賢人の決定か凡人の合議か

2020年07月28日 06:00

現代社会においては、賢人の独裁はあり得ず、凡人による集団統治が原則であり、そこでは、専門的能力をもつ凡人によって構成される執行部門と、広い視野と冷静な判断能力をもつ凡人によって構成される監視部門を分立させることで、独裁化、衆愚による無決定などの弊害を排除している。

年金基金等の機関投資家における投資の意思決定の仕組みも同じである。例えば、米国の財団では、頂点に凡人の集団統治の仕組みとして財団理事会がおかれているが、実質的権限は、賢人に近い位置づけの最高投資責任者、および、その下の賢人に準ずるような担当者に大胆に委譲されているので、賢人支配が目指されているといっていい。

また、同じ米国でも、地方公務員を加入者とする年金基金においては、地方政府の一部門として存在しているので、開示を前提とした意思決定手続きの透明性が求められていて、地方政府の最高幹部を含む理事会へ権限を集中する度合いを強くせざるを得なくなっている。ここでは、凡人の集団の合議による意思決定の側面が強くなるのである。

投資は、最高度に知的な創意の発現として、賢人支配に馴染むのではないか、また、それ故にこそ、優れた投資成果を実現できているのではないか、そのような問題意識から、財団が注目されてきたのであるが、逆にいえば、投資においては、凡人の集団統治では、衆愚による無決定に陥りやすいことが意識されているのである。

しかし、公的年金基金のなかにも、著名な財団と並んで、先進的な取り組みで運用成果をあげているところが少なくない。つまり、真の賢人を得れば賢人の決定でよく、真の統治を実現できれば凡人の合議でもよいということである。


森本紀行

HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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