正々堂々とお盆に帰省することを呼びかける

2020年08月08日 06:01

お盆に帰省してよいか意見が分かれている。東京都の小池知事は、「この夏は特別な夏として旅行、帰省を控えて頂きたい」といい、安倍首相は「帰省の際は『3密』を避ける、大声で話さないといった基本的な感染防止策を徹底するようお願いしたい」として帰省そのものは止めない方針だ。

東京都youtube

一方、帰省先として多い東北各県の知事でも対応が分かれている。「この夏は学生らの帰省を控えるよう、家族からお願いしてほしい」と首都圏など感染拡大地域からの帰省自粛を要請すると割り切ったことをいっているが、岩手県・達増拓也知事は、「国が日本全体での制限をしていない」「家族や地元の人に会わなければならない場合はあると思う。感染対策をしながら、県の呼び掛けも踏まえて岩手に来てほしい」と述べ、宮城県・村井嘉浩知事は、「県だけで完結する問題ではない。自粛を要請するかどうか、国の考えを聞いて検討する」としている。

私はすでにアゴラの記事でも書いてきたが、列車が定員オーバーになったりするのは困るが、いまのところそんな状況でもないのだから、帰省の機会を逃さないように勧めている。特に両親や祖父母に会ったり先祖の供養をすることは、人生においてとても大事なことだ。

アメリカのブッシュ大統領(父)の夫人だったバーバラ・ブッシュが、こんな名言を残している。

「人生の終わりになったとき、テストに合格しなかったとか、裁判に負けたこと、取引をまとめられなかったことなどを、決して後悔しないだろう。夫や子供、友人、あるいは、親と共に過ごさなかった時間を後悔するのである

今回のコロナ騒動が、日本人に家族と語らう時間の価値を再発見させたのならうれしいことだ。しばしば、死に目に会いたいというが、私は肉親の最後に会えるかより、元気なうちに十分に話したかどうかの方が大事だ。死に目をみとるなど実質的にはそれほど大事なことではない。

titidsn/写真AC

どの程度の頻度で帰省するかにもよるが、いちど機会を逃せば、最後の出会いのチャンスを失うことになることも多い。さらに、意識レベルだって年々落ちていくわけで、今年は元気でも来年は孫のことなど忘れていることもありうる。そうでなくても、年に1回しか帰省しないならあと何回かのうち1回のチャンスを失うことだけで惜しいことだ。

それに対して、①帰省する側がコロナに感染していて、②それを親や祖父母に感染させ、③親が祖父母がそれで死ぬ確率などというのは、本当に何万分の一だ。

もちろん、帰省するなら、それより前の2週間くらいは感染しないようにいつもにも増して気をつけるとか、帰省しても話をするときはマスクをするとか、食事をするときには、飲食店なみの感染防止対策をするとかいうのはおおいにやればよろしい。

いずれにせよ、自分で上記のようなポイントを考慮して冷静に判断すればいいのだが、私は天秤にかけて帰省をやめるほうに傾くのは合理的な判断ではないと思う。

まして、近所とか、さらには行政が帰省に出かけるな、帰ってくるななどというのは許しがたい。私が知る限りでも、本当は親も年をとっているし、コロナが流行ったりして来年はどうなるか分からないし、ぜひ帰りたいのだが、知事は帰るなと言っているし、近所の人も嫌がるからやめとけとか言われたという人が多い。

来年もあるではないかという人もいるが、実は逆に今年は仕事が暇だから久しぶりに帰省できる人も多いのだ。

馬鹿げた話だし、某県知事のように消極的なポジションをとってることが、人口は全国で一番減少したり、自殺者が全国で一番多かったりすることにつながっているのでないかとすら思う。

閑散とする京都・祇園(☆Ken☆/写真AC)

また、観光産業については、政府がちょっと無理をしても旅行などを推進したいのは当然だ。観光でも外食でもお金で休業補償したところで、事はそれで済むまい。有名チェーン店の経営者からは「たとえ、給料はもらえても、仕事がないなら、気の利いた人材は辞めてしまうのが心配」と聞かされた。

小池知事のように金をまいておけばいいという態度はまったく宜しくない。政府がGo Toキャンペーンを批判覚悟で勧めているのはいくら称賛しても足りないほどだ。

私は「第二波なんか来ない」とかいうほど楽観的ではないが、一方、1日に数人の死者である限りは、対策は経済に悪影響がない方法だけを選んでするべきだと思う。

特別の対策が必要なのは、インフルエンザの少しひどい流行である年間の死者で何万人というような数字になる、あるいはなりそうな場合だけでよい。

日本人がコロナ戦争の勝者となる条件
八幡 和郎
ワニブックス
2020-06-17
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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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