バロンズ:米国でコロナ第2波の懸念、株安につながるか

2020年06月15日 06:00

バロンズ誌、今週はカバーに配当銘柄を取り上げる。配当銘柄は安定した所得を約束し、資産を増やすという観点から引退へ向けしっかりとした道筋を築く。たとえ市場に緊張が走った局面でも、配当を確保する上であらゆる手段を講じるため、頼りになる銘柄と言えよう。

しかし、新型コロナウイルスのパンデミックを受け、配当への見通しに陰りがみえてきた。企業は未曽有の損失を抱えるリスクに直面し、必要不可欠でない業種は一時的に閉鎖を余儀なくされ、多くの州は社会的距離(ソーシャルディスタンシング)を指針を提示し、消費活動を大幅に減速させ、多くの企業は現金確保に奔走する状況だ。

S&P500構成企業も例外でなく、ウォルト・ディズニーを始めハリバートン、サウスウエスト航空が減配を決定した。中小小型株指数ラッセル2000のうち、配当820銘柄の21%が今年の配当中止あるいは減配を決定。不確実性が高まるいま、どの業種の配当銘柄であれば確実に配当を得られるのか。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米株の調整リスクを取り上げる。抄訳は、以下の通り。

カバー写真:Anthony Quintano/Flickr

方向性がはっきりしない市場、一部の株価は高騰―Stocks Swoon as Mr. Market Can’t Seem to Make Up His Mind.

ミスター・マーケットが常に正しいならば、なぜ調整に直面するのか?ダウ平均は11日に1,861.82ドルも急落し約7%安で引け、その他の主要株指数もそれまでに右肩上がりを続けてから急落し、経済活動の再開がV字型回復につながるとの望みを打ち砕いた。

だからこそ、スマートマネーは債券市場を選好すると言われるのかもしれない。シェール関連大手チェサピーク・エナジーの株価は10ドル台から6月8日に60ドル台へ跳ね上がった後、再び10ドル台へ戻した。別のバロンズ記事で指摘されたように、アルゴリズム取引の影響だろう。

米株高に関していうならば、米連邦準備制度理事会(FRB)による緊急資金供給措置の発動後、錆びついた船を含め多くの船が株式市場や信用市場で押し上げられた。ドイツ証券のトーステン・スロック首席エコノミストに言わせれば、コロナ以前から超低金利政策を受け債務が利益を上回るゾンビ企業が跋扈し、米国でのゾンビ企業の割合は金融危機時の約3倍の18%へ膨れ上がった。スロック氏は、ゾンビ企業を生き延びさせることは、生産性の高い企業から雇用や投資を奪うことになり、成長を減速させると警告する。

しかし、過剰流動性を受け電気トラック製造大手ニコラの時価総額を230億ドルへ押し上げ、テスラの株価も一時1,000ドルの大台に乗せた。ミスター・マーケットは正しいのだろうか?

米株市場の熱狂が根拠があるの否かは別として、感染者が最大のNY市が経済活動の再開に踏み切るなか。第2波の懸念が高まっている。11日の米株急落の主因であり、ダウは6月8日週に5.55%安、S&P500は4.78%高、ナスダックは2.30%高で引けた。米10年債利回りは低下に転じ、1%台を目前にして0.7%付近へ押し返されている。

チャート:ダウ平均は見事なアイランド・リバーサルを形成、再び200日移動平均線が上値を抑えるか

出所;Stockcharts

主要株価指数はテクノロジー関連企業に支えられる半面、ルイーズ・ヤマダ・テクニカル・リサーチによれば、NY証券取引所に上場する銘柄の50%以上が200日移動平均線を上回っていない。こうした状況をにらみ、同社は足元の米株高を「弱気相場での反発」に過ぎないとして、「心理的なストップロス・オーダー」を巻き込んだ調整局面に注意を促す。

キャピタル・エコノミクスのジョン・ヒギンズ氏は、米株相場にとって最大のリスクとして新型コロナ第2波を挙げる。またヒギンズ氏によれば新型コロナは長きにわたり日常生活を圧迫する見通しであり、楽観的にみてワクチンが年末までに市場に流通するとしても、コロナ感染抑制こそ株高に必要な特効薬だという。

マスクの着用は公的衛生だけでなく、投資家のポートフォリオを守る上でも重要と言えよう。


コロナ第2波が最大のリスクならば、トランプ大統領を好むと好まないに関わらず、民主党のバイデン候補が当選する場合も、リスク・シナリオとして注意すべきでしょう。バイデン氏の選挙公約には、法人税率を21%から28%へ引き上げるなど税制改革の巻き戻しが盛り込まれているためで、上院で民主党が多数派を奪回した場合と合わせ米株相場の調整トリガーを引きかねません。この話は、また別の機会に詳しくお伝えします。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年6月14日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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