地球上のどこにでも住める世界

2020年07月19日 14:00

写真AC

もしも地球上のどこの国にでも住める権利が与えられるとすればその権利を行使する人はどれぐらいるでしょうか?個人的直観ですが、日本人は100人に1人もいないかもしれません。しかし、今、香港の人に聞けば3-4割ぐらいになるかもしれないし、ベネズエラの人に聞けば過半数を超えるでしょう。

我々日本人は世界の中でも最も恵まれている国民です。経済的には世界3位、島国なので他国からの影響を間接的にしか受けず、歴史が長く、ほぼ単一民族で政治的にも安定しています。この日本を捨ててどこか別の国に行きたいと思う人はそれでも満足しない人か、開拓精神旺盛か、それとも日本の社会で弾き飛ばされている人かもしれません。海外から帰ってきた人を今でも「洋行帰り」とやや皮肉を込めて言うのもそのあたりの背景があるのかもしれません。

日本人は農耕民族ですが、特に農家の方々は自分の土地を先祖から受け継いだものと考えます。その先祖を辿っていけば神道上、神様が土地を貸してくださったという発想になりますから毎日の農作業は神様が与えてくださった労働の精神と解釈しています。この発想が根本にあるので土地を守る、ひいては簡単に引っ越したり違う世界に飛び込むことは精神論的にかなわなかった部分があります。

ところが、最近は親の家業である農業を継がず、子供たちは街に向かう傾向が鮮明になってきたのは国を捨てるとまでは言わないもののより刺激の強い華やかさと容易さ(楽さ)を求めた現代人たちの行動変化といってよいでしょう。ならばこの延長線上に日本ではなくてどこか別の国という発想もないとは言えません。

メディアで海外のことが様々な形で紹介されるのでそれに啓発されたり、20代のうちにワーキングホリディを利用して海外で1年過ごした人生経験を踏んだ人(特に女性が多いと思います。)はかなりの数に上ってきており、その話を聞いた子供たちが自分も海外に行ってみたいと思うようになっても不思議ではありません。

私が29年前にカナダに来た頃、ある方が「かなりちっぽけな町にも必ずあるのが中華レストランで彼らは街の隅の方で遠慮がちに店を開けていた」と言っていたのを鮮明に覚えています。ユダヤ商人と並び華僑の強さに驚愕しました。通常ならば他国に住む民族は肩を寄せ合い、マイノリティとしてひっそりと暮らすケースが多いのですが、単独で様々な地域に乗り込み、華僑の根を張っていくという逞しさに畏怖の念すら感じたのです。

諸外国の人々は大陸という地で歴史上、長い領土戦争を繰り返し、狩猟民族としての常に安全と新天地を求めるハングリーさを求めてきましたが今でも廃れていないのです。また、同じ島国でも台湾やフィリピンの人は世界中に散らばっているのは国内が必ずしも心地よくないという事情が背景にあります。英国も島国ながら旧英国連邦という緩やかな連合体を組成しながら世界の中で大きな影響力を持ち続けています。

「ゆでガエル」になっている日本人も増えているのではないかと思います。便利と居心地の良さが追及されてきたけれど仕事にストレスを溜め、人生に行き詰まりを感じている人もいらっしゃるでしょう。外の世界には日本にはない違った絵図があります。

北米、アジア、欧州、アフリカ、南米…それぞれ違った持ち味があります。確かに言語と生活風習という壁は大きいのですが、地球はかつてに比べて小さくなりました。どこにでも行こうと思えば行けます。日本人はおおむね評価は悪くなく、温かく迎えてくれるでしょう。

老化する日本に於いて日本の良さと文化と伝統と考え方を世界に伝え、継承していくことも今後重要な課題になってくるはずです。世界のどこにでも住めるけれど住むだけではなく、いかに発信していくかが重要になってくると思います。それには誰も指摘していませんが、日本人と日系人をうまくつなげていくことがヒントの一つとなるはずです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年7月19日の記事より転載させていただきました。

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