キャンパスに行かない大学教育には何が足りないか?

2020年07月08日 16:30

CNNの記事によれば、アメリカに留学する外国人は、在籍する大学がオンラインのみの授業に切り替えた場合、米国から出国しなければならなくなるそうです(写真はボストンのMIT)。

例えば、ハーバード大学も完全オンラインに移行予定ですから、これが事実ならハーバード大学の留学生は、全員アメリカから帰国、あるいは他の学校への移籍をしなければならなくなります。今回の措置には、国内の教育機関からも反対の声が高まっているそうです。

オンライン授業にシフトすれば、ある程度まではリアルな授業の代替になるとは思います。むしろメリットがあることも多いのです。

私が大学に通った1980年代の日本にはインターネットはありませんでした。リアルにキャンパスで行われる大学の授業は、ほとんどが退屈で非効率なものでした。

例外的な先生を除いて、板書をノートに写し、記憶するだけの授業。最初からレジュメを配り、オンラインで好きな時間に聴講すれば、充分な内容でした。

しかし、それでもキャンパスに行くことには、オンラインでは得られない価値があったと思います。例えば、専門課程のゼミは、プレゼンテーションがあり、その準備に同級生と夜遅くまで議論することもありました。そのプロセスは、オンラインでは得られないと思います。

さらに留学生になると、その国にいるということ自体に大きな価値があります。

私自身、アメリカに留学して得られた最大の収穫は、授業で学んだMBAの経営学の知識ではなく「日本の常識は、世界の非常識」という日本では得られない価値観でした。

それを得ることが出来たのは、現地に滞在し、出会った人たちの考え方に触れて、多様な視点を知ることができたからでした。

報道されているような、アメリカの国外退去という極端な方針の真意はわかりませんが、完全オンラインで大学教育を受けても、そこには何か足りないものがあるような気がします。

海外からの留学生だけではなく、国内の学生にも、多様な価値観に触れる機会を奪ってしまうデメリットがあると思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年7月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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内藤 忍
資産デザイン研究所社長

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