バロンズ:株高を演出したFAAMG、逆も然り?

2020年07月27日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーはEVトラックメーカーを取り上げる。

水素燃料電池トラックを製造予定であるニコラを始め、輸送用EVバンを製造するワークホース・グループの株価は、投資家がガソリンなしで走る自動車の未来を描き始めたように、トラック輸送の将来を変えると見込まれ年初来から急上昇してきた。トラック向けに天然ガス発電の充電機製造を模索する特別目的会社(SPAC)のハイリオンに対し、同社が上場していないにも関わらず人気が高まるほどだ。

トラック市場は規模が大きく、カミンズやナビスター、フォルクスワーゲンなど6社が主導する市場規模は1,600億ドルにのぼる。一連の株価は、急伸に値するリターンを達成できるのか、詳細は本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週はFAAMG銘柄に注目する。抄訳は、以下の通り。

(カバー写真:Ian Kennedy/Flickr)

大手IT関連株5銘柄が下落すれば、株式市場自体も道連れに―If the ‘Big Five’ Tech Stocks Falter, They’ll Take the Rest of the Stock Market Down With Them.

ニクソン大統領(当時)の大統領経済諮問委員会(CEA)委員長だったハーバート・スタイン氏は「永遠に続かないなら、いずれ止まる」が残した言葉だが、スタイン氏が見出した法則は止まらないように見えるトレンドにも限界があることを意味する。

例えば、最近ではS&P500種株価指数に占める割合が高い大手IT関連株のアウトパフォームがそれにあたるだろう。大手IT関連の5社、つまりフェイスブック、アマゾン、アップル、マイクロソフト、グーグルの5社は、S&p500を2月につけた過去最高値まで5%以内まで押し上げた。しかし、大手数社が牽引して過去最高値をつけた過去を振り返ると、こうした動きは長続きしないものだ。

デビッド・コスティン氏率いるゴールドマン・サックスの米株チームによれば、FAAMG銘柄の時価総額は2020年にコロナ禍で30%以上も上昇した。一連の株価に支えられ、S&P500の構成企業の残り495社のパフォーマンスが年初来で5%安でも、S&P500自体のリターンは2%高となっている。FAAMG銘柄がS&P500全体に占める比率は22%を占め、1年前の16%から上昇したたためだ。20年前の主要銘柄として生き残る唯一の企業はマイクロソフトで、当時チャートのトップを走っていたシスコ・システムズやゼネラル・エレクトリック、エクソン・モービル、インテルなどは現在、FAAMGに遠く及ばない。

チャート:S&P500の推移

(出所:Stockcharts)

GSによれば、多くのポートフォリオ・マネージャーはどんな銘柄でも5%以上保有してはならないという制限が課されており、大型株の投資信託は既にマイクロソフトの株式を5%、その他の銘柄も4%近く保有していると分析する。

FAAMG銘柄の力強さは、ファンダメンタルズとマクロ環境、さらに経営戦略と業績によって支えられてきた。経済見通しが好転すれば、バリュー株に移ってもおかしくない。反トラスト法の脅威も、一連の銘柄に悪影響を及ぼすだろう。

そうなれば、S&P500に占める比率が高いFAAMG銘柄が同指数を押し下げるだろう。仮にFAAMG銘柄が10%下落した場合、S&P500が横ばいで推移するには残りの構成銘柄の下位100社が全体で90%上昇する必要がある。だからこそ、大手企業の寡占状態での株高が最終的に株安につながるというわけだ。

23日の米株安は大手IT関連株に引きずられたもので、SPDR S&P500投資信託ETF(SPY)は1.19%安で取引を終えた一方で、インベスコS&P500イコールウェイトETF(RSP)は0.16%安にとどまった。

今回の株安を引き起こした銘柄は、大手IT関連株以外にバイオテクノロジー関連が挙げられる。バイオテクノロジー関連はコロナ禍でワクチン開発期待から大手IT関連株同様に指数を押し上げてきた。しかし、iシェアーズ・ナスダック・バイオテクノロジー ETF(IBB)は52週平均高値を更新した後、7月20日週に5.2%下落した。

株価が大幅に割高となった背景として、低金利が考えられる。米10年債利回りは7月24日、3月9日につけた終値で最低の0.569%近くで取引を終えた。米3年債、米5年債、米7年債など一連の利回りは、過去最低を更新。何より重要なことに、実質金利に至っては2012年以来のマイナスに振れた。

マイナス金利は全ての資産価値を押し上げるが、特に金で価格上昇が顕著となり金先物は
過去最高値水準である1,900ドル超えを果たした。同時にドルは下落し、ドル指数は約2年ぶりの水準へ落ち込んだ。

今週7月28~29日に、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。政策が変更される見通しにはなく、ゼロ金利政策や無制限の量的緩和が維持されるだろう。物価や失業率に紐づけたしたフォワード・ガイダンスが導入される余地もある。

問題は、失業保険の拡充が7月末で終了するか否かだ。7月末と言えば、米4~6月期実質GDP成長率の速報値も発表され、前期比年率30%以上と過去最悪の下振れが予想されている。ワシントンが株価を含め、こうした現状に対応するのか。いずれにしても、スタイン氏の法則が今も息づいていることに変わりはない。


FOMCのフォワード・ガイダンス、前回6月の議事要旨を踏まえれば物価に紐づけた目標達成重視型(outcome-based)を導入する公算が大きい。9月15~16日開催の次回会合まで時間が空いてしまうため、行動に出る期待は否定できません。

足元で株安のリスクが点灯し、新規感染者数の急増を受け経済活動再開の一時停止し米新規失業保険申請件数も増加に転じ、米週間石油在庫統計ではエネルギー需要が再び低下する状況。FOMCが緩和寄りな立場を強調したいと考えたならば、9月を待たずに新たなフォワード・ガイダンスの導入に踏み切ってもおかしくないでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2020年7月26日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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