東京都の高齢者にPCR検査をして、地方にGoTo疎開を!

2020年07月17日 20:00

確か、「わが国では私的制限はできない」と語っていたように思うが、昨日は明らかに東京都、あるいは、東京都民に対する制限がかかった。憲法に保障されている平等な権利の侵害にも思える。多摩川から東にある大田区・世田谷区はGoToキャンペーンの対象にはならず、橋を渡って西にある川崎市民は対象となる。あまり、納得がいかない線引きだ。しかも、あくまでも、GoToキャンペーンの対象者であって、旅行に行くことがダメと言っているわけでもない。

記者会見する西村担当相(政府「新型コロナウイルス感染症対策」サイト)

そして、今日は、「若者の団体旅行、重症化しやすい高齢者の団体旅行は控えていただく」とのことだ。これも、国が補助を出すかどうかの対象を述べているだけであって、自費で行くなら勝手だ。どんな法律に従って、私権を制限しているのかの説明をしてほしいものだ。

東京都民の感染者数はまちがいなく他府県に比べれば多いが、これまでの感染者総計は、9000人を切っており、1200万人以上の都民は感染していない。少し前になるが、厚生労働省が報告していた抗体陽性率も、1%を下回っていた。1%の感染者故に、圧倒的多数の残りの都民の権利を制限するのは、あまりにも、非科学的であり、まさに、科学なきコロナ対策の象徴ともいえる。

東京都といっても、市区町村で大きな開きがあり、行政の決め方は、あまりにも乱暴でおおざっぱすぎる。キャンペーンがあることを前提に予約した人たちに対して、解約料をどのように補償するのかの説明がなければ、国による詐欺のようなものだ。

休業自粛要請に際して、補償がないことが大きな問題となったが、今回は国が旅行代金の一部を提供するといって始めた国主導のキャンペーンなのに、この無責任さはありえないことだ。それも、8月中に始める予定を、7月22日にすると前倒しすると決定したのはわずか数週間前のことである。

一般会社の社長なら、辞職して責任を取るくらいの行為だと思う。この感染状況は突発的に起こったことではなく、ほとんどの国民が予想していたことである。夜の街での感染が問題視されたのは1か月以上前のことであり、検査数を増やすこと以外はほとんど取り組みがなされていない。

感染経路不明者が徐々に増えてきているうえに、空気感染も今頃になって本当らしいと言われている。それなら、電車やバスの通勤はリスクがあるはずだ。たとえ、換気をしても、マスクをしていても、乗客の絶対数が圧倒的に高い東京圏では、リスクX人数を考えれば、一定数が感染して、さらに広がっても不思議ではない。

昨今のクラスター発生源である、三密を作り出している状況や衛生に配慮しないお店などを野放しにすれば当然のことだと思う。若者が多いので医療体制は大丈夫のような説明も、若者は感染しても大丈夫だというメッセージとなっている。高齢者が自主的に身を守っているので、医療崩壊しない状態で踏みとどまっているが、今のままではこの先は自明だ。

政府と東京都の非難の応酬や責任の押し付け合いも、醜くしか映らない。日々、コロコロと方針が変わる感染対策、経済対策でいいのかと思うが、自分で考え、自分で自分の身を守るしかない。

東京の高齢者全員にPCR検査をしたうえで、陰性ならば、他府県の温泉地・観光地周辺にでも疎開してもらえば、GoToキャンペーンの趣旨に沿うのでは?もちろん、移動後一定期間は活動の自粛が必要かもしれないが。都会の医師もローテーションで疎開すれば、地方の医療も盤石だ。これくらい大胆なことを考えなければ危機は乗り越えられない。このままでは、自宅やその近辺だけの引きこもりで、高齢者の基礎疾患はだんだん悪くなる。

私も、運動不足で、血糖は不安定になり、肩こりがひどくなり、そして、脚力は確実に弱ってきている。コロナ感染制御も経済活性化も重要だが、高齢者の長期引きこもりは、必ず、大きな社会問題となってくる。いろいろな打つ手が後手というよりも、打つ手がちぐはぐだ。これでいいのか、この国は!


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2020年7月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。

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中村 祐輔
医学者、内閣府SIPディレクター

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