米中デカップリングは有効か?

2020年07月01日 14:00

中国から北米に来る人には強い共産党意識を持ったままの人と何らかの理由で自由を求めて脱出した人の二通りが主流かと思います。トランプ大統領が中国からの留学生に一定の懸念を持つのは彼らの一部が情報のトンネル役となっている疑いが高いからです。

flickr(Global Panorama、Gage Skidmore)

flickr(Global Panorama、Gage Skidmore)

五毛党というのはネット上で共産党や中国を賛美し、その書き込み一つ当たり0.5元貰える仕組みで多い年には年間4-5億件も書き込みがあったとされます。学生が果たす中国本土とのパイプという意味では恐ろしいものがあり、時間をかけながら少しずつ意識を改革していくわけでしょう。

また、最近会ったある中国人はカナダに移住する時は「洗脳されていた」と断言します。その方はその洗脳から覚め、とてもじゃないが、中国にはもう戻れないと気がついたと述べています。

洗脳の歴史は日本にもあります。比較的よく知られているのが大戦直後、シベリア抑留されていた方々の一部に抑留中にあった赤化教育(共産主義教育)で強い影響をを受け、別人のようになって帰ってきたという話であります。

話題の北朝鮮からの脱北者がビラを風船で飛ばして北朝鮮に撒くのも洗脳から覚めさせようという手段です。

米中デカップリングが政策的に進むと中国国内の洗脳が進みやすくなる公算があります。つまり、トランプ大統領の米中断絶政策は目先のプラス効果と長期的悪影響を比較すると逆効果が強く出る可能性があり、個人的にはうまくないだろうと考えています。一番わかりやすい例は北朝鮮で、国を閉じているため、北朝鮮の人々は完全に洗脳されやすくなるのと同じです。そしてとんでもないスパイ合戦が繰り広げられることになり、小説や映画のような事件も起きかねなくなります。

今般、香港が中国化しようとしています。香港国家安全法が施行されたため、アメリカは香港が高度な一国二国制度をとっているという前提で提供していた各種優遇措置を撤廃していく方針です。これでアメリカと中国が香港経由でつながっていたラインが分断されかねないリスクが生じています。

私の見方はこれは第一弾に過ぎず、次に中国は台湾との敵対関係をより鮮明にさせるとみています。いわゆる膨張する共産党であります。

問題は今の中国人の生活が極めて近代化しており、デカップリングしても目先、たいして困らないということ、中国は全世界全てを敵に回しているわけではないし、経済関係については欧州や日本はアメリカほどの姿勢を見せていないことから彼らが直ちに何か困るわけではないのです。

もしも本当の意味でのデカップリングをするのであれば食料や資源の輸出禁止策が考えられますが、全世界が足並みを揃えるとは思えないこと、中国からの輸入に頼らざるを得ないアイテムもあることから現実的ではないのかもしれません。

トランプ大統領がWHO(世界保健機関)に変わる別の機関創設に動いています。もしもこれが成功裏となれば世界のあらゆる国際機関が分断しないとは限らず、緊張感は高まりますが、アメリカの政策に対して同盟国であっても皆同じ温度ではないことは頭に入れておく必要がありそうです。

個人的にはデカップリングではなく、逆洗脳型政策もあるのかもしれないと思っています。それこそ開かれた中国人社会である台湾やブラックホールに吸い込まれそうな香港人を介して中国本土に強い影響を与えることは可能ではないかと思います。その意味で英国が香港人をウェルカムしようとする政策は正しい方向であるし、アメリカが台湾に接近するのもよいことでしょう。チベットやウイグルから宗教的な攻め方をするのもアリだと思います。

時間はかかりますし、理想論かもしれませんが、中国国民に開かれた自由で民主的な社会を謳歌することを知らしめること、そしてその道筋へ指導することが先決ではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年7月1日の記事より転載させていただきました。

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