BLM運動とトランプ大統領と日本人

2020年06月12日 11:30

Sierralupe/flickr

現在、米国を中心に広がっているBLM(Black Lives Matter:黒人の命は大切だ)運動は、2013年2月にフロリダ州で17歳の黒人少年が自警団員によって射殺された事件をきっかけに生まれました。それ以降もアフリカ系アメリカ人が同様の事件に巻き込まれるたびに、再燃を繰り返しています。今回の大規模なデモと暴動も、ミネアポリスで黒人男性のフロイドさんが白人警官に殺害された事が発端となりました。

そう考えると、多くの日本人にとってはBLMが遠い国の出来事。対岸の火事に見えてしまうかも知れません。

果たしてそうでしょうか。

私は小学校6年生から高校を卒業するまでの多感な時期を米国で過ごしました。1970年代後半から1980年代の最も日米貿易戦争が激しかった頃です。ニュースも新聞も雑誌も日本バッシングの内容だらけでした。つまり、学校に行っても、遊びに行っても、「そういう目」で見られてしまい、常に悪口やいじめのターゲットにされながら育ったのです。

私は日本人としての誇りを失わず、売られた喧嘩も買う方だったので、逆に充実した日々(笑)を過ごせたと思っていますが、他の日本人学生は、なるべく目立たないように、隠れるように過ごしている人が殆どでした。

それから35年が経過しました。

今も米国で生活をする肉親や友人に話しを聞くと、状況はだんだん悪化してきていると言います。ブッシュJr. 以降、オバマ政権までは少しずつ改善していたそうですがが、トランプ大統領になって大きく逆戻りをしてしまったと。国のトップの考え方は徐々に広く国民に浸透し、それが正しいと見なされるようになるのだと。

差別の目に晒された青年時代を過ごしたからか、私はアメリカ人(特に白人、WASP系)を見ると、顔の作りと雰囲気でその人が人種差別的な考えを根底に持っているかどうかが分かります。瞬間的に分からなくても、4、5分も話せば、ほぼ間違いなく分かります(私見ですみませんが、いち民間人の戯言としてお聞き流しください)。

参議院予算委員会

そこで、2016年3月3日の予算委員会(参院)で国会議員として初めて「トランプ氏が勝利し、日米関係が変化する可能性」について安倍総理に質問をすることにしたのです。当時の永田町にはヒラリー・クリントンの勝利を疑う人は居ませんでしたが、私はその可能性を否定できないと感じていたからです。

そして、翌年の2017年11月。大統領となったトランプが初来日を果たしたのですが、その前日には、わざわざハワイのオアフ島から「リメンバー・パールハーバー!」とツイッターで拡散するような暴挙に出ました。私が米国時代に、日本人が嫌いな人種差別者から何度も浴びせられた言葉です。

【その時のブログ記事です。是非ご覧下さい→「来日直前のトランプ大統領の残念な言葉」

それ以降も、トランプは事あるごとに差別的な言動(もちろん日本人以外にも)を続けています。

日本ではあまり取り上げられませんでしたが、Business InsiderやNew York Post によると、2019年8月にニューヨーク州のハンプトンで行われた自身の政治資金パーティーでは、変な日本語アクセントの英語で喋り、安倍総理の物真似をしたとのこと(良くいじめっ子がアジア人を馬鹿にする時にやるアレです)。

そして、「神風特攻隊員は酒か薬をやっていたのではないか」と安倍総理に直接聞いたことを公表したのです。パーティーの出席者は入場の際に携帯を警備員に預けさせられたので証拠は残っていないようですが、少なくとも数名の出席者による証言が一致したとのこと。真偽は別にしても、トランプがそのような話を裕福な友人達の前でする姿が容易に想像できてしまうのが恐ろしいところです。

私が最も心配しているのは「今の子どもたち」です。平気で差別的な言動を繰り返す大統領を見ていれば、それが正しいと思うようになってしまいます。実際、教師になった高校時代の友人(数名)の中学や高校の調査では、差別による問題がここ数年で急激に増えているそうです。子どもの頃の刷り込みは大人になってもなかなか変えることができませんので、20年後、30年後の国際関係が心配になります。

きっとまだ超大国で居続けているであろう米国のリーダー達にそのようなマインドが(理屈ではなく)奥底に根付いてしまっていれば、日本にも、その他のノンホワイトの国々にとっても良いことはありません。本当の意味でリスペクトしあえる同盟国になるのは夢のまた夢になってしまいます。

いつの時代も差別は分断を作り、その分断を利用して権力を得ようとする政治家は現れます。そこから生まれる憎しみや悲しみが表面に出てきたのがいわゆるBLM運動なのです。しかし、それは氷山の一角でしかありません。

私は、中国が香港で「国家安全法制」を導入することについての懸念を安倍総理が表明し、G7での声明をリードしていく事に賛同します。

同時に、全ての人種を平等に扱い、差別を無くしていくことがどれだけ重要なことかをトランプ政権にも訴えるべきだと強く思うのです。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2020年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。

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松田 公太
タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員

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