維新の足立康史議員、福島原発ALPS処理水の処分進捗を質す

2020年06月20日 06:00

16日にYou tubeにアップされた足立康史議員(日本維新の会)の番組で、福島原発事故に伴うALPS処理水の処分などにつき、同議員が直近の衆院原子力問題調査特別委員会で質疑する様子を視聴した。立憲の低迷を尻目に、世論調査で野党第一党に躍り出た維新のエース議員らしい建設的なものだった。

足立氏はALPS処理水の処分については、2月10日に公開された第17回「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会報告書(1月31日開催)」をベースに質疑を進めた。

彼は、ALPS処理水を福島に限らず他の場所にも運んで処分することを提案し、その方法なら日本国民全員が負担を担えると述べた。これは、以前、松井大阪前市長が「大阪湾で引き受ける」とした発言を踏襲しており、元を辿れば橋下元知事が福島廃材を引き受けたことに行き当たる。

筆者は昨年9月、松井氏のこの提案を敷衍して、「福島原発処理水の船舶による海洋投棄はできるか」(17日)、および「福島の処理水は大阪湾といわず日本中の『内水』に放出せよ!」(25日)と題する拙稿を本欄に書いた。

そして筆者は、経産官僚として欧州に赴任していた足立氏が、東日本大震災の報に接するや即座に経産省を辞して帰国し、震災復興のために政治家を志したことや、委員会でも不断に原発関連の質疑を続けていることを知った。

実は昨年10月、筆者は足立氏の議員事務所に前述の投稿をメールで送り、こういう処分方法を考えたのでぜひ実現して欲しい旨、陳情した。果たして、足立議員が筆者のメールに目を留めたかどうかは判らない。もちろん返信を頂戴した訳でもない。が、国会に同志が居るようで悪い気はしない。

そこで2月10日に公開された第17回の小委員会報告書だが、読むと5案ある処分方法のうちの3案、すなわち、1)地層注入、2)水素放出、3)地下埋設、についてはほぼ困難らしく、技術的に実績のある4)水蒸気放出、および5)海洋放出、が現実的な選択肢とされている。

福島第1原発のALPS処理水タンク(経済産業省・資源エネルギー庁サイトより:編集部)

冒頭に記した委員会で足立議員は、風評被害を軽減するために、処理水を沖合3km辺りまで運んで処分することや、福島以外の場所に運んで処分することの、技術面、法律面、社会的影響面(風評)などを調査するよう関係当局に要請した。

ここで繰り返せば、昨年9月17日の投稿で筆者は、「国連海洋法」や「ロンドン条約・議定書」を見る限り、船舶による海洋放出はできないとし、陸からならば処理水が安全基準を満たしている限り放出を禁止する国際法は見当たらず、現実に世界中の原発から海に流されている、と書いた。

そして9月25日の投稿では、「ロンドン条約1996年議定書」第7条「内水(ないすい)」の2項に以下の文言があり、「内水になら自国の裁量で処分できる」と読め、この場合、放出する内水までの運搬方法などに言及がないので、「船舶での運搬も禁じられていない」と考えられると書いた。

締約国は、内水である海域における廃棄物その他の物の故意の処分であって、仮に当該廃棄物その他の物を海洋において処分したとするならば、第一条に規定する“投棄”又は“海洋における焼却”となり得るものを管理するため、自国の裁量により、この議定書を適用するか、又はその他の効果的な許可及び規制のための処置をとる。

この内水とは、陸地側から見て基線の内側にあるすべての海域、すなわち、「湾」のことで、半島と半島あるいはその外の島の端などを結んだ「基線」の内側の海のこと(他に陸の河川や運河や湖も内水というようだ)。よって、足立議員のいう3kmが内水ならば処分可能かも知れぬ。

何れにせよ、ALPS処理水しかり、除染残土しかり、東日本大震災に限らず災害などの損害を、被災地域の自治体や住民にだけ被らせたまま置くようでは、とても日本は文明国家、民主主義国家とはいえまい。原発廃棄物処理場の立地なども同様で、リスクや風評は国民全体で担うべきだ。

国には、こういった観点からリーダーシップを発揮し、一刻も早くALPS処理水や除染残土などの処理を進めてもらいたい。

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