市場占有率低下の日本企業の行方

2020年08月14日 14:00

日経がまとめた2019年「主要商品・サービスシェア調査」は中国が躍進し、トップシェアを前回調査から2つ増やし、12品目で取った一方、日本は11品目から7品目に落ちました。また、韓国は7品目で変わらずとなり、日本と並んでいます。引き続きアメリカがトップで25品目となっています。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

真綿で首を絞めるというのが適当な表現なのでしょうか?往年の日本の活躍ぶりを知っている方々には様々な思いがあるのではないでしょうか?もちろん、このシェア調査が全てではありません。74品目と限られており、もっと細かい分野のシェアまでやれば日本がトップを取っているものはまだあるとは思いますが、市場や経済のマグニチュードを考えるとあまり小さい分野でトップの数をひけらかしてもしょうがない気がします。

中国と韓国の躍進の背景は国策的であり、企業と国が一体化して押し上げている点は否めません。韓国躍進に関しては個人的には2007年に大統領になった李明博氏の「747政策」が効いていると考えています。それは非常にわかりやすい数字でその目標を設定したものであり、毎年平均7%の経済成長、1人当たり4万ドルの国民所得、そして韓国を世界7大経済大国にするものでありました。それから13年経ったわけですが、結果はともかく、目標に向かっている熱意は否定できないでしょう。

中国はちょっとゆとりのある「小康社会」というスローガンで2010年比で2020年のGDPを2倍にするという目標が設定されています。達成はしないと思いますが、中韓共に国が掲げる経済の目標数値があるというのが効果的であったと考えています。

日本は1960年、池田勇人内閣の時、所得倍増論をぶち上げ、実際に1970年にはその計画をはるかに上回る成果を出しています。とすれば日本がバブル崩壊後、パッとしないのは後片付けと守りの経済に入り、攻めの姿勢と明確な目標設定が十分ではなかったということでしょうか。2000年代初頭にはITバブルと若手の経営者、起業家たちが起業して新興のビジネスを作り上げようとしましたが、一部に関しては大人たちがそれを潰しにかかりました。出る杭は確実に打たれたわけです。

この教訓は当時の若者たちにはPTSD的な強烈な印象となり、数多くの新興市場の経営者たちもそこそこは成功しているけれど大々的にぶち上げるような形にならなくなります。同様にシニアである東証第一部上場の企業群も国内のシェア争いや価格競争で精根を使い果たし、海外市場とのギャップが生まれてしまいました。一部企業は海外に打って出ましたが、大型M&Aをやっても失敗と損失ばかりという203高地の乃木将軍の戦いのような状態でありました。

その間、政権も不安定でした。最大の弱点は小泉政権と現在の安倍政権以外極めて短命であり、中長期のビジョンを出す暇がありませんでした。閣僚においては名刺を使い切る前に交代するぐらいの散々な状態でありました。日本の場合、大臣のポジションが非常に軽い気がするのですが、世の中がこれだけ複雑化すれば大臣のプロフェッショナル化と安定化は重要なはずです。ところが、政争の具となり、秋に再び内閣改造すらささやかれています。

アベノミクスについてはアプローチは悪くなかったのですが、これほど賛否両論が巻き起こるとは日本が難しい国であることを強く印象付けました。つまり、もはや日本が一丸となるということはないのだろうということです。あぁといえばこうと返す、つまり、一体感を持って難局に取り掛かるということが難しくなっています。ちょっとハードルの高いことにチャレンジしようとすると「できない」「バカげている」「失敗をみすみす許す気か」と大バッシングがあらゆる方面から飛んできます。

全般的に批評、批判が大好きなんでしょう。バラエティやまとめ番組にはそのあたりの芸能人やモデル、アイドルが社会、政治問題について意見を述べていますが、重要な論点を素人さんがテレビ越しの論客になってよいのか、視聴率を取るためにはそこまでレベルを下げてもいいのかな、という気がします。

議論百出はよいことでもありますが、小さくしかまとまらないという弱点が生まれます。これが世界を制覇できる製品やサービスを生み出せなくなった背景の一つではないかと私は憂慮しています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年8月14日の記事より転載させていただきました。

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