都知事選:「女帝」の横顔と、国政のカギを握る2位決定戦の行方

2020年07月03日 06:01

時の権力者の側近として昇りつめた女帝

東京都知事選挙が大詰めを迎えている。小池百合子の『女帝』がベストセラーとなっているが、小池百合子都知事というのはどういう人物だったのだろうか。

彼女の経歴には全く無駄な動きがない。ワールドビジネスサテライトのニュースキャスターから華麗なる政界デビューを果たすのだが、最初は細川護熙元首相の側近として日本新党から立候補し、日本新党解党後は新進党、自由党を渡り歩き、その間、影の総理ともいわれた小沢一郎の側近として活躍をする。

最初は参院議員としてのデビューだが程なく女性リーダーの筆頭、「おたかさん」こと、土井たか子の地盤に乗り込み見事衆院議員として鞍替えに成功。衆院当選一回にして総務政務次官に大抜擢、さらに小沢自由党時代は経済企画政務次官を歴任する。自由党が連立から離脱した後は、現在の自民党幹事長二階俊博と行動を共にし、保守党を経て自民党へ入党する。

今度は、時の総理小泉純一郎の側近として環境大臣を歴任する。小泉政権時代の郵政選挙では再びお国替えで東京10区に刺客として立候補、大差をつけて見事に国替えに成功する。東京都知事選に立候補する足場をここで築くことになる(それまでは兵庫県選出の国会議員だった)。その後、第一次安倍政権では総理大臣補佐官、防衛大臣を歴任するなど華麗なるサクセスストーリーを歩んでいる。

細川護熙、小沢一郎、二階俊博、小泉純一郎と次々と相手を変えながらも、政界のキーマンたる人物の下に身を寄せる政治的臭覚とその人たらしの才能は天才的なのかもしれない。政党渡り鳥と揶揄される彼女だが、渡り歩いたのは時の権力者なのであって、実は政党などではなかったのではないだろうか。

小池百合子は富士山?!

いくつもの政党立ち上げに携わった彼女の得意分野はマスコミ上がりということもあり、一貫して広報、イメージ戦略だった。

日本新党時代「嘘つき政治家総とっかえ」という見事なキャッチフレーズを生み出して同党を躍進に導き、環境大臣時代にはクールビスという軽快な言葉を生み出し、日本の夏の風景を一変させた。都知事小池百合子が繰り出す数々の政策は、この成功体験から編み出されたものであるといっていい。

〇〇ファーストという言葉の原型は都民ファーストという彼女の都知事選のキャッチフレーズだし、最近ではロックダウン、東京アラートなどふわっとしたイメージを言葉にすることにかけては見事としか言いようがない。ただ政策的にもイメージ先行型で受動喫煙防止の積極的な展開や豊洲市場の安全性の確保、東京都議会のブラックボックスを暴くというようなイメージを優先する取り組みが目立つ。東京アラートにしても、言葉を聞くと「とんでもない事態」を連想させるが、やったことと言えば建物のライトアップだったというように結局何だったのかと首を傾げることも多い。

時代のキーマンを見極める眼力やキーマンを射止める人たらしの才、そして言葉を見事に操るワンフレーズポリティクスのいずれをとっても今、彼女の右に出る者はいない。

一方で、肝心の政策実行力や下の者への人心掌握については常に疑問が付きまとう。特に、これほどの大物でありながら彼女の側近、取り巻きというのは、あちこちでお騒がせをしてきた野田数(元都民ファースト代表、知事特別秘書)しか聞こえてこない。都民ファーストの中も次々と離党者を出すなどまとまっているとは到底いい難い。議員時代も秘書がどんどん変わることことでも有名だった議員の一人だ。彼女の気性についていけないのだ。

私の知る限り、彼女をずっと支え続けているのは実の姉を含めたほんの数人しかいない。私の個人的な彼女の印象は富士山。遠くから見ると綺麗で素晴らしいが、そばまでいくと実はゴロゴロとした岩だらけ。何をするわけでもないが綺麗だからいいではないかと取るか、それではダメだと取るか、結論は数日後に出る。

世間の注目は既に二位決定戦

編集部撮影

といいながら、既に勝者が決定的になりつつある中、戦いの主戦場は二位決定戦の形相を呈してきた。三度目の挑戦の宇都宮健児とれいわの山本太郎が激しいデットヒートを繰り広げている。

特に、2位になれるかどうかで今後の党の命運がかかっている山本太郎は負けられない。当選直後の最初の頃は誰にも相手にされずキワモノ扱いされてきた彼だが、小沢一郎とタッグを組み歩み始めた頃から急激に頭角を現してきている。当初は「山本太郎と組むなんて小沢一郎も終わったな」と揶揄されていたが、今思えば小沢一郎の人物眼というのは本当に政界で突出しているとつくづく考えさせられる。今でも山本太郎が政治の師と仰ぐのは小沢一郎だ。元々演説やプレゼンの能力が非常に高い彼だが、小沢一郎がそれに政治的なセンスを与えた。れいわ新選組の凄さは、共産党の様な弱者救済のバラマキ政策と自民党の一部が唱えているMMT理論(いくら借金をしても大丈夫という新しい経済理論)を併せ持つところだ。

一方、東京っ子でありながら熊本県の副知事を歴任した小野泰輔も侮れない。昨年の参院選挙で初当選したネット戦略に長けた音喜多、柳ヶ瀬両議員という車体の上に、今最も注目される吉村大阪府知事という馬力のあるエンジンを搭載し、首都決戦に乗り出した日本維新の会は、コンサルティングファーム出身の政策通という若手のドライバーを見出し、弾みをつけたいところ。

いずれにせよ、今秋か遅くとも来年に行われる衆院選の前哨戦として高い注目が集まる2位決定戦になりそうだ。

詳しくは、下記の動画をご覧頂きたい。(敬称略)

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村山 祥栄
前京都市会議員、大正大学客員教授

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