安倍首相辞任の決定的理由:体調が外交に支障か

八幡 和郎

安倍首相の辞任については、現実に辞任するタイミングによって意味が変わってくる。NHKでは9月末あたりかといっていたがまだ分からない。

官邸サイト

どうして辞めることにしたかといえば、慶応大学の判断で1年間程度の濃密な投薬治療が必要だということになったので、米国大統領選挙以降の外交が十分にこなせないことに尽きるのではないか。1週間に一度といった治療をすることが年末以降もつづくとなっては苦しい。

もし、可能なら、しばらく臨時代理を立てて治療に専念しても米国大統領選挙後の状況に間に合わせて欲しかったのだが、ひとつには、臨時代理を立てて休むというのがややワーカホリックな首相の美学に反するということと、2か月余りの休養では厳しい外交スケジュールに自信を持てないということでないだろうか。

もちろん、臨時国会での審議に耐えられるかという問題がある。第1次内閣のときに当時の某野党はトイレに行く回数を制限すべきとか国対でいったが共産党があんまりだと止めたともいう。

国内問題だけならなんとかやれるのだろうが、海外についてはきつい。第1次内閣の辞任についてもインド訪問が引き金になっているし、田中角栄内閣も海外訪問での体調不全が原因だった。

そういう意味でも、外交をきちんとできる即戦力の人選を強く望む。まかり間違っても、国内事情で後任を選ぶべきでない。安倍首相が前首相としてバックアップするというわけにはいくまい。