レジ袋有料化:大切なのはプラスチックごみの焼却処理 --- 林 俊文

寄稿

2020年7月1日から始まったレジ袋有料化は、海洋プラスチックごみ(プラごみ)を減らすという観点においては何の意味もないことだ。

よっとこ/写真AC

経済産業省の特別サイトには、

プラスチックは、非常に便利な素材です。(中略)一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。(中略)
レジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。

とある。

しかし環境省の資料によると、2010年の海洋プラごみ排出量は、1位の中国が132~335万t、2位のインドネシアが48~129万t、東南アジアの国々が続き、20位のアメリカで4~11万t、日本は世界30位の2~6万tである。

インドネシアの海岸に打ち上げられたプラごみ(killerturnip/Flickr)

もちろん海洋プラごみを出さないに越したことはないが、中国や東南アジア諸国の排出量を減らさずに、日本がいくら海洋プラごみを減らそうとしても意味がないのだ。

タイの運河に捨てられたプラごみ(Twentyfour Students/Flickr)

そもそもなぜここまでアジアでの海洋プラごみが多いのかと言うと、いくつか理由がある。たとえばアジアの一部地域ではゴミを一か所にまとめて捨て、収集するという意識が希薄だったり、もとよりゴミを収集して焼却する仕組みがない地域もあるのだ。

さらに先進国からリサイクルのために輸入されたプラスチックが汚れていて使えず、不法投棄し、それが海に流れ込むといった事情もある。

プラスチックゴミや海洋プラごみを減らすには、地道に発展途上国のゴミ収集、焼却のシステムを完成させるべきだ。それができないなら海洋プラごみをなくすことなど夢物語だ。

では先進国では何が大切かと言うと、リサイクルをしない汚れたプラスチックはポイ捨てせず、海外に輸出せず、きちんと焼却処理することだ。

そもそもプラスチックは石油から作られており、分別しなくても燃えるゴミとして捨てれば巡り巡って火力発電の原料となり、中途半端に分別して汚プラスチックとして海洋プラごみになるより、よっぽどエコなのである。

レジ袋有料化で真面目にゴミを捨てている一般庶民に手間をかけさせるのは勘弁してもらいたいものである。

林 俊文 自営業