河野太郎氏の女系天皇論に違和感

2020年08月26日 06:00

8月23日に河野太郎防衛大臣が、自身のyoutubeのライブ配信「河野太郎と語ろう」で、女系天皇議論の持論を展開(44分過ぎから)し、これについて主に保守層から反発の声が多く上がった。そのためか、河野氏は翌日24日、自身のブログでこの件について再度話している。

河野太郎氏youtubeより

このyoutubeのライブ配信と、ブログの中で河野氏は、

「今の天皇は男系が続くのなら男系で良いが、次の世代はお一人しかいない。男系がいなくなった時のことを、真剣に考えておく必要がある」

ことを前提にして、2つの選択肢を示している。

1つは、天皇陛下と同じY染色体を保有しているであろう天皇家から分かれ、男系を維持してきた旧宮家や皇別摂家等の男子を皇室に養子として迎え入れるという選択肢。(旧宮家の皇室復帰)

もう1つは現在の皇室に残る内親王殿下、女王殿下に宮家創設を認め、そのお子様に継承権を与えるという選択肢。(女系天皇)

宮内庁サイト

Y染色体の違和感

1つ目の選択肢について河野氏は、

「旧宮家は戦後まで残った宮家は1400年代に男系が分かれた。600年前に分かれた人たちであり、(分かれた後)600年間男系が続いているという保証はない。Y染色体は確率的に突然変異しやすいので、仮に元に戻そうといった宮家の遺伝子の検査をやって変異があったらどうするのか。繋がってないじゃないかという話しになるかもしれない。そうなると国民が支持してくれるだろうか」

と否定している。

河野氏のこの理論は、「河野氏のいうY染色体」が神武天皇から1400年前まで、生物学的に男系で繋がっていることを前提とした話である。

しかし、神武天皇から126代の今上天皇まで男系男子が「生物学的に」継承されていることなど、誰も証明ができない。河野氏がその後の600年間男系が続いているという保証がないことを理由に否定するのであれば、同時に1400年前まで男系男子で「河野氏のいうY染色体」が継承されていることを示さなければならないのではないか。

筆者は男系男子が126代、生物学的に継承しているかどうかを問うのは全くナンセンスだと思う。そんなことは誰も証明ができない。重要なのは、男系男子で継承されてきたという伝統を、国民が信じ、それを敬い、尊んでいることにあると考える。伝統を生物学的な合理性で話すのは違うように思う。

皇室が支持されることと女系の議論を混同する違和感

また、河野氏は

「今の天皇はじめ皇室が尊敬され象徴だと受け入れられるのは、災害にあった人たちを勇気づけ、行事に出ていろいろな分野で頑張っている国民を激励する、それを支持しているのだとすると、愛子様をはじめ内親王を次の天皇として受け入れるのもある」

と述べているが、これは男系女系の議論とは全く違う話である。皇室が国民に尊敬され象徴として受け入れられているのは、男性皇族でも女性皇族でも同じである。

アンケートについての違和感

筆者が一番違和感を覚えたのはこの点だ。河野氏は

「2019年11月に共同通信が行った世論調査では皇位継承を男系男子に限る現在の制度を維持すべきだという意見は18.5%にすぎず、こだわる必要がないと答えた割合は76.1%にのぼります」

とブログで述べている。

さらに、NHKが1973年から5年ごとに「天皇に対する印象について」世論調査を行っていることに触れている。その中で、皇室に尊敬の念を持っているという回答が増え、皇室を否定する意見は減っているとして、だから皇室は(女系でも)維持すべき存在であるとしている。

しかし、NHKの世論調査(2019年9月28日)のうち、女系天皇を論じるのに一番肝心な、「女系」天皇の意味を知っているか?の質問については全く触れていない。

この質問の回答は、「あまり知らない」と「全く知らない」を合わせると52%と半数を超える。国民の過半数が女系天皇の意味を理解していないのでは、その2ヶ月後に行った共同通信のアンケートはあまり意味を持たない。

そして、このNHKの調査では

「調査方法が異なるため単純には比較できないが10年前(2009年)の調査では「知っている」が51%、「知らない」が45%で「知っている」の方が多かった」

と書いている。つまり男系女系の理解は、この10年間全く深まるどころか後退しているのである。

河野氏は女系論を発信する前に、国民に男系女系の意味するところを十分に伝え、理解を深めるのが先ではないかと考える。

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