関西1位の焼肉店がコロナでもテイクアウトをやらない5つの理由

2020年07月11日 06:01

新型コロナウイルスの影響を最も受けている業界の1つが、飲食業界だといわれています。私は6月初めよりネットメディアからその渦中の飲食業界へと移り、飲食店が直面する状況を現場で見てきました。

焼肉「京松蘭」を支える若きスタッフたち(焼肉 京松蘭 福本大祐【肉配りおじさん】インスタグラムより)

私が先月から仕事を始めた、大阪の京橋と南森町に店舗をもつ「京松蘭」は、関西のグルメサイト「KGB 」の2019年上半期のレストラン・ランキングでベスト10の第1位に選ばれた焼肉店ですが、4月、5月の売上は対前年同月比15~20%程度でした。

6月も客足が戻らなかったら…という緊張感漂うなかで1か月がスタートしましたが、蓋を開けてみれば6月の売上は前年比8割強まで回復。営業日数が昨年よりかなり少ないことを考えれば、6月に関してはコロナ前とほぼ同じ水準まで回復したといえるかもしれません。

コロナの影響で厳しい状況下に置かれている多くの飲食店は、苦境を乗り切るために新しくテイクアウトを始めたと聞きます。しかし京松蘭では、コロナの影響が出始めてから現在に至るまで、テイクアウトの導入が検討されたことは一度もありませんでした。

3月に売上が落ち始め、4月、5月は深刻な打撃を受けたのに、それでもテイクアウトを始めなかったのはなぜなのか。その理由を代表の福本大祐に聞いてまとめてみました。

理由① 既存店がある上に、みんなやり始める

コロナの影響が出始めてからテイクアウトを始める飲食店が増え、メディアでも「コロナ禍の飲食店を救うのはテイクアウトやデリバリーへの転身」などと言われる状況の中で、なぜテイクアウトをやろうと思わなかったのでしょうか。

「みんな始めるのがわかっていた。元々のテイクアウトとかファーストフード店がある上に、他の飲食店がみんな始めた。そうすると結局、分散してしまう。光熱費使って、人件費使って、利益は出せるのか。やらないほうがいいなと考えた」

「それにテイクアウトなんて単価もそれほど高くできないから、いい食材を使えない。そしたら美味しくないと思われる。悪循環」

理由② 消費者の行動パターンは急に変わらない

テイクアウトの利用者数の伸びについては、どのように考えていたのでしょうか。

「今までそんな行動パターンじゃなかった人たちが急にやり始めるだろうか?という疑問があった。もちろんテイクアウトする人の数は、以前よりは増えるだろうけど。今までそんな文化がなかったのに、いきなりみんな飲食店でテイクアウトとかし出すだろうか」

「それだったら、コロナだから、みんなスーパーに殺到するんじゃないかと思った」

理由③ 認知されるまでには、長い時間がかかる

他にも飲食店がテイクアウトを導入することの難しさがあれば教えてください。

「飲食店は有名なところでも、新しく始めてから広まるまでに時間がかかる。たとえばチェーン店が新しく店を出しました、どこかの暖簾わけで店を出しましたっていっても、最初は苦戦するもの。どれだけ名前があっても」

「それなのに、有名でもないところが、コロナだからって急にテイクアウトを始めたところで、短期間には集客できない。認知されるまでには、むちゃむちゃ時間がかかる」

理由④ 過去にやってうまくいかなかった経験がある

そのような考えに至るうえで、なにか重要な出来事はありましたか。

「過去に肉のテイクアウトをやった経験がある。食べログで4.3点ぐらいついて、焼肉部門で日本一だった頃にもかかわらず、テイクアウトはそれほど売上があがらなかった」

理由⑤ 仕入先からの協力要請がなかった

では、今回はテイクアウトをやろうとはまったく思わなかった?

「テイクアウトをやる唯一の理由としては、食材のロスを減らすというか、仕入先を助ける。もう儲けなしで、ただもうそれだけのためにやるんだったら、いいなあと思った」

「だけどまあもう業者も休んでいたし、別になんとかしてほしいみたいな要望もなかった。ちょっとはあったけど、それはなんとか自粛営業しながら使った。そのぐらいの量しかなかったから、業者を助けるためにやるっていう目的もそんなに必要なかった」

以上の理由から、焼肉「京松蘭」はテイクアウトをやらないという選択をしましたが、それは「どんな状況でもコロナでテイクアウトはやらないのが正解」と主張するものではありません。

たとえば、「感染症対策に気をつけながら、外食、買い物、レジャーを楽しみましょう」と推奨されている大阪と、「100人を超える新規感染者の発生」が連日報道されている東京では、また事情が違ってくるだろうと思います。

なお、最近の感染者数増加の背景には検査数の増加や検査体制の変更もあることや、「無症状患者の掘り起こし」も含む単純な新規患者数だけではなく、ピークの時から下降トレンドにある重症者数や死亡者数も併せて報道すべきことを主張する専門家もいます。

また理由②や③は、長い時間をかけてテイクアウトに本腰を入れて取り組む選択を否定するものではないでしょう。

ちなみにコロナ対策としては、京松蘭ではスタッフのマスクまたはフェイスシールド着用、全テーブルに消毒用アルコールを設置、ロールカーテンによる座席の仕切り、全テーブルに「卓上の換気扇」ともいわれる無煙ロースターを設置するなどで、感染防止のための対策を講じています。

お問い合わせは 株式会社京松蘭 電話:06-6881-7555 焼肉 京松蘭 福本大祐【肉配りおじさん】ツイッター インスタグラム 

今回のテイクアウト導入をめぐる飲食店ごとの対応の違いの裏には、「コロナの影響はいつまで続くのか」「コロナ後の飲食業界のあり方」などに関するそれぞれの想定の違いがあると思われ、次回はこの点について6月の京松蘭の状況を踏まえてお伝えします。

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黒毛和牛を安くシンプルに提供する焼肉「京松蘭」のマーケティング担当

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