韓国が現金化に向かう前に、懲罰的制裁を日本は予告しておくべき

2020年06月27日 06:01

勝訴当時の元徴用工の原告側(KBSより:編集部)

いわゆる徴用工判決で大邱地裁は1日、日本製鉄が韓国で保有するPNR(韓国ポスコの合弁)株式を差押えする旨の書類を日本側に公示送達した。昨年7月、到来した差押え決定文書を外務省が返送したため、今回は公示送達した。これで同地裁は期限の84日以降、後続措置(現金化)が執れる

懲罰的損害賠償というのがある。将来の同種犯罪を抑止する目的で、実際の損害より巨額な賠償を被告に命じる制度をいう。抑止目的というところが味噌。筆者はこの先、韓国が現金化に及ぶ前に日本政府は韓国政府に、肉を切らせて骨を断つほどの「懲罰的制裁」を予告しておくべきと考えている。

16日の中央日報によれば、韓国の裁判所に差押えや現金化の命令が申請されている日本企業資産は52億7千万ウォンになるという。内訳はこのPNR株式9億7千万ウォン、三菱重工業の特許権・商標権など8億4百万ウォン、判決前だが不二越の合弁子会社株式34億9千万ウォンだ。

中央日報は事の重大さを「幾らか」は認識していて、次のように書いている。(一部を捨象)

現在は、52億ウォンが相対的に大きい金額ではないとみられるかもしれない。だが、難題は「未来訴訟」にある。昨年、首相室が把握した原告団は約990人で、文喜相前国会議長室は損害賠償金の支給のために少なくとも3千億ウォンの財源が必要だと推算した。

確定判決3件を除いて現在大法院だけに9件が係留中で、20件余りが地裁で進行中。弁護団が追加訴訟を推進することで原告は増えている。訴訟外の被害者とその家族は数万人に達する。盧武鉉政府が特別法制定で認めた被害者は21万8639人で、この中で7万2631人に限って現金補償が行われた。

日本側が「判決を受け入れられない」と持ちこたえれば、「国内資産の差し押さえ→強制処分」の悪循環が果てしなく繰り返される可能性もある。韓日関係に詳しい消息筋によると、日本は「現金化すれば報復措置を発動するしかない」という立場で、韓国もこれに対抗するという雰囲気だ。

上記3社以外のターゲット企業は、日立造船、横浜ゴム、住友化学、清水建設、鹿島、大成、熊谷組、大林、フジタ、クボタ、IHI、日産、宇部興産、王子製紙、三井金属、森永製菓、三菱電機、古河金属、パナソニック、東芝、三菱マテリアルなど、70社以上に及ぶ(日経新聞18年10月30日)。

筆者がこの認識を「幾らか」と書くのは、この大法院判決が内包する、さらに深遠で深刻な潜在的可能性のせいだ。それは大航海時代以降、植民地を有していたすべての旧宗主国が、その旧植民地国の国民から同様の訴えを起こされかねないということ。大袈裟かも知れぬが、理論上はあり得る。

改めて新日鉄裁判の韓国大法院判決を振り返ると、原告側はこの裁判で「慰謝料」という概念を持ち出した。未払い賃金等に対する補償ではないところが肝だ。つまり、原告側は65年の日韓請求権協定の有償無償合わせて5億ドルに、未払い賃金等が含まれることを解っており、判決にもそうある。

その場合、日本側の個別補償の申し出を断り、国として受け取って経済発展を果たした後に政府が国民に補償する、との朴正煕の意向通り、韓国政府には補償の責任が生じる。それを知っていた廬武鉉は「特別法」を設け7万余名に補償した(この時の大統領府民情首席秘書官(曺国の元職)は文在寅)。

だが、その「特別法」で「国外強制動員生還者」に認定されても、死亡や行方不明者への補償が最大2千万ウォンだったのに対し、生還者への支給は最大80万ウォンの医療支援金に過ぎなかった。つまり、生還者には、金額にも補償や賠償の名分がないことにも不満があった。

そして判決は、「慰謝」の根源を次のようにいう。(太字は筆者)

日本政府の韓半島に対する不法な植民支配と侵略戦争の遂行と直結した、日本企業の反人道的な不法行為により動員され、人間としての尊厳と価値を尊重されないまま、あらゆる労働を強要された被害者である原告らは、精神的損害賠償を受けられずに依然として苦痛を受けている

不当な植民地支配とは1905年に韓国の外交権を取り上げたことと1910年の日韓併合条約を指す。が、当時の国際法上これらが不当でないことは疾うに決着済みだ。自称被害者の多くも自発的な応募工だし、差別待遇がなかったことは、李宇衍氏が九大の学術論文「反日種族主義」に詳述している。

そこで前述のこの判決が内包する「さらに深遠で深刻な潜在的可能性」に戻る。先の大戦中のアジアを見ても、英国はインドやマレー、フランスはベトナムやカンボジア、オランダはインドネシア、米国はフィリピン等と、日本とタイを除く大半を西欧列強が植民地にしていたのは歴史的事実だ。

もしこれら植民地の人々が、旧宗主国の不当な植民地支配で受けた彼らの父祖の苦痛の「慰謝料」を、当時そこに存在した旧宗主国の企業に対して請求する訴えを自国で起こし、そして勝訴した日には、今そこに存在するその後裔企業が、資産の差押えに見舞われるということだ。

しかも「精神的苦痛」などというのは、今日のハラスメントに似て、受ける側がそう感じさえすれば認定されてしまう類のことで、多分に恣意性に富む。韓国以外の国で、このような事態が現実化するとは思われないものの、いま韓国で進行中のことは、理論上こういうことに他ならない。

韓国大統領府FBより:編集部

思うに慰謝料案は原告らの発想ではなく、きっと日本の人権派と称する反日弁護士らの入れ知恵だろう。2000年当時、釜山で人権派弁護士を自認していた文在寅が、三菱重工への訴訟に関わっていたことは以前書いた。当然、文在寅は一連の判決が招く破局的な事態を知悉していよう。

だが、全体主義の北朝鮮との統一に囚われた文在寅にとっては、韓国が国際社会から呆れられようが、韓国民が謳歌している自由や繁栄が失われようが、それはおそらく二義的なこと。むしろそうなったほうが、韓国が北と一体化しやすいと、この革命政権が考えている節すらある。

目下の日本には、こうした文政権の韓国との断交まで求める向きもある。それも一案だろうけれど、「情けは人の為ならず」ということもある。先ずは、韓国への懲罰的制裁予告と、G7辺りへの旧宗主国に類が及ぶ懸念発信ぐらいは、してからでも遅くないと筆者は思う。

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