バイデン氏の大統領候補としての資質

ジョー バイデン氏、77歳。次期アメリカ大統領候補であります。しかし、日本の方にとってあまりなじみがないかもしれません。民主党の重鎮で中道派として君臨し、オバマ大統領の時には副大統領を務めました。11月3日の大統領選で当選すればその約2週間後の11月20日に78歳となり、大統領を82歳まで務めることになります。

バイデン氏(Skidmore/flickr)

年齢で差別することはできません。例えばマレーシアのマハティール氏は92歳で首相に返り咲き、今年3月の94歳で退任しました。出来なくはないのですが、マハティール氏も決して盤石の首相体制ではありませんでした。ただ氏には過去の栄光があり、慣れたポジションということもあり、職務をこなしたとはいえますが、功績をあげるほどには至っていません。

政治家でも閣僚から上になると特に激務であります。自分が関与しなくてはいけない案件が飛躍的に増え、切り口も多くなることから分刻みの日程となりがちです。また多くの政治家は週末も何らかの公務を抱えていることが多く、プライベートはトランプ大統領のように公務と公務の間を縫ってゴルフをするといった生活になります。トランプ氏は酒を一切飲まないのでそういう点での時間の管理はしやすかったのでしょう。バイデン氏も飲まないのでその点は大丈夫そうです。

それにしても78歳からの大統領は体力的に持つのでしょうか?アメリカ歴代大統領で就任時の最高齢はトランプ大統領の70歳。退任時の最高齢はレーガンの77歳349日となっています。仮にバイデン氏が当選すればその両方を一気に更新することになります。確かに平均余命も伸びているし、健康でいられる間も飛躍的に伸びました。しかし、大統領の執務は激務以外の何物でもないのです。

今でこそ、地球を飛び回ることはありませんが、平常時に戻れば10-15時間ぐらいの飛行をして諸外国に出向き、1泊程度でとんぼ返りを繰り返します。国内移動となれば通勤のようなものです。MLB、アメリカの野球のメジャーリーグの選手たちは試合のたびに国内移動をし続けるため、その体力維持が問われるといわれます。彼らのように若く、肉体を鍛えている者ですら堪えるのが移動なのです。

仮にトランプ大統領からバトンを引き継ぐ場合、案件は山積です。コロナ対策から有色人種の人権問題、経済、財政といった国内問題から外交では英国、EUとの関係、中国、北朝鮮問題、中東とイラン、隣国のカナダ、メキシコ。更にはWHOやパリ協定、TPP11など世界との連携や協調関係の方針と再構築もあるでしょう。

ある意味、トランプ大統領はおもちゃ箱をひっくり返していくのでそれをどう片づけるのか、元に戻すのか、新たな入れ物に入れ替えるのかを含めあまりにも多くの案件が存在します。

土曜日のブログでバイデン氏の認知疑惑をご紹介しました。認知とボケは違います。78歳になれば記憶力は衰えてきますので物忘れが起きるのは何ら不思議ではありません。一方認知の場合は記憶のある部分が消去される状態で記憶を引き出せなくなります。

例えばある方にあった時、顔は覚えているけれど名前を思い出せないのはボケ、会った記憶がなく、「お会いしていましたか?」となると認知の可能性が出てきます。認知症は進行を遅らせることはできますが、治す手段はありません。

私はアメリカ人がこれからの4年間をどうしたいのか、そこを問われていると思うのです。トランプ大統領が嫌いだからバイデン氏を選ぶという消去法となるなら個人的にはアメリカの繁栄に封印をするような気がしてなりません。史上最高齢で当選したトランプ氏を更に8歳も上回る大統領が登場するような高齢化現象がアメリカで進んでいくのは本望ではないでしょう。

そもそも民主党の大統領候補者は高齢者が多かったことが特徴でした。サンダース氏79歳、エリザベス・ウォーレン氏71歳とバイデン氏を含め、有力候補は全員トランプ氏より年上での就任となることを民主党候補者が熱狂して受け入れようとしたのです。若返りが進む他の国の首脳に比べ真逆に向かうアメリカがある意味、本当に大丈夫なのだろうか、と不安を募らせることになりかねない気がします。

少なくともバイデン氏は選挙前に自信の健康状態について第三者の医者の診断をディスクローズすべきでしょう。その上でアメリカが何を判断基準として大統領を選ぶのか、極めて重要なところに来たと思います。2冊の暴露本は選挙には影響しないとみています。そんなことよりコロナのため、家でじっとしているとされるバイデン氏の直近の画像は驚くほど老けたように感じたのは私だけでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年7月16日の記事より転載させていただきました。