止まりしている。

5月に増加したNFPのうち、約130万人がレストランの労働者だった。多くの州でテイクアウトのみの営業にとどまるなか、今回の数字には違和感を禁じ得ない。ただ、コロナ禍で中小企業の労働者向けに始動した給与保証プログラムが、再雇用を促した可能性がある。そのPPPをめぐり前週、融資条件に「6月末まで労働者を再雇用する」との規定を「12月末」に延長した修正案に署名した。修正案では融資の利用につき賃金割り当てを従来の75%から60%に引き下げられた。

民間で多くの業種が回復した半面、州政府・地方政府に財政難の圧力が加わるなかで、政府は大幅減となった。外出禁止措置は、新型コロナウイルスが歳入を抑制する一方で、歳出を大幅に増やしてしまう。州政府・地方政府は失業保険給付など、4月にかけ2007~09年当時より困難を強いられた。

民主党が提示した第5弾の経済対策となるヒーロー法案(Heroes Act)は下院で可決した後、共和党多数派の上院で葬り去られた。しかし州政府や地方政府を支援する案など、一部はトランプ大統領が提唱する追加対策で生き残るかもしれない。 また、トランプ氏と民主党候補がは2016年の大統領選で公約に掲げていたインフラ計画を盛り込む見通しだ。

経済回復のサインは、追加策の緊急性を低下させたと言えよう。しかし、大統領選や議会選、知事選を踏まえ再選を目指すため、雇用喪失を食い止めようとするに違いない。

――米5月雇用統計の結果を受け、FF先物市場で一時は2021年4月に織り込まれていたマイナス金利導入時期が、向こう3年先まで実施されない見通しに変わりました。ただ足元でリスク資産が上昇しており、ドル安の流れを変更させるものでないでしょう。対円では、逆にドル高寄りの推移に。新型コロナウイルス感染拡大の第2波、あるいはトランプ再選確率低下などを迎えない限り、ビナインなドル安(対円ではドル高)が続きそうです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年6月7日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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