オンライン視察の受入環境整備を進めよ

芦田 祐介

議員というのはとかく視察が好きな印象がある。

地方議員であれば管内視察は積極的に行うべきだ。京都府久御山町議会議員である私にとって管内とは久御山町全域を指す。

巨椋池排水機場(近畿農政局サイトより)

7月30日の総務事業委員会では、内水排除対策の調査として久御山町内にある久御山排水機場、巨椋池排水機場、佐山排水機場の3ヶ所の視察を行った。このうち久御山排水機場は淀川河川事務所の管轄であり、残り2ヶ所は久御山町の管轄となっている。管内の施設を実際に見て、担当職員に質問して調査するわけである。管内での「現地現場主義」は地方議員として当然の責務といえる。

問題は、先進地となる他の自治体を訪問する管外視察である。

かつては驚くべきことに「買春」を主目的とする視察を行った地方議会も存在した。他にも「視察」と称して実際は観光目的だったり、視察先で昼間から酒を飲んだりする呆れた地方議会の「視察」の実態が明らかになったこともあった。

私も元議員の方から「昔の視察はひどかった」という話を直接聞いたこともある。さすがに現在は強い批判にさらされたことから物見遊山的な視察は減っているようではある。

管外視察も真に必要であれば行くべきであろう。実際に現地を訪問し、話を聞き、自分の目で見ることは重要である。

そのためには視察先となる自治体についてインターネットや書籍を使って下調べを行い、視察の必要性を慎重に検討するべきである。多くは、わざわざ視察に行かなくても、資料を送ってもらい、電話やメールで質問し、回答をもらうことによって調査は完結するのではないか。

私は議員になって2年目だが、昨年の広報広聴委員会の管外視察では1泊2日で神奈川県箱根町と岐阜県安八町にお伺いさせていただいた。

ただ視察といって両自治体ともに会議室に集まって担当者から議会広報について説明を受けた後に、質疑応答を行う形式であった。議会の議場見学はあったが他に施設の現地視察はなかった。

わざわざ公金で新幹線代や宿泊代を支払ってまで現地に行く必要があったのだろうか。このような会議室で説明を受け、質疑応答をするだけの視察内容であればオンライン方式で十分である。

コロナ禍の現下においては多くの自治体が視察の受入を中止している。リアル視察の受入しか行っていないため当然の措置ではあるが、調べたところオンライン方式で視察を受け入れている自治体が茨城県取手市など少数とはいえ存在している。

取手市公式サイトより

コロナ禍においてオンライン飲み会やオンライン帰省といった新しい様式が生まれた。京都マラソンもオンライン実施することが決まった。

今後は、視察希望者がオンラインとリアルのどちらでも選択できるように、各自治体が環境整備を進めるべきだ。それによって「無駄な視察」や「非効率な視察」をなくすことができると考える。

芦田 祐介 久御山町議会議員( 地域政党京都久御山党)
1983年生まれ、同町議会最年少議員