知っトク解説:今回は“多目的トイレ”

多目的トイレ(多機能トレイ)は、平成6年(1994年)に制定されたハートビル法(高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律)によって対象となる建築物に対して、建築主に設置が義務づけられています。高齢者や障害者が施設を円滑に利用できるようにするためのものです。平成18年(2006年)からは、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)と呼ばれる法律が、その内容を引き継いでいます。

対象となる建築物は、老人ホームなどの高齢者用施設や盲学校などの障害者が通う施設をはじめ、百貨店やホテル、映画館、博物館、行政機関など、不特定多数の人が利用する施設です。また、事業所や飲食店、共同住宅など、地方公共団体の条例によって対象施設に追加されている建築物もあります。

多目的トイレは車いすで入り、車椅子が回転できるだけの広さや手すり、洗面所などがあります。大腸がんや膀胱がん疾患の内部障害者のためのオストメイトに対応した設備などもあります。最近では、ベビーチェア、オムツを替えるためのベビーベッドなども設置され、ベビーカーがそのまま中に入れる広さがあるので、子育て支援の環境としても整備されています。車椅子の方や高齢者が操作しやすい出入り口の扉や洗浄装置になっていたり、あらゆる面でバリアフリーになっています。

国土交通省の利用実態調査をもとに、各地方団体などは、車椅子の利用者や筋力が弱っている人らがスムーズに利用できるように、一般のトイレを利用できる人が、多目的トイレを利用することを控えるように呼びかけています。
もちろん、目的外の利用はやめましょう。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年6月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。