連載② アクセシビリティ対応に動くロシアの美術館・博物館

2020年07月15日 06:00

昨日「美術館・博物館のオンライン情報発信に潜む課題」という記事を掲載した。他国はどのように動いているのだろうか。ロシアの動向を入手したので紹介する。

G3ictとICOMロシアは、美術館・博物館のデジタル・アクセシビリティを向上させる共同活動に着手すると、5月18日に報道発表した。

(※動画はICOMロシアのオンライン会議「文化分野におけるデジタルアクセシビリティ」より=注・ロシア語)

G3ictは障害者権利条約事務局と協力している民間団体である。産業界、学界、公共部門、および障害者を代表する組織が参加し、アクセシビリティに関わる専門能力を育むプログラムを提供しているほか、Digital Accessibility Rights Evaluation Index(DAREインデックス)を用いて各国の状況を毎年調査している。

ICOMロシアはInternational Council of Museums(国際博物館会議)に属するロシア委員会で、ロシア国内において、博物館関連分野における法規制草案を作成し、また、博物館文化の発展について政策提言する団体である。

両者は、美術館・博物館に障害者を含むすべての人がアクセスできるようにするため、特にデジタル技術を用いた情報受発信について、新しい技術を開発して利用可能にするように協力するという。

まずは、ロシア全土の美術館を対象に現状を調査し、その結果を2020年秋にレポートとして公開するという。レポートに基づいて、「Digital Inclusion Guidelines」を作成し、その先は進捗状況を評価していくそうだ。

Digital Inclusion Guidelinesは、全ての人に利用可能な形で美術館・博物館のデジタル情報受発信が行われるよう、美術館・博物館が対応すべき事項を列挙したガイドラインといった意味になる。

G3ictとICOMロシアの協定は、2020年「国際博物館の日」前日に締結された。今年のテーマは「Museums for Equality: Diversity and Inclusion 2020(平等を実現する場としての博物館:多様性と包括性)」である。

わが国でも、日本博物館協会が記念イベントをネットに公開した。日本でも関心が高まりつつある表れと評価できるが、実態は昨日の記事の通りである。わが国の美術館・博物館もリシアと同様の取り組みを早く開始して欲しい。

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山田 肇
ICPF理事長、東洋大学名誉教授

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