新型コロナ時代の経済安全保障② 日本政府のビジョン策定を!

2020年06月17日 06:00

5月下旬に前回の記事を書いたあと、国内の新型コロナの感染は小康状態に入ったと言えるでしょう。大阪でも東京でも通勤時間帯の混雑がみられるようになっています。

写真AC:編集部

しかし経済状況はさらなる悪化の兆しでGDP速報値(1〜3月期)は▲3.4%と2四半期連続でのマイナス。4~6月期については一部の民間予測で▲25(!)という見方も出ています

4~6月期の大企業全産業の景況判断指数は47.6。これもリーマン級の衝撃で、これ関西に限ってみると、57.6%もの落ち込み(汗)リーマン直後の2009年1〜3月期の54.9を超える過去最低を記録しました

特に関西は色濃い経済危機の影

さらに関西経済連合会に至っては、4〜6月の企業の景況感マイナス77.8%。こちらはリーマン当時より14ポイントもさらなる落ち込みだったそう。大阪、関西は近年、絶好調だったインバウンドに経済が支えられていましたから、コロナ対策による入国規制によって、まさに大黒柱が根こそぎ折れた格好です。

大きな打撃を受けた大阪の観光名所(cfred/写真AC)

ここまで深刻になると、企業規模を問わず企業の財務は大きな痛手を抱えています。

連載のテーマ「経済安全保障」の観点からすれば、まさに海外企業からの買収などのリスクにさらされることになり、自動車や電子製品のサプライチェーンを国内にもどすどころか、逆に日本の優秀な技術の流出の危機が現実になりかねない状況です。

2次補正予算では、中堅・大企業向けに危機対応融資・資本劣後ローン、中小・小規模事業者向けには日本政策金融公庫や民間金融機関で既に実施している無利子・無担保融資の継続や資本性資金供給・資本増強支援により、総額11.6兆円の支援を行うこととなりました。しかし、ここまで挙げた数字をみても、私はとうてい足りないと思います。

コロナ後を見据えた経済安全保障ビジョンを

今回のコロナの経験を踏まえ、コロナ後の産業と雇用がどうなるのか、「持続性の高い経済成長」「質の高い経済成長」を実現するために何をなすべきか、これを早急にビジョンとして国民に示す必要があると考えます。

その中で、戦略産業の維持・成長、サプライチェーンの再構築、「新しい生活様式」に対応した生産・供給方式等を明らかにするとともに、テレワークなどの働き方改革を含めて産業社会全体の姿を具体的に示す必要があります。

今回の問題を機に私も気づいたのですが、政府として2020年代を展望する経済安全保障のビジョンを明確に打ち出すまでには至ってません。

もちろん、政府としてはこの4月にNSC(国家安全保障局)内部に経済班を設置するなど、「経済安全保障」の取り組みに本腰を入れ始めていますので、課題意識が高いことは承知しています。しかし、コロナ危機の前と後では、その重要性が全くもって一変しているのも確かです。

米中の対立が激化し、世界各国が「閉じる」潮流にあって、日本の外交・安全保障戦略と緊密に連携した経済安全保障戦略策定するとともに、国民に日本はこうなる、こう変化すれば雇用と事業活動を維持できるという「安心」を醸成すべき段階でないでしょうか。

産業界とのコンセンサスで検討を

産業界とも連携して、まず今後の産業社会ビジョンを検討すべきではないかと考えます。例えば、戦略産業については、石油やエネルギーの安定供給の経験を生かし、①国産化の枠、②輸入における供給ソースの多角化、③備蓄あるいは在庫、この3つをどう組み合わせていくかということだと思いますもちろん、多少コストは増大しますがコロナ後の価格体系は、この意味で変革しなければなりません。

また、「新しい生活様式」に適合した非接触型の新しい生産方式、サービスの供給方式についてもガイドラインを示す必要があると思います(すでに、いくつかの業種については示されています

さらに、ソサイエティ5.0の世界を具現化する、AI5GIoT、ドローンなどのイノベーション技術との連動も重要です。それらの技術で国家の安全保障に関わる領域については、セキュリティクリアランス制度、つまり民間企業の担当者にも国家の機密情報にアクセスできる信用資格制度を導入して情報管理を徹底しつつ、開発の促進と両立するといった仕組みも、自民党からすでに提言しております

上記のような戦略ビジョンを策定することで、より明確に我が国の立ち位置を示すことになると思います

いずれにせよ、経済安全保障観点からの将来ビジョンを示し、産業界とのコンセンサスとともに、国民の皆様見通しを示すことが、経済の回復と真の経済安全保障、さらには世界経済への貢献につながると私は考えています。

産業構造審議会等、適切な場で、ウィズコロナ、アフターコロナの産業の姿を全体として示す必要があるのではないか。今国会はまもなく閉じますが、年内に臨時国会があれば、またそこでも提起していきたいと思います。

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太田 房江
参議院議員(大阪選挙区、自民党)、元大阪府知事

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