地方の祖父母に会うのは一生でそれほど多くない

2020年08月10日 16:00

Calma/写真AC

小さな子供の祖父母は、普通は、50歳代から60歳代が主で、先は長いから今年は止めたらという大馬鹿がいる。

しかし、子供が親が実家に帰省するのに同行するのは、本当に幼い時の短期間に数えるほど、ということが多いのでないか。

外国人などそういう機会を大事にするので、ハーフのお子さんのいる家庭は、夏休みは外国の祖父母のところで過ごすなど多いのだが、小学校高学年当たりから、受験、クラブ活動などが支障になって日本の実情を理解できない祖父母ががっかりすると聞く。

そういう実情の中で、幼い時代のせいぜい数回くらいまでの地方の祖父母との交流や墓参りなどがその後の人生において祖父母と孫をつなぐ数少ない思い出であることは決してレアケースでない。遠隔地の祖父母が孫の顔を見たいといって都会に出てくることもそんなない。

さらにいえば、離婚率が高くなり、しかも、アゴラでも議論されているように、離婚すると親ですら片方の親の面会権が確保できてない日本の非人道的現状のもとでは、親権を持たない親のほうの祖父母が孫に会うことは極めて難しくなる。これも海外では考えにくいことだが実情だ。

そういう意味でも、仮に今年の夏に帰省して子供も連れて帰るつもりだったことを中止すれば、祖父母と孫がゆっくり話す一生でただ一回の機会を失うことになる人は相当の数になると思う。

今年、コロナを理由にその機会を失う愚劣、まして、他人のそういう機会を失わせる暴虐を許してはなならない。

その意味で、今年の帰省を止めることにした人もまだまだ考え直して遅くない。例年と違って列車も空いているのだ。

帰省して祖父母と会って死にいたらしめる可能性は会社に行って同僚を死なせるとか家にウイルスをもち帰って家族を死なせるのと全く同じ可能性でしかない。

そんなものを恐れるなら外出一切やめるべきだ。あるいは東京で親と同居してる人も別居するしかない。というか、病気がうつるのがこわければ、施設に入って誰とも会わずに、何十年もの余生を送るのを以て理想としたらよろしい。

それに祖父母から話を聞くことは、個人にとっても、国民としてもそうだが、たとえ大都会で生まれ育っても何十世代も過ごした先祖の歴史や文化を継承する意味で大事なのではないのか。

海外では、ロックダウンで恋人と会うのすらダメ、隣に住む親とか、兄弟が会うのもダメとか徹底しているから、旅行がダメなのも当然だが、日本では東京に限らず同じ地域の人同士はゆるくて違う地域の人には異常な警戒をするというのは村八分に代表する悪いムラ社会の面が出てきたということだ。

地方で外来者に極端に厳しい地域は、帰省すらさせたくないという地域は、鎖国政策で乗り切ろうとしている北朝鮮と似てると思う。そういうことを奨励する知事は金正恩とさざかし話が合うだろう。なかには、渤海や高句麗などと交流が深かった地域の知事でそういう発想の人もいるようだ。

日本人がコロナ戦争の勝者になる条件』でも、コロナ騒動の効用があるとすれば、リモートワークなどの定着と家族の絆の復活だと書いたが、ここでいう家族は親子、兄弟、夫婦に限定されるべきものではない。

日本人がコロナ戦争の勝者となる条件
八幡 和郎
ワニブックス
2020-06-17
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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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