バロンズ:バイデン氏勝利など”青い波”席捲で、米株相場はどうなる?

2020年07月06日 11:30

バロンズ誌、今週のカバーは新型コロナウイルスの影響を踏まえた上での経済シナリオを取り上げる。米6月雇用統計では非農業部門州労者数が前月比480.0万人増を記録したが、それでも約2,000万人近い人々が失業したままだ。

新型コロナ・パンデミックは米国で260万人以上の感染者と約12.8万人の死者を出し、経済活動の停止を通じ景気後退に陥らせ、S&P500種株価指数を約34%下落させた。米株相場はコロナ禍以前の水準を回復(筆者注:ナスダックに至っては最高値を更新)したが、経済は何百万人もの失業者を吸収し消費を押し上げるまでに時間が掛かること必至だ。

エコノミストはV字型、U字型、あるいはナイキのロゴマーク型などの回復を予想するが、バロンズ誌では弱気シナリオ(2020年の米実質GDP成長率が10.2%~17.2%減、S&P500が現水準から20%安、ワクチンは2022年まで実用化されず、等)、基本シナリオ(1兆ドルの追加経済対策の実施、2021年半ばまでの大規模なワクチンや治療薬の生産開始、S&P500は2,900~3,300へ、等)、強気シナリオ(ワクチンの広範位にわたる普及が2021年半ばから2020年末に前倒し、2020年の米実質GDP成長率は2.2%減、S&P500は3,400超え、等)の3つの提示する。詳細は、本誌をご覧下さい。

(カバー写真:Gage Skidmore/Flickr)

Gage Skidmore/Flickr)

当サイトが定点観測するアップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は民主党が勝利した場合の市場の反応を予想する。抄訳は、以下の通り。

市場にとっての、民主党勝利の意味とは―What a Democratic Sweep Could Mean for the Market.

投資家は良好な経済指標や心強いワクチン開発に関するニュースより、新型コロナウイルス感染者の増加に注目したようだ。米6月雇用統計・NFPは大幅増加を達成し、失業率は低下し、2ヵ月連続で好調な労働市場の回復を示した。

多くの人々は、規模の大きな州で経済活動再開の一時停止や規制再導入に踏み切るなか、経済のモメンタムが失速すると恐れる半面、ウォール街は新型コロナ危機は制御可能と判断している。ファンドストラットのリサーチ・ヘッドであるトーマス・リー氏は、テキサス州やカリフォルニア州、フロリダ州、アリゾナ州が「軌道修正にある」としつつ、2週間以内に新型コロナ感染者のピークアウトを迎えると見込む。

新型コロナ向けワクチンの開発も、進行中だ。例えばファイザーと独バイオテックの場合、臨床試験段階で2回接種した24名全員が、コロナ感染後に回復した患者より2倍のレベルで抗体が出来上がっていたという。今回の結果を受け、ワクチンが2021年に広範にわたって普及する期待を強める。

ダウは米国建国記念日を迎え4営業日となった前週に3.2%高を迎え、S&P500は4%高を遂げ年初来でも3%安程度まで下げ幅を縮小。ナスダックに至っては4.6%高で週を終え、年初来では14%高を遂げている。

ブラックストーンのシニア投資ストラテジストのバイロン・ウィーン氏は「株式投資家は、2020年や2021年の業績を気にしていない」と指摘する。むしろ、投資家の意識は2022年に向けられているという。なぜなら、2022年に企業利益が正常化しワクチンが普及すれば、経済が大きく改善する見通しであるためだ。S&P500の株価収益率(PER)は19倍だが、2021年と2022年はそれぞれ1株利益が162ドル、同186ドルで17倍と予想されている。こうしたバリュエーションは歴史的に見て決して手ごろではないが、低金利が続くのであれば株式は魅力的に映るだろう。

投資家は今後、大統領選と共に”青い波(ブルーウェーブ)”の席捲に伴う大統領、米上院の民主党勝利の可能性に注目し始めるだろう。トランプ大統領は足元、全米の世論調査で8~9%ポイント差でバイデン候補を追う状況で、再選の可能性は5月の50%から40%割れまで低下した。

画像:トランプ大統領、バイデン候補の年齢別の支持率(作成:My Big Apple NY)

画像:トランプ大統領、バイデン候補の年齢別の支持率(作成:My Big Apple NY)

問題は米上院で、現状は共和党が53議席、民主党が47議席だが、民主党が過半数を奪回する可能性を残す。そうなれば、人税と所得税が引き上げられ、ニューディール政策のような法案が通過するのだろう。AGFインベストメントのグレッグ・バリエール首席政治ストラテジストは、共和党が米上院で多数派を維持すると見込むものの、バイデン候補の支持率次第ではホワイトハウスから上下院まで、全て民主党が勝利する可能性が高まると指摘する。

バイデン氏は法人税を21%から28%へ引き上げ、富裕層を中心に所得税の引き上げを提案する。さらに、バリエール氏はエリザベス・ウォーレン上院議員の財務相就任を見込み、そうなれば銀行に対する規制が強化されること必至だ。

ウィーン氏は、民主党による大勝利が米株相場の急落を意味しないと考える一人だ。同氏は「バイデン候補が選出されれば、最優先事項は景気回復であり、深刻な増税や規制強化は経済をコロナ禍前である2019年の状態に戻すにあたって足枷となる」と分析する。その上で、ウィーン氏は「米株相場がバイデン氏の勝利を受け入れつつあり、同時に拙速な増税や規制強化に踏み切らないと判断している」との見方を寄せた。

――バイデン氏と言えば、対中政策案をリリースすると言われてはや1ヵ月以上が経過しております。ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter)など人種差別撲滅運動が全米で展開されるなかで、香港国家安全維持法の施行などによる対応を示す時期ではないと判断しているのでしょうか。副大統領候補も未だ指名していませんが、2016年のクリントン候補がランニング・メイトにティム・ケイン上院議員を選んだのは、同年7月22日。民主党大会は8月17日からの開催ですから、バイデン陣営にとって急ぐ必要はないと判断してもおかしくありません。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年7月5日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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