栄光なき天才 足立祐二さんとDEAD ENDのこと

2020年06月19日 16:00

DEAD ENDのギタリスト・足立“YOU”祐二さん死去(オリコンニュース)

ギタリストの足立“YOU”祐二さんが亡くなった。敗血症だった。亡くなる直前の6月14日も配信ライブに出演していたし。Twitterも更新していた。信じられない。心からご冥福をお祈りする。

おそらく彼の名前を知らない人も多いことだろう。伝説のバンド、DEAD ENDのギタリストとして活躍したのだが。でも、多くの人はDEAD ENDの存在も、なぜ伝説となったのかも知らないだろう。河村隆一さんのバックバンドでも活躍していた。でも、ギタリストの彼の名前を知らなかった河村隆一さんファンもいることだろう(それを悪いとは言わない)。

私は足立祐二さんと、DEAD ENDのことをこう言いたい。

栄光なき天才、と。

ファンの中には反発する人もいるかもしれないが、私なりの褒め言葉であり、ある意味、彼という人の本質をついているのではないかと思う。

DEAD ENDや足立祐二さんのことは知らなくても、X JAPAN、LUNA SEA、L’Arc~en~Cielなどのことは知っている人は多いことだろう。なんせ、これらのバンドは売れたし、知名度も絶大だ。やや乱暴な意見かもしれないが、これらのバンドは足立祐二さんや、DEAD ENDがシーンに登場していなければ、存在しなかったと思っている。

DEAD ENDはジャンル分けの難しいバンドだった。日本のヘヴィメタル、ハードロックのシーンから出てきたバンドではあったものの、音楽性はこれらのジャンルを超えていた。もっというと、ルックスもそうだ。ボーカルのMORRIEは妖艶かつサイバー感があり、まるでSF作品の主人公のようだった。ベースのJOEはグラム・ロッカー、ロックンローラーそのものだし、ドラムのMINATOは当時のこの手のバンドでは珍しい、まるでサラリーマンにもいそうな(失礼!)黒髪の短髪だった。

ギターの足立祐二さんは、時期によってルックスは異なるものの、いかにもハードロックギタリスト風だった(徐々に変化するのだが)。10代の頃、心から彼らを「かっこいい」と思い。中学時代の私は、MORRIEのように片側をアップし、片側の髪をおろすという髪型だった。誰がどうみても氷室京介フォロワーに見えるのだろうが、私の中ではヒムロックではなく、MORRIEのつもりだった。服装はJOEさんの影響を受けていた。

足立祐二さんのギターは、いかにもマイケル・シェンカー好きだなと思わせる部分もありつつ、変幻自在であり。トーンも、聴けば彼だとすぐわかるし。テクニカルでありつつ、メロディアスで。才能がほとばしっているのだが、それが嫌味ではなく、自然な凄みとして伝わり。いまや様々なジャンルに存在する、残響感のあるギターも、日本のロックシーン全体でもハシリの一人は彼なんじゃないかと思ったり。しかも、勉強熱心で。Twitterはいつも機材ネタだった。エフェクターやその配線など、実験を繰り返していた。

今の日本で売れているバンドに間違いなく影響を与えている。彼がそこにいたから、シーンは広がった。失礼だが、hideやSUGIZOほど一般には名前を知られていないだろう。でも、すべては彼がいたおかげなんだと私は言い切りたい。彼やDEAD ENDよりもっと有名になった、売れたプレイヤーやバンドはいるのだけど、それも彼がいたからなんだと私は感謝したい。

音楽に限らずだが、会社も社会も栄光なき天才、次の時代にバトンを渡す人によって動いている。先人へのリスペクトを忘れてはいけない。

いまの日本の面白いシーンをつくってくれてありがとう。合掌。

※追記(2020年6月19日  14時20分)
彼の死はヤフトピにもTwitterのトレンドにも登場し。影響力の強さを感じた次第。


編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2020年6月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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常見 陽平
千葉商科大学国際教養学部准教授

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